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元山賊師団長の、出奔道中旅日記  作者: 新堂しいろ
第一章 元師団長と孤軍の残兵
30/389

すーちゃん先生の特別講座1

本作の舞台となる世界に関しての説明などです。

無駄に長いですが、興味のある方はどうぞ。

なお読まないと本編のほうで意味不明な内容が出てくるなど、

そういったことはありません。

すーちゃん先生

「すーちゃん先生の特別講座ー! 始まりましたわ! わーわー! パチパチパチー!」


ホシちゃん助手

「それじゃーばいばーい!」


すーちゃん先生

「ちょっと! 勝手に終わらせないで下さいまし! 始まったばかりなんですから!」


ホシちゃん助手

「おーいえー! ゴーゴー!」


すーちゃん先生

「どっちなんですの!? もうっ! ……こほんっ! えー、それでは気を取り直しまして、始めたいと思いますわ! このコーナーはわたくしの独断によって、今必要と思われる情報をお届けする、ひっじょぉー……にためになる、特別な講座なのですわ! 興味のある方は是非聞いていって下さいまし! 今回この講座の助手をして下さる方はなんと! エイク様親衛隊ナンバー2、ホシちゃん助手ですわ!」


ホシちゃん助手

「すーちゃん、その片眼鏡(モノクル)かっこいい!」


すーちゃん先生

「え? あ! そうでしょう!? まずは雰囲気から、ですわ! ホシちゃん助手もその白衣、可愛らしいですわよ?」


ホシちゃん助手

「えっへん!」


すーちゃん先生

「ああでも、袖が余り過ぎですわ。だらしないですわよ? まくって差し上げますわね」


ホシちゃん助手

「やー!」


すーちゃん先生

「えっ!? あ、ちょっと! 待って!」


ホシちゃん助手

「やー!」




        ――――― しばらくお待ちください ―――――




すーちゃん先生

「はぁ、はぁ、はぁ……もう、いいですわ……」


ホシちゃん助手

「それじゃあ早速、すーちゃん講座スタート!」


すーちゃん先生

「それわたくしの台詞……はぁ、もういいですわ……それでは気を取りは直してどうぞ」



Q.本作の舞台となる地方について



すーちゃん先生

「わたくし達の今いるこの国、神聖アインシュバルツ王国は、テネシアと呼ばれる大陸にありますの。そのテネシア大陸のちょうど中央に、大陸を横断するように横たわるゼーベルク山脈があるのですが、神聖アインシュバルツ王国はその山脈を覆うようにして東西に延びる横長の大きな国なのですわ。国を南北に二分するように山脈が伸びているので、山脈より南を南部、北を北部、なんて呼ぶ方も多いですわね」


ホシちゃん助手

「北部と南部って何か違うのー?」


すーちゃん先生

「大まかには変わりありませんわね。ゼーベルク山脈の影響か、南部の方が気候が穏やかではありますが、かと言って北部も住みづらいようなことはなく、暮らすのに不自由するなんてことはありません。生活水準も基本的に大差ありませんわ。まあ強いてあげますと、王都が南部にある都合か、南部の方が人が多く集まり栄えておりますわね。王国を代表する施設なども南部に集中しておりますので、南部の人間からすると、北部は田舎、というイメージが強いようです。決してそんなことは無いのですけれどね」


ホシちゃん助手

「他にはないの?」


すーちゃん先生

「んー、後はそうですわねぇ……。この国は内陸の国なので東西南北に国境がありますが、西はゼーベルク山脈が広がり、東には不毛の大地と呼ばれる、その名の通り広大な不毛地帯が広がっているだけで、実際のところ東西には国の境というものはありません。ただ北と南には隣接する国があるので、そちらは明確な国境があるのですが、それらの国からの影響を考えると、北部のほうが比較的平和ではあるかもしれませんわね」


ホシちゃん助手

「えーっと、確かサルディーナ聖王国と、ルレレイア帝国?」


すーちゃん先生

「ちょっと違いますわね……。国境を越えて北はサーディルナ聖王国、南はルルレイア帝国の領土となっておりますわ。サーディルナ聖王国は慈愛の神ファルティマールを信仰する長い歴史を持つ国ですわね。こちらの国との信仰が異なりますが、今のところの関係は悪くありませんわ。一方南のルルレイア帝国はつい三十年ほど前、南の小国群をまとめ上げた初代皇帝が興した、まだ歴史の浅い国ですわ」


