五章 人物紹介
※五章終了までのネタバレを含みます。ご注意ください。
ジャスティーナ・メイヴィス・ロンベルク 年齢:二十三 人種:人族
艶やかな黒髪が特徴の、釣り目の女性。ランクB冒険者で、パーティランクはAの上位冒険者。
帝国のロンベルク侯爵の長女で、時代が時代なら一国の王女であるが、帝国の奴隷制度について皇帝に直訴すべく、手柄を立てるため冒険者の世界に飛び込んだ。
普段は身分を隠すため、自分の事はティナと名乗っている。
きつそうな印象に違わず物言いは固く厳しいが、弱きを助け強きを挫く気質で、そのために力を尽くす事を躊躇しない高潔な精神の持ち主。
ステフ 年齢:二十五 人種:人族
ティナと行動を共にする、やや気弱そうな男性。ランクB冒険者で、パーティランクはAの上位冒険者。
幼い頃は王国に住んでいたが、両親に売られ奴隷として帝国へ行くことに。小さく痩せた彼は買われ売られを繰り返したが、最終的にティナに買われ、ロンベルク侯爵家へ。自分を買ってくれた上、奴隷扱いしないティナを心から慕い、努力した結果逞しく成長。彼女付きの護衛となった。
普段は気弱そうに見えるが、必要な時には凛々しい表情を見せる、心優しくも気概のある青年。なおステフは奴隷になった時に付けられた名で、元々の名はステファン。
ラタ 年齢:不詳 種族:半精霊
世界樹の管理をする精霊モドキの少年。なお見た目と精神は少年だが、その実年齢は千年以上。クスと共に長い間世界樹を守り続けて来た。
長い間役割を遂行してきたが、世界樹を浄化する際死ななければならず、その事で精神が病み、浄化を失敗。世界樹が枯れる事になった。
再び世界樹が世界に根付いた後も役割を果たすことに消極的だったが、エイクらの協力を得て浄化後に初めて生還。協力してくれた仲間達のために再び役割を果たそうと、笑顔で世界樹の中に消えて行った。
クス 年齢:不詳 種族:半精霊
世界樹の管理をする精霊モドキの少女。ラタ同様見た目と精神は少女だが、その実年齢は千年以上。ラタと共に長い間世界樹を守り続けて来た。
ラタとクスは二人だが、元々一つの存在を二つに分けて生まれた半精霊のため、離れていても意思の疎通が可能。そのためお互いの感情や気持ち、考えが自分の事のように分かる特徴がある。
ラタと同じく役割を果たすことに消極的だったが、エイクらの協力を得て浄化後に初めて生還。笑顔で世界樹の中に消えて行った。
シルヴィア 年齢:十六 人種:人族
ミゼナの町の冒険者ギルド、ギルドマスターの義娘。愛らしい容姿をしているが、それを利用して人を良い様に使う事がしばしばあり、あまり良い噂が無かった、性格に少々難がある女性。
元々養父の事が好きではなく、七歳の頃からずっと彼の鼻を明かす事だけを考えて行動してきた。その一環で他人を使ったり”赤蛇”と共謀していたが、ついに犯罪者として捕まる事に。
その際に養父と話す機会があり、彼の心を知り改心。自分の行いを省みながらルヴェル鉱山へと送られて行った。
トビアス 年齢:四十三 人種:人族
ミゼナの町の冒険者ギルドでギルドマスターをしている男性。神経質で頭が固く、また結論を急ぎ過ぎる嫌いがある人物。
元々スラム出身で、彼の他人を信じず自分のみを頼りにする傾向がある性格は、この時に形成されたものである。だがそのため他人との話し合いが非常に下手。それが災いし義娘と気持ちが通じ合えず、ミゼナでの騒動を起こすことに繋がった。
義娘との仲が好転した今は、ミゼナの町で彼女を待ち続けている。かつて結婚を約束した女性を亡くし、それ以降独身を貫いている。
ライン・ルッテン 年齢:四十八 人種:人族
ミゼナの町で代官を努める男性。男爵位を持つ貴族だが、田舎町で生まれ育った故か、貴族にしては珍しく非常に温厚な気質。
