伝説の防具職人『クマノシン』
まず疑問だったのは、どう言う基準で格好良いと判断しているのかでした。
美神様がずっと見ていて、ジャッジしているとは思えません。
そこまで暇ではないでしょう、たぶん。
判断基準があるはずなのです。そして、その傾向を探りました。
それは、恐らく周りの評価や対象は関係ありませんでした。
私と、ラックさんで違いがありませんでしたし。
格好良いなんて言うのは、その時代によっても変わります。
しかし、今の時代の感性に沿っていました。
加えて、意外だった事がありました。
帽子を外してヤバい髪型を見せただけで呪いが軽減したのです。
つまり装備依存ではありません。
外したのにダサい認定を受けています。全体像で評価されています。
更にフリル。これは例えば女性が着ければプラスと思われますが、エビちゃんはダサい認定を獲得しています。これは、エビちゃんの特性に対して逸脱している事で効果がある、と言えるかもしれません。
そこで私達が辿り着いた完璧な解答。
・・・
私達の研究の集大成が更衣室より出てきます。
そこには・・・
『絶世の美女がいました。』
エメラルドグリーンのショートヘア。髪型を隠すのに私の猫耳帽子をあげました。
服も私の予備をプレゼント。さんざん笑わせて頂いたのでこれも進呈しましょう。
リズのだとゆったりし過ぎてますので、主に胸元が・・・。
メイク道具は既にお持ちだったので、私とリズでサポート。
すね毛や腕などは元々ピッカピカに手入れされていたので素で大丈夫です。
しかし、予想以上の出来です。体つきは元々華奢で、ヒャッハーの時は小物感が凄かったですが、背筋を伸ばした今のエビちゃんはスレンダーで美しい美女そのものです。
そう、この呪いはその人の置かれている状況、その人の特性からかけ離れていれば問題ないのです。喋り方も可愛らしい女性そのものに転身した今のエビちゃんは一切のデバフを受けません。周囲は不快感どころか話しかけられれば大喜びするレベルの美女です。
問題は、当の本人が受け入れられるかですが・・・
「こんな方法があったなんて・・・この発見の恩恵はとても大きいわ。装備も女性モノを選べば良いだけですから特注でわざわざ『一番ダサい装備を頼む』と言っては職人にブチギレされる事もありません」
それは、さぞお辛かった事でしょう。
言われた職人にも少し同情してしまいますね・・・。
女装については問題なさそうです。
「これで伝説の防具職人、クマノシンが作ったシャケジャンともお別れ出来ます。
本当にありがとうございます・・・」
そう言うエビちゃんの目には涙が浮かんでいました。
泣くほど嫌だったんですね・・・あの革ジャン。
と言いますか、あれシャケジャンって名前なんですね。
クマノシンって誰ですか?よく作って貰えましたね。そしてあれ程のダサさ。
職人はきっと熊獣人ですね。お腹空いてたんですね、きっと。
なんとこの防具、Aランク冒険者の給料数ヶ月分の費用が掛かっているそうです。
性能は同じ価格帯の製品に大きく劣ります。つまり、超高級品のゴミです。
「服のお礼にこちらのシャケジャンを差し上げます。貰って下さい」
・・・
いらない♪