ホシちゃん助手

「んー? 北部が平和ってことは、帝国が危ないの?」


すーちゃん先生

「先ほどまとめあげた、と言いましたが、帝国は他国を侵略して版図を広げたんですの。なので平定したとは言われていますが、水面下での小競り合いはしょっちゅうらしいですわ。それだけならまあお好きにどうぞと言うところですが、最近この王国に攻め入ろうとしたこともありますし、対岸の火事として見ているだけ、というわけにもいかないでしょうね。ホシちゃん助手だって覚えているでしょう?」


ホシちゃん助手

「うん! あの時はすーちゃんとヴェヌちんが大変だった!」


すーちゃん先生

「あっ! も、もうこの話は終わり! 終わりですわ!」


ホシちゃん助手

「どっかんどっかん! ずどんずどーん!」


すーちゃん先生

「はい次! 次をどうぞっ!」



Q.貨幣価値について



すーちゃん先生

「この国で使用される貨幣は五種類ありますわ。ホシちゃん助手もご存じですわよね?」


ホシちゃん助手

「うん! 小銅貨とー、銅貨とー、小銀貨とー、銀貨とー、金貨!」


すーちゃん先生

「そうですわね。わざわざ言う必要もないことでしょうけれど、小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、金貨の順で価値が高くなりますわ。 小銅貨が20枚で銅貨1枚、銅貨10枚で小銀貨1枚、小銀貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨が1枚となりますわ」


ホシちゃん助手

「小銅貨とか小銀貨の小って何? 大きさ、他のお金と同じだよ?」


すーちゃん先生

「凡そで、銀は銅の100倍、金は銀の10倍の価値があるのですけれど、だからと言って銅貨100枚を銀貨1枚とすると不便でしょう? 例えば銅貨が90枚必要な買い物をする場合に、銀貨が無ければ銅貨を90枚も持ち歩くことになりますが、そんなものは大変ですものね。また小銅貨については、市井には銅貨未満の価値の物が非常に多くありますから、銅貨よりも価値の低い硬貨を作ったのですわ。利便性を考慮した結果、銅貨や銀貨に混ぜ物をして価値を下げた、小銅貨や小銀貨という貨幣ができたのです。小、とありますが実際にサイズが小さいわけではなく、価値が小なわけですわね」


ホシちゃん助手

「他のお金は10枚ずつで交換なのに、小銅貨だけ20枚なのはなんで?」


すーちゃん先生

「先ほど市井には銅貨未満の価値の物が非常に多くある、と言いましたが、小銅貨1枚で購入できるものや、それ以下の価値の物も世の中には多くありますわ。ただあまり細かくしすぎると、先ほどの銅貨100枚の話と同じ問題になりますから、ある程度細かくしつつ、かつ過度にならない程度を考慮して20枚になったのではないでしょうか。ただ小耳に挟んだ話ですが、銀貨は、銀自体が非常に需要のある金属ですから、合金――小銀貨ですわね、を作るときにちゃんと、混ぜる金属の種類や分量を管理しているそうですが、銅貨は原材料の銅が安いので適当に混ぜているらしいですわ。もしかしたら適当に混ぜているため価値もこれくらいだろう、なんていい加減な意見が通ってしまった……のかもしれませんわね」


ホシちゃん助手

「これってどの国でも使えるのー?」


すーちゃん先生

「ここまで説明した貨幣につきましては王国硬貨とも呼ばれ、神聖アインシュバルツ王国とルルレイア帝国で使用できますわ。元々王国で作成した貨幣ですが、南はもともと小さな国が集まった地方で、お金を作るだけの力が各国にありませんでした。なので、王国の貨幣を各国が扱うようになり、それが今の帝国でもそのまま残っているのですわね」


