307.その者の理由
誤字報告下さった方、ありがとうございます。
翌朝。というか昼。俺達は一つの部屋に集まっていた。
別の部屋にいた魔族達も、今は同じ部屋にいる。と言うか、俺達は昨日スティアが左頬を赤くして帰って来てすぐに魔族達を部屋に呼び、寝室には行かず夜番を立てて、この部屋で交代で就寝したのだ。
なぜそんな事をと言えば、無論ヴァンパイア共への警戒のためだ。スティアにあんな仕打ちをする奴らだ、寝ている間に何を仕掛けてくるか分かったもんじゃない。
とは言え俺達は”断罪の剣”と交戦したばかりで疲労が凄まじく、仮に襲われたとしても満足に対応ができない状態で、休息を必要としていたからだ。
幸いヴァンパイアは昼夜逆転の生活で、これから朝を迎えると言う状況は絶好の休息するタイミングだった。なので色々と聞きたい話はあったもののそれらを一旦脇に置いて、皆で警戒しつつ仮眠を取ったのだ。
結局ヴァンパイア共から仕掛けられる事も無く心配は杞憂に終わったが、しかし何を考えているか分からない連中なのだから警戒を続けるに越した事は無い。
そうして俺達は今も一つの部屋に九人集まり、狭苦しくなった大部屋にこもっていたと言うわけだったのだ。
眠れた時間は短かったが、皆それなりに回復できたようで、顔に疲労は浮かんでいない。だが彼らの表情は殆どが固いもので、部屋の雰囲気は非常に重かった。
スティアはまあ言わずもがなだろう。昨日のあれで大体察せたし、”断罪の剣”の事もある。
彼女は先ほどからずっと向かいのソファに座り、膝の上で組んだ両手に目を落としている。明るくなれる要素が皆無であり、気が塞ぐのも仕方のないことだった。
だが、他の面々も消沈しているのは正直分からなかった。
バドは部屋の床に胡坐を組んで座り、ガザは部屋の壁に背中を預けて腕を組んで立っている。そんな二人がまとう空気はあまりにも重く、難しい表情でむっつりと黙ってばかりいる。
まあバドはいつも通り真顔だし何も言わないのは当然だが。だが今の彼を見ていると、そんなふうに思えるのだ。
コルツやデュポすらも珍しく何かを思案するように口を閉ざしていて、ロナとオーリだけがどこか気まずそうに部屋の隅で並んで座っている。妙に静まり返った部屋は居心地が悪いなんてもんじゃなかった。
ちなみにホシは俺の隣、ソファの上でまだ高いびきだ。相変わらず自由である。
「なぁ、そろそろ聞いても良いか」
俺はそんな自由人を羨みつつ、意を決して重い空気を断ち切るべく、昨夜の事を切り出したのである。
スティアからまず聞いたのは、奴らが襲ってきた理由と、スティア達が戦ったⅠとか言う奴の事だった。
聞いて驚いたのは、どうやら俺が知らぬ間にリリが来ていたらしい。話を聞くに、俺がギィドに魔剣を叩きつけた後だったようだ。
あの時は周囲に気を払っている余裕なんてまるでなく、当然リリが来た事も俺は全く分かっていなかった。
「そうか。リリがなぁ」
「リリさんが来てくれなければ、こうして合流できたかどうか。リリさんには感謝しきれませんが、でも……大丈夫でしょうか」
スティアは心配そうに眉を八の字にする。確かに心配する気持ちは分かる。だが今の俺達は、リリの無事を祈る事だけしかできない。
「奴らの目的は俺なんだろ? 奴らが任務を果たす事に拘ってるなら、きっと大丈夫だろ。リリだって馬鹿じゃないしな。無事でいるさ」
「だと良いのですが……」
「それに見ろよこいつを」
俺は爆睡しているホシを見る。
「その場にリリを残すのが危険だったんなら、こいつは意地でもそこに残ったと思うぜ。ま、ここから出たら一度、リリに手紙でも出してみるか」
