表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
388/388

すーちゃん先生の特別講座6

本作の舞台となる世界に関しての説明などです。

無駄に長いですが、興味のある方はどうぞ。

なお読まないと本編のほうで意味不明な内容が出てくるなど、そういったことはありません。

また本編と説明が重複する部分がありますが、ご容赦ください。

すーちゃん先生

「すーちゃん先生の特別講座ー! 始まりましたわ! わーわーわー! パチパチパチー! この講座もなんとこれで六回目! ここまで続くとはわたくしも思いませんでしたわ! 少々驚いておりますが、嬉しくもありますわね! 張り切って参りましょう! さて今回助手として呼んだのはこの方! エイク様の槍の師匠でもある、かかちん助手です! 自己紹介をどうぞ!」


かかちん助手

「………………」


すーちゃん先生

「あら? かかちん助手? どうかされましたの?」


かかちん助手

「スティア。私は親衛隊ナンバーで言うと何番だ?」


すーちゃん先生

「え? えーっと、かかちん助手は七番ですわね」


かかちん助手

「最初にホシが助手に呼ばれた。次はバド。その次にアゼルノと来て、次はあのひょうろく玉だ」


すーちゃん先生

「……まあ、ククウルは確かにアホですが。仮にもあなた方のリーダーでしょうに、その言い草はどうなんですの?」


かかちん助手

「親衛隊ナンバーで言えば俺はその次だ。だというのに、次に呼ばれたのは誰だ? エルフの女王二人やったやろが! 何でやねん! 俺とちゃうんかい!」


すーちゃん先生

「ええ……そんな事を気にしていたんですの? 貴方、結構面倒臭いんですのねぇ」


かかちん助手

「邪魔くさいとは何や! 俺の言う事は何もまちごてへんやろが!」


すーちゃん先生

「邪魔くさい……? あ、そちらの言葉で面倒臭いという意味でしたっけ? ああもう……。かかちん助手、とりあえず落ち着いて下さいまし。わたくしは別に貴方を軽んじたわけではありませんわ。今回の話には貴方の方が適任と考えて、後に回しただけですのよ」


かかちん助手

「……本当か?」


すーちゃん先生

「貴方に世界樹の話をしても仕方がないでしょう? 全く、嘘を付く理由が無いでしょうに……。分かったら落ち着いて下さいまし。そろそろ講義を始めますわよ」


かかちん助手

「……なら良い。分った、すぐに始めよう」


すーちゃん先生

(そう言えばカカーは、ククウルに自分より若いナンバーを取られた事に随分と納得いかない様子でしたわねぇ。まだ引きずっているんですかこの男は……。ああもう、面倒臭いですわねぇ……)



Q.王国の鉱山事情について



すーちゃん先生

「本日の講義は、王国の鉱山についてですわ。まず質問ですが、かかちん助手は王国に鉱山がどの程度あると思いますか?」


かかちん助手

「鉱山と言うと、人族が山を掘って作った洞窟だったか? そこから鉄などを掘り出すという」


すーちゃん先生

「そうですわ。さて、かかちん助手の予想は?」


かかちん助手

「うーむ……。十くらいか?」


すーちゃん先生

「十ですか……それは流石に少なすぎますわね。正解は、七百三十四か所です!」


かかちん助手

「な、七百!? そんなにもあるのか!?」


すーちゃん先生

「大変良い反応、ありがとうございます。そう、七百三十四か所。帝国は百程で、聖王国も二百もありません。なのでこれらの国と比較すると、王国はかなり多く保有している事になりますわね」


かかちん助手

「……む! 分かったぞ。ゼーベルク山脈があるからだな?」


すーちゃん先生

「ご名答! ゼーベルク山脈にある鉱山は、この内の八割を占めます。ゼーベルク山脈は広大ですからね。それにまだまだ鉱物が採掘できる場所があるとも考えられております。もしかしたらかかちん助手の住むゲルホルン山にも、未知の鉱山があるかもしれませんわね」


かかちん助手

「ふーむ……それが原因で人族が故郷の近くに来るとなると流石に考え物だが……。しかし我々は今まで武器と言えば、敵の牙や爪を研いで作るものだったが、この鉄で作ったという槍もなかなかの物だった。何より安定した品質で量産できると言うのが良い。鉱山を我々が利用すると言うのも一考の余地があるかもしれんな」


すーちゃん先生

「牙や爪では品質や材料の調達など、色々問題があるでしょうからね。もし鋳造で槍を作れるなら、鳥人族にも大きなメリットがあると思いますわよ。もしミスリルなんて掘り当てたら、鳥人族皆が魔槍持ちですわ」


かかちん助手

「長ろ――いや、ジジイ共に言ってみるとしよう。うむ、それが良い」



Q.採掘できる鉱物について



すーちゃん先生

「さてかかちん助手。先ほど王国には七百を超える鉱山があると言いましたが、またここで問題です。採掘できる鉱物はといえば、一体何があるでしょうか?」


かかちん助手

「ふむ。鉄は知っているぞ。あと、硬貨に使われている銅、銀、金。そうだ、先ほどお前が言ったミスリルもあるな」


すーちゃん先生

「おや、結構出て来ましたね。金属で言うと確かに主だったものはそれらとなりますが、他に上げるとするなら鉛くらいでしょうか。ただ鉱山から採掘できる物はそれら金属鉱物だけではありません。燃料となる石炭や、建築資材に使われる石灰、石膏など。他には宝飾品に使われる宝石類があげられます」