ホシちゃん助手

「それじゃあサルディーナ聖王国は違うの?」


すーちゃん先生

「サーディルナ聖王国、ですわよ? 聖王国では、価値の低い硬貨から、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨(しろきんか)となってますわ。これらは聖王国硬貨や聖硬貨なんて呼ばれますわね。当然硬貨が違うので聖王国では王国硬貨は使えませんし、逆もまた然り、ですわね」


ホシちゃん助手

「ねぇねぇ。白金(しろきん)って、何?」


すーちゃん先生

白金貨(しろきんか)の原材料は魔導銀とも呼ばれるミスリルですわ。本来なら白銀貨や魔導銀貨と呼ばれるのでしょうけれど、価値が金貨より上なので、銀という言葉を使わず金を用いて、白金貨(しろきんか)と呼ばれているようなんですの。白金(しろきん)、という金属があるわけではないのですわ。そうそう、この白金貨(しろきんか)。王国が建国百年の時に聖王国で作られたらしいのですが、どうやら急激に繁栄し強大になる王国に対抗して、聖王国の権威を誇示するために作られたそうなのです。それで作ったはいいのですが、金貨より価値が高い硬貨のため殆ど市井の者の目に止まる機会が無く、加えて金持ちが道楽で収拾しているようで、あるにも関わらず誰も見たことがないらしいですわ。硬貨の価値も金貨の二倍でしかありませんし、需要よりも蒐集品としての価値が勝ったようですが、まあなんとも滑稽な話ですわよね」



Q.魔物と討伐難度について



ホシちゃん助手

「そーいえばさー、魔物って何なの?」


すーちゃん先生

「んー、そうですわねぇ……。動物が魔力によって変異したものとも、進化したものとも言われていますが、正確には良く分かっておりませんわ。もしかしたら動物とも全く違う生物なのかもしれませんわね。一つだけ言えることは、動物よりも総じて魔力が高いということです。魔法らしきものを使う魔物もおりますし、まだまだ良く分からないことだらけですわね」


ホシちゃん助手

「ふーん。でもさー、動物より弱い魔物もいない?」


すーちゃん先生

「いますわね。小鳥の魔物なんて普通にそこらの野良犬にすら負けますわ。動物より強いと言われる魔物ではありますが、魔物もまた生物という枠組み――食物連鎖という呪縛からは逃れられないわけですわね。さて。そんな魔物ですが、人間と共存できるケースも多い動物とは違って、脅威になることが非常に多いです。なので、各個体の強さを示すランク、と言うものがありますわ。えーっと、このボードを、と」