「ええ……。そうですわね。それが宜しいと思いますわ」
ヘソが出ているホシを見てスティアはふっと小さく笑う。寝ていても賑やかし要員は良い仕事をする。俺はそっと手を伸ばし、めくれていた服を元に戻してやった。
「なあスティア。聞いても良いか?」
「何を……でしょうか」
「”断罪の剣”の目的だよ。俺を始末したい理由は分かったが、俺は政治に何て全く興味がねぇからな。狂人の集まりってわけでも無いんだろ? 奴らの目的が分かれば、引かせることもできるんじゃねぇかって思ってな」
何せきっと奴らはまだ森の外にいるはずだ。簡単に諦めてくれるような連中には到底見えなかったからな。
スティアは随分長い間”断罪の剣”に所属していたようだから、袂を分かったとはいえまだ複雑な思いがあるだろう。そんな心情を思えば今聞くのは得策でないようにも思えたが、だがこれはどうしても早い内に聞いておかなければならない事でもあった。
俺のそんな思いを分かってか、スティアは小さく頷きを返す。
「……ええ。承知しました。しかしそれは”断罪の剣”が如何にしてできたのかをお話ししなければなりません。話せば少し長くなるのですが――」
そう言って、スティアはとつとつと話を始めたのだ。
「あれはもう二十年程前の事になりますか……。サーディルナ聖王国にとある冒険者達がいたのです。彼らは”光輝の宝剣”というパーティを組んでいたのですが、若くしてランクSに上ったと、聖王国では非常に名を馳せたパーティでした」
「あ、”光輝の宝剣”なら俺も聞いたことがあるな」
「あたしは聞いたことない」
「ホシ、お前起きたのか」
「うん」
目をやれば、ホシが体を起こして目をこすっていた。俺はそんな姿を見て、そういえばと思い出した。
「二十年前って言えば、ホシはそん時まだ俺達と一緒にはいなかったな」
「そうだっけ?」
「ああ。だが”光輝の宝剣”か、随分と懐かしい名前だな。確か――勇者の意思を継ぐ者、だったか?」
あの頃はまだ若かったなと思いつつ、俺は顎を撫でた。
隣国の事であったものの、その高名は国を超え、当時一山賊に過ぎない俺の耳にも届いていた。
”光輝の宝剣”は聖王国のあちこちで精力的に活動しており、内容と報酬が見合わない依頼も快く引き受けると言った慈善活動に近い事をする事も多く、そのため民衆の受けが非常に良かったようだ。
なので民衆伝手に俺達のいる場所にまで噂が届いたようなのだが。
そんな理由からか付けられた呼び名が、勇者の意思を継ぐ者。
当時は雲の上の存在かと、苦々しく思いながら聞いたのを覚えている。
山賊とは天と地ほども扱いが違う。だが同じ人間であるにも関わらず、どうしてこうも差があるのか。
生まれか。運命か。それとも生まれ持った業だとでも言うのか。当時はそんなふうに考えた事もあったっけな。
そんな昔を思い出しつつ、俺はスティアの話に耳を傾けた。
「彼らは聖王国内で発生する様々な災害や被害に対して、力を尽くしていました。その姿勢を評価され、若くしてランクSにまで上り詰めた彼らを、聖王国内では貴方様の言う通り、勇者の再来として見る者も多かったようです。聖王の覚えも良く、慈愛の神ファルティマールの洗礼を受けさせようなんて話もあったそうですわ」
「それって凄いの?」
「そうですわね……この国で例えれば、平民を騎士団長に取り立てるようなものでしょうか」
「ふーん……。それって凄いの?」
駄目だこりゃ。首を傾げるホシに、俺はスティアは顔を見合わせた。
騎士団長に取り立てるとなりゃ最低伯爵位相当の地位が保証される上、国の軍事組織の頂点に立てるのだ、破格の待遇で間違いない。