かかちん助手

「燃料、建築素材、宝飾品……そうか。思い出したが、ゲルホルンにも光る石が採れる洞窟があったな。もしかしたらその場所も鉱山である可能性が高いか」


すーちゃん先生

「光る石。成程、それでしたら宝石かもしれませんわね。鳥人族にはあまり有用ではないかもしれませんが、人族には価値のあるものです。もし交易がしたいのであれば、調査してみても良いかもしれませんわね」


かかちん助手

「うーむ……しかし宝石でなかった場合、有用かどうか我々には判断ができんな。先ほど言った石炭や石灰というのはどういった物なのだ?」


すーちゃん先生

「石炭は黒い宝石とも呼ばれますが、その名の通り黒い色の石状のものですわ。火をつければ薪以上の火力が出ますが、薪程簡単に火はつきません。採掘できる物は大抵不純物が含まれますから、使うならそれを取り除いてから使う必要があります。その方法については講義から逸脱しますので、今は割愛致しますね」


かかちん助手

「ふ、不純物を取り除く、か。そのまま使える物でもないのだな……」


すーちゃん先生

「石灰については、かかちん助手も見た事あるのではないですか? 王城や人族の住居にちらほらと白い色の建築物があるでしょう? あれらには石灰が使われておりますわ。とは言え石灰もそのまま使えないので、一手間必要ですけれどね」


かかちん助手

「ああ、あの白い色は石灰だったのか。だがこれもそのまま使えないのか。うーむ……そう簡単にはいかないのだな。光る石が宝石である事を祈るか……」


すーちゃん先生

「ちなみに宝石も原石のままではあまり綺麗でないので、研磨する必要がありますわ。王国は一日にしてならず。頑張って下さいまし」


かかちん助手

「……ぜ、善処しよう」



Q.鉱山と魔物について



すーちゃん先生

「かかちん助手。先ほどわたくしは王国に七百以上の鉱山があると説明しましたが、実はこれは確認できている鉱山で、実際に採掘がされている数とは違うのです」


かかちん助手

「何? 放棄されているものもある、と言う事か?」


すーちゃん先生

「と言うよりも、そこに変わる良い鉱山が他に見つかったので、引き上げたという方が正しいですわ」


かかちん助手

「どういう事だ? それならどちらも使えば良いではないか」


すーちゃん先生

「鉱山と言うのは大抵人の住む場所にないので、魔物が生息していますわ。採掘作業をする人間は大抵、戦う力のない者達です。ですから採掘は命がけ。命の危険が無い場所があるのなら、そちらに行った方が人命的にも効率的にも都合が良いのですわ」


かかちん助手

「そういう事情か。確かに人死にが出やすい場所よりも、安全な場所の方を誰しもが選ぶだろうな。納得の理由だ」


すーちゃん先生

「まあその人死にが出ても採掘を続けたい、といって採掘を続ける鉱山も少なくないのですけれどね。例を上げるとするなら……やはりルヴェル鉱山でしょうか。良くも悪くもあそこは有名ですから」


かかちん助手

「……かと思えば人命よりも採掘が大事か。人族というのは随分とさもしい事だな。同族の命を随分と軽く考えているようだ」


すーちゃん先生

「んー、そこは少数人種と多数人種の意識の違いでしょうかね。まあそれは置いておくとしましょう。そういった鉱山は有益な資源ですから国としても手放せないのでしょうね。それに、一攫千金を求めた鉱夫達が自主的に集まるケースもあります。王国の鉱山ドリームはそうそう珍しくない話なのですわよ」


かかちん助手

「命と引き換えにして、か……俺には分からん感覚だ。生きていくだけなら金など必要ないだろうに」


すーちゃん先生

「それは鳥人族が生まれながらの戦士だから言える事ですわ。世の中には戦う力のない非力な人間も大勢いるのです。そういった者達はそう言った者達なりに精一杯生きている。例えその選択が傍目には愚かであろうとも、彼らはそれが幸せになる方法だと信じているのですわ」


かかちん助手

「そのようなものか。俺達はどのような時も一人で生きて行けるよう、幼い頃から己を律し、鍛錬を欠かさない。己の腕一つで己の人生を支えるのだ。それこそが鳥人の誇りだからな」


すーちゃん先生

「そうですか。ですが、そう言えば鳥人族にも、一人ではまともに生きていけなさそうな者がおりましたわね。先程の言葉を聞く限りでは、アレはあなた方の汚点なのでしょうねぇ」


かかちん助手

「ん? そんな奴が――」


すーちゃん先生

「おりますわよ。今もほら。空に」


かかちん助手

「空? ん? ――あ、ああっ! あいつ、何でこんな所に!? 今日の鍛錬、自分から参加するとかクッソ偉そうに言うとったのに!」


すーちゃん先生

「いつもの事でしょう。どうせ忘れてますわ、ククウルは」


かかちん助手

「あんのひょうろく玉がぁぁあッ!! クソッ、なんであんな奴が俺らのリーダーなんや! ともかく今回ばかりは勘弁しぃひんでぇっ! 待てやコラァッ!!」


すーちゃん先生

「あー……行ってしまいましたわね。ククウルもなぜ学ばないのか、理解に苦しみますわ……。まあ向こうは放っておきましょう。講義も丁度良いところまで終えましたし、今日はここで終わりに致しましょう。皆様、ご清聴ありがとうございました。また次の講義でお会いしましょう。それではごきげんよう~」


かかちん助手

「待たんかコラァ!! 聞いとんのかワレ、今すぐそこから降りてきぃ! しばき倒すぞ、この鳥人唯一の恥さらしのアホンダラのひょうろく玉のスカタン女がぁっ!」


ククウル

「え、何? 何でウチこんな罵倒されてんの? 怖っ!」


かかちん助手

「なんもかもワレのせいやぁッ!!」






                 おしまい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