41.幸せに
とーっても短いです。
冬も終わりを告げ、春の匂いがし始めた今、私とシュナイザーの結婚式の準備は急ピッチで進められていた。
ドレスは一から作るとなると時間がかかるから――というかお金もかなりかかるし既製品をいろいろ試着して彼と2人で決めた。
仕事仲間たちは当日出すデザートを、料理は近くの食事処にお願いした。
小さな町だから私たちのことはみんな知っているし協力的だ。何くれとお互いに持ちつ持たれつで協力して店を営んだり生活したりしている。人が近く感じられることで得られる、良い所だと思う。
庭に入れるだけの人数に絞って招待状も書いている。ラリアンやトルティーナはもちろん、バイトでお世話になったハゴルさんとチェルシーさんにも出した。キュルレさんにはエイミ経由で。シュナイザーの方も特に仲の良かった友人を呼ぶようだ。
後は今手伝ってくれている町の人たちや仕事繋がりの人。
店をやりながらの準備は、みんなが手伝ってくれていても思ったより時間がかかって大変だった。
日は飛ぶように過ぎ、式当日。暑くもなく寒くもなく、空は快晴で朝から気分の良い一日が始まった。
真っ白なドレスは空の青と周りの緑にいい感じにマッチする。シュナイザーが着ている白いタキシードも、普段と違った雰囲気で思わずお互いまじまじと見てその間沈黙が降りた。
「・・・綺麗だな。」
「ありがとう。あなたも似合ってるわよ?」
「そうか。」
思わずといった感じでこぼれた小さなつぶやきに照れくさくなり、自分の声も小さくなる。
緊張でぎくしゃくし始めた2人に喝を入れるように「2人とも準備は出来た?そろそろ行くよ。」と声がかかった。
「じゃあ行きますか。お手をどうぞ?お姫サマ。」
「じゃあ、お願いします。」
彼の手に自分の手を重ね、神父が待つところまで招待客の間をゆっくりと歩いて行った。
無事誓いも終わり、ドレスをし替えまたガーデニングに戻る。
「おめでとう!」
「もう~!結局くっついたのね!はじめ聞いた時びっくりしたじゃない。2人で幸せにね。・・・そこの元伯爵令息、マリを泣かせたら許さないからね。」
口々にお祝いの言葉を告げられ、久しぶりに会った友人のうち、ラリアンはシュナイザーを少し睨みながら忠告していた。
「そんな事しないさ。それにそれは取り越し苦労だよ。」
私の腰を引き寄せた彼は全く気にしていないといった感じだ。
その後はチェルシーさんやキュルレさんをはじめ、来てくれた人たち1人1人に声をかけていった。
準備された料理やデザートは立食でそれぞれが少しずつとって食べていた。一口サイズにされたそれらは食べやすく、また美味しくて参加してくれた人たちみんな喜んでいた。
「教会で厳かに挙げるのも良いですけど、ガーデニングで結婚式もすごく良いですね。参考になります。」
そう言った若い女性からの一言に、自分もここで出来て良かったと思えた。
気付けばあっという間に日が傾き始めていて、賑やかだったこの庭も1人、また1人と帰っていき静けさが増してきた。
「今日は皆来てくれて、良かったな。」
「うん。久しぶりに会えた人達もいたし、こうやって結婚式ができて良かったよ。」
「これからはここで幸せになろう、2人で。・・・いや、みんなと一緒に。」
「うん。」
そして頷き合ってシュナイザーの首に手を回して抱き付く。
そして少し離れて互いに見つめ合い深いキスへ――
家を出て自由を手に入れた私は今世こそ元婚約者と幸せになれたのだった――。
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