ミゼナはシルヴィアの両親の故郷であり、彼はその幼馴染。そのためシルヴィアと彼女を連れて来たトビアスを温かい目で見守っていた。
しかしシルヴィアが拘束された際には見守り過ぎたと反省。トビアスに義娘とよく話すように強く促した。
ガモン 年齢:享年二十九 人種:人族
”赤蛇”を名乗る一団を率いていた男性。本当は”紅焔傭兵団”の団員だったが、貴族に捨て石にされ傭兵団は瓦解。その残党を率いていた。
元々スラム出身の男で、気性は粗暴かつ他人を嬲る事に喜びを見出すサディスト。シルヴィアを騙してミゼナを潰そうと画策するが失敗し、エイクに爆殺された。
ユストゥス・ラルフ・クンツェンドルフ 年齢:六十五 人種:人族
王国にたった三つしかない公爵家の一つ、 クンツェンドルフ家の当主だった男性。アリステリア魔術学院の学長を務め、多くの魔術師を輩出している家系に違わず、自身も卓越した実力を持つ人物。
三百年前に英雄王を支えた三人の英雄の血を引くとして、ハルツハイムを敵視し排除しようと画策していたが、その計画のことごとくが王家に露見。更に父親が叔父――当時のクンツェンドルフ家当主を毒殺した事も明らかになり、大罪人として拘束された。
結果クンツェンドルフ家は取り潰し。彼自身もルヴェル鉱山での終身刑となった。
シルヴィオ・ジルド・リーデリオン 年齢:三十三 人種:人族
王国にたった三つしかない公爵家の一つ、 リーデリオン家の現当主。聖皇教会の枢機卿であり、教会内でも絶大な権力を持つ男性。
常に笑みを絶やさず優し気な空気をまとう柔和な人物だが、その腹の内は中々に黒いとの噂。現在は現れた水の勇者を利用して、教会の権威を増そうと考えているようだが……?
アルバン・エトムント・ライゼンハイマー 年齢:四十三 人種:人族
王国にたった三つしかない公爵家の一つ、 ライゼンハイマー家の現当主。”王家の影”を率い、王国の暗部を一手に担う。それ故か感情表現が非常に乏しい男性。
一族の一部がクンツェンドルフの姦計に乗った事で、禊として前当主および前々当主、つまり父親と祖父を失う。彼自身も少しの猶予を貰ったが、その後蟄居する事を受け入れた。
マリア 年齢:推定十五 人種:人族
輝くプラチナブロンドと黄金の目を持つ、可憐で美しい少女。
普段は礼儀正しくたおやかな淑女だが、その素顔は自らを大聖女と言って憚らない傲慢不遜な性格。自分のために他人を使う事に躊躇が無く、エイクらを今回の騒動に強制的に巻き込んだ。
聖皇教会からは聖女として保護されそうになっているが、主神フォーヴァンの使徒ではないとして嫌い逃走。使命を果たすため護衛のアレスと行動を共にする。
なお彼女は世界を創造した最高神である創造神の使徒であり、大聖女を名乗っているのはそのため。
アレス 年齢:推定二十七 人種:人族
大聖女マリアを護衛する、紺色をした短髪の男性。巨大なハルバードを軽々と操る凄まじい膂力を持ち、攻守様々な精技も習得している万能戦士。
口数が少なく威圧感があるが、性格は非常に真面目であり、自由奔放なマリアをいつも陰で支えようと振舞っている。が、基本マリア全肯定人間なので、彼女のストッパーとしてはまるで無力。
”戦神”の異名も持つ、類稀なる実力を持つ人物。
ユグドラシル 年齢:三〇一 種族:該当なし
人の見た目をしているが人間ではなく、世界樹ユグドラシルの魔力によって作り出された分体。三百年前、天眼の軍師ネロスによって王都から運び出され、ゲラニオ山の地下深くに根付いた世界樹によって生み出された。
自分を守るため自らの人生を投げ打ったネロスを父のように慕っており、彼の墓参りが日課となっていたが、世界樹が再び枯れる兆候を見せてからは動く事もままならなくなり断念。正常に浄化を始めてからは歩けるようになり、また毎日父の墓前に花を供える生活へと戻った。