すーちゃん先生の特別講座2
本作の舞台となる世界に関しての説明などです。
無駄に長いですが、興味のある方はどうぞ。
なお読まないと本編のほうで意味不明な内容が出てくるなど、
そういったことはありません。
また本編と説明が重複する部分がありますが、ご容赦ください。
すーちゃん先生
「すーちゃん先生の特別講座ー! その第二回目! 始まりましたわ! わーわー! パチパチパチー! さあ栄えある二回目の今回、助手はなんとこの方ですわ!」
グッチ
「来た来た来た来た来ましたな! このわたくしの時代がッ!! ノホホホホホッ!!!!」
すーちゃん先生
「少々お待ちくださいね!」
――――― しばらくお待ちください ―――――
すーちゃん先生
「失礼致しました。それでは栄えある第二回目の助手はこの方!」
グッチ
「不届き者ですがよろしくお願いしますな! ノーホホーホホーッ!!」
すーちゃん先生
「少々! お待ち! 下さいッ!!」
――――― しばらくお待ちください ―――――
すーちゃん先生
「貴様ァァッ!!」
グッチ
「このわたくしの動きについてくるとは! わたくしなりきりセットの鼻眼鏡とカツラを差し上げますな!!」
すーちゃん先生
「ブッ殺すッッ!!」
――――― もうしばらくお待ちください ―――――
すーちゃん先生
「ふぅー……」
すーちゃん先生
「はい! それでは第二回目の助手を担当して下さる方は、なんとこの方!」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「エイク様親衛隊ナンバー4! バドちん助手です! よろしくお願いしますね! 分からないことがあれば何でも聞いてくださいまし!」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「ではでは早速参りましょう! 第二回目となるこの講義。その最初の内容は、こちらですわ!」
Q.魔法について
すーちゃん先生
「魔法とは、体内の魔力を消費して超常現象を意図的に引き起こす手段のことですわね。この世界には精霊という存在がおりますが、その精霊は人間の魔力を非常に好みます。なので魔力を体外に放出することで、それに惹かれて集まった精霊に超常現象を引き起こしてもらうわけですわね。この精霊の力を借りて発動する魔法を、遠い昔は精霊魔法と呼んでおりました。ただ今の時代は、魔法と言えばこの精霊魔法のみを指す言葉になっておりますわ」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「精霊魔法以外、ですか? んー……もう大昔の話になりますが。魔法というのは、精霊の力を借りずに自分の魔力のみで発動させるものを言ったようですわ。今の時代、それは魔術と呼ばれていますわね。ただそれらは効果が精霊魔法よりも貧弱な上に、魔力の消費量がそれに見合わないほど膨大というデメリットがあり、加えて身体能力の向上などといった効果しか持っていなかったんですの。ただ、今現在は身体能力を上げるだけなら精技で事足りますでしょう? その結果徐々に廃れ、使用できる人間は殆どいなくなってしまったようですわ。無詠唱で発動できるという明確なメリットはありましたが、やはり強力な四元素を操ることのできる精霊魔法には敵わなかったわけですわね」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「わたくしですか? ええ、確かに多少は魔術の心得がありますわ。でもあまり有用なものは多くないですわね。耳が良くなる、足が速くなる、力が強くなる、なんてものですが、精技で代用した方が効率的なものが大半ですし、殆ど使うことのないものばかりですわ。結局そういった使いどころに難があるという理由が、廃れた原因ということなのですわね」
Q.というか魔力って何?