が、ホシが分かるわけないわな。ホシはそんなものに価値を見出さないし、何より過去、軍の頂点に立っていたはずの俺がああも冷遇されていたわけだしな。何の意味があるの? って感じだろう。
「ま、そこはいいじゃねぇか。報酬として高い地位を与えようとした。それで?」
俺は簡単にまとめてスティアに先を促す。なおホシには話を腰を折らずに黙って聞けと視線で言っておく事も忘れない。
「そんな話があった彼らですが……。結局彼らが洗礼を受けることはありませんでした。その後しばらくして彼らは皆、異端審問にかけられ……民を扇動しようとした邪教徒として扱われ、拷問を受けた末公開処刑となったからです」
「何だかきな臭くなってきやがったな……」
処刑は聖王国の首都、聖都にて行われたそうだ。その場所には自分もいて、実際に目にもしたと、スティアは絞り出すように小さく言った。
勇者から一転、邪教徒扱いか。転落人生にも程がある。そこに何かの陰謀を感じてしまうのは自然な事のように思えた。
「一体全体、どうしてそんな事になったんだ? 何か理由があったのか?」
「彼ら側には何もありませんでした。あったのは、聖王国側です」
「聖王国側? 待て。それって――」
「彼らを英雄視する民が増えすぎた事を危惧した聖王国側が、自分達の威光の陰りを危険視し、彼らを排除するためにでっちあげたのですわ。聖王国側にも派閥があり、その中の保守派が画策したのですが……。結果、”光輝の宝剣”は邪教徒というありもしない事実で全員が処刑。その名は地に落ち、民からの信用は失墜したというわけですわ」
随分えぐい話だ。聞いているだけでも胸糞悪い。
勝手に英雄として担ぎ上げ、邪魔だとなれば排除する。そう言えば確か土の神剣もそんなことを言っていたな。土の勇者は皆悲劇の内に死に至ると。
だがなぜスティアがそこまで詳細を知っているんだろう。その話、もしかしなくても相当ヤバイ情報だろうに。
「でも、それがどう関係があるの? すーちゃん」
聞こうかどうか躊躇っていると、その間にホシが声を上げた。
ホシの眉の間には珍しくしわが寄っている。その顔にチラリと視線を向けて、スティアは軽く目を閉じた。
「”光輝の宝剣”の中でただ一人、生き残った者がおりますの。彼は聖王国から逃れると、しばらく姿を消していましたわ。ですが……その五年後。聖王国で保守派一党が惨殺されるという事件が起きたのですわ。それが――」
「そいつの仕業だと?」
俺が口を挟むと、スティアが首肯する。
「はい。その保守派の幹部らは、亡骸を広場に磔にされた状態で発見されました。そして、その広場には血でこう書かれていたのです。『例え神が許そうとも、大罪人の罪は我ら”断罪の剣”が裁く』と」
スティアの声は辛そうな音色を孕んでいた。その胸中もまたドロリとした暗いものが渦巻いている。
この話にはきっとスティアも絡んでいるのだろうと、俺は分かってしまった。そしてスティアも俺が察したことを理解したのだろう。
俺を見ながら、スティアは困ったように笑った。
「もう随分前の事になりますが。聖王国に滞在している際に、魔物に襲われていた子供をたまたま助けたことがあったのですが……その子供に妙に懐かれまして。自分も冒険者になる、何て言ってましたわね、当時のあの子は。本当になるとは思っておりませんでしたが」
「……弟子みたいなものか」
「そんな大げさなものではありませんわ。ちょっとした手ほどきをした程度でしたから」
こういう時、人の感情が分かる自分が恨めしくなる。誰しも知られたくないことがあるだろうに、俺の≪感覚共有≫はその蓋をこじ開け暴いてしまう。
