私は道具屋ですよ?
ペンが持てないと告げられた私は、とりあえず男を見ます。
鍛え上げられた筋肉。ムキムキではありませんが、細マッチョと言っても良いでしょう。いえ、どんな虚弱体質でもペンくらい持てるでしょうから、そう言う問題ではないのでしょうけど・・・。多分、ペンは箸より軽いでしょうし、箸より重い物を持った事がない人でも持てる筈です。
腕は・・・ちゃんとありますね。足もあります。
手がないから持てない訳でも、オバケでもなさそうです。
揶揄われているのでしょうか?
「とても、その様には見えませんが?」
少し腹が立って来ましたが、まだ別の事情があるかもしれません。
冷静に事情を聞く事にしましょう。
「俺がペンを持つと・・・ペンが弾け飛ぶんだ」
ん・・・?破壊衝動の権化ですか?
ペンを破壊する使命を持った、哀しい運命に生まれたんですか?
それともペンに呪われているのでしょうか・・・?
どうやら、ペンが持てないからサインが出来ないらしいです。
代筆するのは保証人になるのと同義、そして今に至ると言う事らしいです。
「ペンは書く道具です。怖くないですよぉ〜。大事に優しく握ってあげれば問題ナッシングです!」
問題解決!さぁ、ギルドへ行きましょう♪
「待ってくれ!そうではないんだ。俺は技術神に呪われていて、
道具に触れると道具が砕け散るんだ」
ペンじゃなくて、道具の神に呪われていました・・・。
ナニソレコワイ・・・私は道具屋ですよ?