やっぱり家族は大切だよな!
定期試験があったんで遅れちゃいました。
「ただいま~」
「遅い!」
やっぱりもう楓が帰って来ていた。
「ゴメン。今すぐ飯作るから。」
「本当に早く作ってよね!」
こりゃとっとと作んないと後が怖いな…
え?何で俺が飯を作っているのか?あれ?言ってなかったっけ?俺の両親は二人とも外国で働いてるんだよ。ちなみに母さんが社長で親父が秘書だ。詳しいことはわからないが、母さんは有名なデザイナーなのだそうだ。
家事は二人で分担してやっている。俺が料理と掃除、楓が洗濯だ。やっぱり年頃の女の子は男に洗濯物を畳ませたりするのが嫌なのかな?
よし!チャーハンと野菜炒め完成!俺は料理の腕には自信があるんだ!
「飯出来たぞー」
「今行く~」
たっく…人が折角出来立ての飯を食わせてやろうと思って呼んでやってんのに…
「早くしねぇと冷めちまうぞ?」
「ちょっと待って!今良いとこなの!先に食べてて!」
「じゃあ先食ってるけど、早く来いよ。」
「はいはい。」
アイツ何様のつもりだ?自分では料理出来ないくせに!まあ…楓が料理をすると材料全てが灰になるから俺が料理をさせないだけなんだけどな…
おにぎりですら…と言うより米すら炊けないレベルだ。てか炊飯器を爆発物に変えるってのは人間としてどうなんだ?もしや新手の超能力者か?
俺がTVを見ながらチャーハンを食っていたら、楓がフラフラしながら汗ダクで部屋に入って来た。
下着姿で…
「…とりあえずタオルで体を拭け。」
仕方なくタオルをとって楓に渡した。
「…」
動く気配が無い…
「早く拭かないと風邪ひくぞ。」
「…」
返事が無い、只の屍のようだ。
「お~い!楓ちゃ~ん!何か返事してくれ~!」
「…から…ぁに…が…て…」
「何だ?聞こえなかったからもうちょっとデカイ声で言ってくれ。」
「体が…動かないから…兄貴が拭いて…」
「…」
どうする俺!やっぱ拭くべき!?いや!いくら相手が妹でもダメだろ!!てか何この展開!!
「寒い…」
ヤバイ!何かもう風邪ひきそうなんだけど!!くそ…覚悟を決めるしかないか…
「か…楓…今から拭くからちょっと我慢してくれ。べ…別に変な気があるわけじゃないからな!」
「ん…」
よーし…落ち着け俺…クールになるんだ…相手は妹だ…兄妹なんだ…いくら楓が年頃の女の子でも妹なのはかわらない…
よし…落ち着いてきたぜ…
とりあえず顔から順に下に向かって拭いてこう…
ふぅーっ!やっと拭き終わったぜ!
「とりあえず拭いたから服着て来い。十分休んだろ。」
「ん。わかった。」
これでやっとゆっくり飯が食える…って完全に冷めちまってるじゃねぇか!!仕方ない…レンジで温めるか…
「あれ?ご飯は?」
「冷めちまったから今温めてる。」
「そっか…ゴメン。」
「いいよ別に。飯より楓の体の方が大切だからな。…別に変な意味じゃないぞ。」
「わかってる。ありがとう兄貴。」
何か久しぶりに楓に「ありがとう。」って言われた気がする。
「ところでなんであんなバテてたんだ?」
「筋トレしてたんだよ。最近体が鈍っちゃってさ…思うように体が動かなくって…そんで顧問の先生に家でのメニュー作ってもらってそれやってたんだけど…ちょっと貧弱で頭がぼーっとしちゃったんだよ。」
「頑張るのは良いことだけど無理するのは悪いことだぞ。自分である程度目安を決めて休憩しないとダメだろ。これからは、ちゃんと自分のことを考えてから筋トレなり練習なりしろよ。」
「わかった。」
「そんじゃあ温まったみたいだから飯食おうぜ。」
「うん!」
その後は俺も楓も何事も無かったようにいつも通り過ごした。
でも寝る前に楓と家族の約束事を決めた。それは『何事も無茶をしないこと。』だ。ついでに『何かあったらどうでもいいようなことでも言う。』ということも約束した。
まあ…とりあえず俺は、これからも兄妹仲良くやって行こうと心に決めた。
作者「楓ちゃんって可愛いよね。」
一希「そりゃ俺の妹だからな!」
作者「…それって遠回しに自分がカッコイイって言いたいの?」
一希「違っ!!」
作者「うーん…やっぱカズは面白いね。」
一希「うるせー!!」