何も言えずにいる俺の目の前でスティアは懐かしむように目を伏せた後、一呼吸ほどの間をおいて顔を上げた。
「生き残った者の名はオリヴェル。彼らの掲げる正義に反する者を断罪する……その事だけを活動指針とする、”断罪の剣”の中心人物。”Ⅰ”と呼ばれる男ですわ」
そう言ってスティアは寂しそうに笑った。
「そんな彼を一人にしておけず”Ⅱ”として”断罪の剣”におりましたが、結局わたくしにできたのはその程度。彼を止められるのはきっと、彼自身のみでしょう。あの子は元々、人が良すぎるくらいに甘い人間だった……。だからこそ、人への憎しみが心を壊してしまったのでしょう。他人の力ではもう止まれないのです」
全てを裏切られ、仲間を全て殺され、何も信じられなくなり、壊れてしまった。
世界全てが敵になったような、そんな気持ちなんだろうか。それで人を信じる気持ちが一転、全てを恨むようになった。
想像はできる。だがそんなものは、本人でなければ真に理解する事など到底出来ない。
スティアが言うように、他人がどうこうできるような問題とは俺も思えなかった。
「説得は無理って事だな。よく分かった。ありがとなスティア」
「いえ。いずれ話さねばと思っておりましたし、構いませんわ」
そう言ってもらえると助かる。こんな重い話をさせた手前、すまんと言うのも違うからな。
「んで、他の面子はどうなんだ? ”断罪の剣”の」
とにかくオリヴェルとか言う奴の事は分かった。なら他の奴らはどうなんだろう。
俺は聞くが、スティアは困ったような顔を見せた。
「”断罪の剣”のメンバーは基本的に自分の目的のために所属しているに過ぎません。なので詳細はわたくしにも分かりかねますが、分かる範囲で宜しければ」
「ああ、それで充分だ。頼む」
「それでは。わたくしが知るのはⅢとⅣのみです。それ以降はわたくしが離れている七年の内に加わったのでしょう」
「確かジジイはⅤ、ギィドはⅦって名乗ってたな」
「ⅤとⅦ……ナンバーは5と7ですわね」
となると今回は1、4、5、7が襲ってきたわけか。
スティアが2で、その他に3をスティアが知っている。6と8以降が不明だが、それだけ情報が得られれば十分だろう。ギィドの7がラストナンバーの可能性もあるしな。
「そのⅢとⅣってのは?」
「Ⅳはそう、バドが戦っていた者ですわ」
スティアがそう言うと、あぐらをかいて聞いていたバドがぐっと身を乗り出した。真顔ながらその目が一言も聞き逃さないと語っていた。
「彼の種族はオーガ。ホシさんと同じですわね」
「あたしと?」
「ええ。似ても似つかない見た目ですが」
方や巨人と見紛う大男。方やちんちくりんのチビっ子。全然違うもんな。
「チビじゃないもん!」
「はいはい」
「むーっ!」
俺の考えを悟り、頬を膨らませるホシ。だがどう贔屓目に見てもチビっ子だ。
俺が適当に返事をすると、ホシはますます頬を膨らませた。スティアはこれに目を細めつつ、会話を続ける。
「Ⅳは物理面では”断罪の剣”随一です。生半可な攻撃は全く通用しません。が、半面魔法は使えません。完全に物理攻撃一本の相手です」
「ホシと同じか」
「ええ。ですが彼自身魔法に弱い事を自覚しており、ある程度の対策を持っています。ただの力自慢とは違います。かなりの体力もありますし、まともに相手をするとなるとかなり面倒な相手でしょう」
ちらりとバドを見れば、彼は真剣にスティアの話を聞いていた。一言も聞き逃すまいという体勢である。
だがこちらの力自慢は興味がないらしく、ふわあと大きな欠伸をしていた。
もっと興味を持てホシよ。お前と同じオーガだぞ。