 ・ランクG

  武器があれば戦い慣れていない一般人でも何とか勝てる。

  動物なら野犬以下の強さ。弱い。ウ〇コ。

 ・ランクF

  武器をある程度使い慣れた人間(ランクF冒険者など)なら互角に戦える。

  動物なら中型の猛獣程度の強さ。

 ・ランクE

  戦いに慣れている人間(ランクE冒険者など)なら互角に戦える。

  動物なら大型の猛獣程度の強さ。動物はここが限界。

 ・ランクD

  熟練の戦士(ランクD冒険者など)なら互角に戦える。

  精技(じんぎ)未習得者なら大体ここが限界。

 ・ランクC

  達人の域にある戦士(ランクC冒険者など)や、初級精技(じんぎ)を習得済みの

  熟練の戦士なら互角に戦える。

 ・ランクB

  超人の域にある戦士(ランクB冒険者など)や、ランクCと互角に戦える人間

  が四人以上いれば互角に戦える。

  ランクB以上は精技(じんぎ)の習得が必須。

 ・ランクA

  ランクB冒険者が四人以上いれば互角に戦える。

 ・ランクS

  ピンキリ。最低でもランクB冒険者が十人以上必須。


すーちゃん先生

「ちょっとちょっと! この……ウ、ウ〇コって誰が書いたんですの!?」


ホシちゃん助手

「さっきえーちゃんが何か書いてたよ!」


すーちゃん先生

「えぇー……? あー……えー……んー…………うん! 見なかったことにしましょう!」


ホシちゃん助手

「ウ〇チー!」


すーちゃん先生

「見なかったことに、します! さあ気を取り直しまして参りましょう! ざっくりで、こんな感じでしょうか? なお互角に戦える、というのは文字通り互角なので、勝率は五分五分。状況が悪くなれば当然死ぬことになりますわ。余裕をもって戦いたいのであればそれ以上の戦力を揃えなければなりませんから、その点はご注意くださいね。なお、このランクというものが個体の強さを示す指標なのですが、討伐難度という、討伐するために必要な戦力の指標となるものもありますわ。簡単に説明いたしますと、ランクFの魔物が群れを成す場合、群れとしての戦力を考えると討伐難度はEになる、と言った感じですわね。その場合当然ですが、そのランクFの魔物の群れを相手取るにはランクE相当の戦力が必要となるのですわ。討伐難度については、戦闘を行う場所や敵の特徴、おかれている状況などを総合的に分析したもので、時と場合によって変動することもありますから、魔物などと戦うのであれば注意しなければならない大切な要素ですわ」


ホシちゃん助手

「ねぇねぇ、ランクA冒険者とかランクS冒険者はどうして書いてないの?」


すーちゃん先生

「良いところに気づかれましたわね。基本的に、冒険者が腕っぷし一つでなることができるランクの最高位はBなのです。AやSは、実力のほかに何かしらの功績が必要なのですわ。いわゆる栄誉ランクというわけですわね。ですからランクAやランクSの冒険者は、実力がピンキリで指標には向かないのですわ。ランクBと実力が遜色ない場合も少なくありませんしね。なので先ほどの説明からは省かせて頂いたのですわ」


ホシちゃん助手

「ふーん。あとさー、これ魔法使いはどうなるの?」


すーちゃん先生

「あ、そうですわ。先ほどの説明は、真っ向から切って結ぶ場合の指標でしたわね。ただ魔法使いがいる場合となりますと、魔法にも下級(ビギナー)中級(ノーマル)上級(マスター)とクラスがありますし、四大精霊のうち、どの精霊の魔法を得意としているかにもよりますので、具体的に言うのは少々難しいのです。正確に考えるなら、先ほどの討伐難度に関する分析が必要になってきますので、パーティに魔法使いが一人以上いれば1ランク上の相手も倒せる可能性が広がる、くらいに思っておいて頂ければそう間違いないかと思いますわ。ですが魔法使いは接近戦に弱いのが常ですから、そこを補わなければ逆に危機的な状況に陥るかもしれませんし、そこは面子(めんつ)と相談してくださいまし」


ホシちゃん助手

「ふーん。ねーすーちゃん。あたしは何ランクなの? あたし、魔法も精技(じんぎ)も使えないよ?」


すーちゃん先生

「またその話ですの? うーん……ホシちゃん助手は間違いなくB以上の実力がありますわね。AやSを含めると、ランクSか、Sに片足を突っ込んだAだと思いますわ。先ほどのランク分けでは精技(じんぎ)についての言及もありましたが、正確に言えば内勁(ないけい)外勁(がいけい)の鍛え方のほうが重要なのですわ。ただそれらは指標を設けるのが難しくてあのような説明の仕方になったのです。あ、そういえば内勁(ないけい)外勁(がいけい)の話はまだ――あら? 今気づきましたが、もうそろそろ良い刻限ですわ。説明も良いところが終わりましたし、本日はこの辺りにしておくことにしましょうか」


ホシちゃん助手

「今日はもうおしまい?」


すーちゃん先生

「そうですわ。ホシちゃん助手、ご協力ありがとうございました。大変助かりましたわ」


ホシちゃん助手

「えっへん! くるしゅうない!」


すーちゃん先生

「うふふ、頼もしい限りですわ。さて。それでは第一回特別講座、これにて終了致します。ここまでお付き合い頂き感謝いたしますわ。次回もまたお付き合いいただけましたら幸いですわ」


ホシちゃん助手

「次の特別講座は、えーちゃん下痢でトイレ魔人になる、バドちん脇の下でパン作りに挑む、すーちゃん死す、の三本です!」


すーちゃん先生

「まともなのが一つもありませんわ!?」


ホシちゃん助手

「それじゃあまたねー! ばいばーい!」


すーちゃん先生

「え!? これ本当にやるんですの!? ちょっと待っ――」


ホシちゃん助手

「ばいばーい!」




                おしまい

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