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「え? 魔力ってそもそも何か、ですか? これまた難しい内容ですわね……。正直わたくしにも正確なところが分からない、と言うしかありませんわ。魔力に関しては解明されていないことばかりですから」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「そうですわねぇ……。分かりません、と言うだけですと寂しいですから、少しだけお話ししましょうか。かなりマニアックな知識ですから、その点はお含みおきくださいね。では。魔力と言うのは、今のところ大別して二種類あると言われていますわ。一つは生物の体内で生成される、マナと呼ばれるもの。もう一つは大気中に拡散しているオドと呼ばれるもの。これは先ほども申しましたが専門的な話になりますので、殆どの方はマナ、オド、と呼ばれていることすら知らないと思います。まあ知ったところで豆知識で終わる話ですから、知る必要もない話なんですけれど。なので、殆どの方はこれらすべてをまとめて魔力と呼んでおりますわね」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「私達人間は多少なら魔力の存在を感知できます。ただそれはマナのみで、オドに関しては殆ど分からないと言われていますわ。余りにもオドが濃い場所――魔窟の中などですと、空気が変わった? と感じる方もおりますが、まあその程度、ということですわね」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「そうそう。精霊魔法に関しても、このマナとオドというものが密接に関係していると考えられておりますわ。先ほど魔力に精霊が集まると説明しましたが、これはつまりマナに集まるということです。精霊がなぜマナに集まるのか、という疑問はさておいて、マナによって集められた精霊がいかにして超常現象を引き起こすのか、という疑問に対し、オドを利用しているのではないか、と言う説がありますの。そうなるとオドの濃い魔窟内の空間が歪んでいることもまた精霊の力だと、そう考えることもできるのですわ。魔窟内部は地面の中とは思えない様相を呈しておりますから、そう結論付けられれば良いのでしょうけれど……。まあ今は、いくつもある説の中の一つでしかないですわね」
Q.精霊魔法について
すーちゃん先生
「これは先ほど説明した通り、精霊の力を借りて超常現象を引き起こす魔法ですわね。体内のマナを放出すると、そのマナに惹かれて精霊が集まります。その精霊達にお願い――詠唱のことですわね、をして、魔法を発動する、というのが発動までの手順になりますわ。ただし、闇雲にマナを放出しても思ったような効果は得られず、大抵は不発になります。と言うのも、精霊は確かにマナを好みますが、そのマナにも好みというものが精霊にもありまして、ただマナを放出するだけでは集まらないのですわ。そこで必要になってくるのが、マナの練り上げです」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「火、水、土、風の四大精霊のうち、どの精霊に集まって欲しいのかは、この魔力の練り上げにかかっています。火の魔法を使いたいなら火の精霊が好む練り上げ方を。水の魔法を使いたいなら水の精霊が好む練り上げ方をしなければ、魔法を使うことはできません。水の魔法を使いたいのに火の精霊を集めても、水魔法を使えるわけがありませんからね。例えるなら……慈善事業の一環で孤児に仕事を与えようと思ったのに、呼びかけをしたらホームレスの大人ばかり集まってしまった感じでしょうか?」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「この練り上げ方、精霊魔法の使用において、実は一番重要なんですの。詠唱なんておまけみたいなものです。なぜなら、魔法を使うには精霊を集めなければなりませんが、この練り上げ方が上手くないと使うことすらできないからですわ。精霊魔法はその難易度によって、基礎、下級、中級、上級とクラスが分かれておりますが、一般の方でも多くの方が複数の基礎魔法を使用できます。ですから基礎魔法は、生活魔法などとも呼ばれておりますわ。魔法使いを名乗る方なら、四属性の基礎魔法が使えるくらい基本的なものですわね。ただ例外というのはどこにでもありますわ。壊滅的にセンスがない場合、基礎魔法すら使うことができない方もおりますの。火属性の基礎魔法が使えないと言っていたリリさんなんて、まさにその例ですわね。水魔法の適性が高い方のようでしたから、恐らく水の精霊との相性が良すぎるのでしょう。水と火は非常に相性が悪いですからね」
バドちん助手
「…………」
すーちゃん先生
「じ、つ、は。ここだけの話、精霊は火、水、土、風の四種類だけではないんですの。色んな所に様々な精霊がいるんですのよ? これはまだ知られていないことですから詳細は伏せますけれど。でも、意外に近くにいるかもしれませんわね? ふふ……そう。もしかしたら今もこの近くに――」
グッチ
「わたくしの出番と聞いて! 呼ばれて飛び出てノホホホーン!!」
すーちゃん先生
「――あの野郎! 性こりもなくッ!!」
グッチ
「このわたくしを倒そうとも、第二第三第四第五のわたくしがいつの日にかンノホホホホーッ!! と空からダイビンッ!!」
すーちゃん先生
「消え失せろッ! このスラッグ野郎がァーッ!!」
グッチ
「ウンドルァァァァァアーーッ!! 渡しはしませんぞ! 渡しはしませんぞーッ!」
すーちゃん先生
「意味が分からないんだよ! このxxx野郎!! 今度こそxxxxxxxてやるッ!!」
グッチ
「わたくし死すともわたくし死せずですなーッ! グオオオオオオーーッ!!」
バドちん助手
「…………」
バドちん助手
「…………」
おしまい