「それじゃⅢってのは? 今回いなかったみたいだが」
次に俺は、姿を見せなかった相手について聞いた。
「単純に捕まらなかったのでしょう。Ⅲについて一言で語るなら、強さの求道者。まあ種族的なものなのでしょうけれど」
「種族的なもの?」
「貴方様もご存じでしょう? ただ強さを追い求める者……誰かを思い出されませんか?」
誰かだと? そう問われて、俺は顎を撫でつつ考える。
そんな奴がいただろうか。そう一瞬思ったものの、すぐに思い当たるふしがあり、俺はスティアを見返した。
「おいまさか、アゼルノか?」
第三師団、第四部隊隊長のアゼルノ・ゼクツェン。かつての俺の部下は己の強さのみを追い求める修行馬鹿だった。
「ええ。Ⅲの種族は龍人族。アゼルノと同じ黄龍族ですわ」
スティアは俺の言葉を肯定し、そしてこう返した。
「彼は黄龍族の至宝である刀を所有しておりました。なぜ姫でもない彼がそれを持っているかは不明ですが……。その事から想像するに、恐らく実力は黄龍族一と思われます」
青龍姫であるリリが持つ至宝、水鏡乃杖。
白龍姫であるヴェヌスが持つ至宝、大太刀風花霧雪。
俺達が知る龍人族の姫二人は、どちらも至宝と呼ばれる武器を持っていた。
スティアの言うように、なぜ男がそれを持っているのかという疑問はあるが、だが至宝持ちであると言う事はつまり、その男はアゼルノ以上の手練れと思っていいのだろう。
黄龍族は打刀――太刀とは異なる刀の一種だ――を使う一族らしいが、確かアゼルノって接近戦じゃ仲間の中で一番強かったはずだぞ。ホシやバドにも勝ってた記憶がある。
「ただ魔法は全く使えません。アゼルノと同じですわね」
まあ黄龍族は魔法使えないみたいだからな。だがその情報が一体何の助けになるだろう。気休めにもならねぇわ。
「あー……」
俺は頭をガリガリと掻いた。どうするとか以前の問題だ。
対策なんて生易しい事を言っていられる状況じゃない。もうこれ詰んでねぇか。
「他に何か分かる事は?」
「申しわけありません。あまり戦闘を共にするという事がありませんでしたので、戦闘スタイルについてはあまり」
申しわけなさそうに言うスティアだが、だが黄龍族とオーガだったら何となく戦い方は想像できる。仲間に黄龍族とオーガがいるしな。
とすると後話しておくべきなのは、こちらの戦いで得た情報くらいか。
「じゃあ今度はこっちの情報を共有しとくか。今回戦って分かった事が色々あったしな」
俺達はそうして”断罪の剣”についての情報を共有していく。その情報を話し終える頃にはもう、夕方にはなっていただろう。
しばらくしてノックがあり、執事が食事の準備ができたと俺達を呼びに来た。俺達にとっては晩飯だが、昼夜逆転のヴァンパイア達にとっては朝食だろう。
そのまま食堂に案内される事になり警戒して臨んだものの、それは貴族的な雰囲気漂う普通の食事だった。人も俺達以外にいるのはメイド達くらいだった。
ならばそう危険は無いかと、俺がフォークを手に取った時であった。
「申しわけございません、エイク様。宜しいでしょうか」
部屋に入ってきた一人の執事が、俺の耳元でそっと囁いたのだ。
「我が主、キールストラ侯爵がこの後面会したいと申しております。恐れ入りますが食後、少し時間を取りました後にお呼び致しますので、食事が終わりましたら部屋でお待ち頂けるでしょうか」
やっと大将のお出ましかい。ならその面がどんなもんか、拝んでやろうとしようじゃねぇか。
「ああ、分かった」
「恐れ入ります」
俺が頷くと執事はにこやかな笑みを見せる。その笑みは間違いなく本物であったのだが、そこに俺はどうにも嫌な予感を拭えなかった。