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24.ミッション④ー店完成ー

慌ただしい日々を過ごしている間にいつの間にか夏が過ぎ去り涼しい風が吹く季節になっていた。

冬を超えれば卒業ということで、学校生活が残りわずかとなってきているのを他の生徒たちも実感しているのか、浮足発つ人が増えてきたように思う。


ただ、1日1日は変わり映えがない。平日は授業を受けて友人と食事をとり、放課後は課題をこなし、というルーティンを繰り返している。

休みの日は朝からバタバタと活動している。店のことで4人で会ったり業者さんと会う以外は朝から晩まで長丁場だがブオノでバイトを続けていた。

初期の頃に比べて大分段取りよく給仕や調理介助を出来るようになった。



そんな日々を過ごす中、店が完成したと連絡があった。そして造園所からも庭もあらかた出来上がったと連絡が。まずはブルーベリーの木を植え付けてもらった。ただ、依頼したレモンとオレンジの木は植え付けの季節がもっと後だそうで、まだ未完成の状態だ。私が卒業を迎えるころに植えてくれるらしい。





食器を店の雰囲気に合わせるため、エイミと2人、出来上がったばかりの店に行く。


店の前に短いながらも小道が作られており、扉までの距離のちょうど真ん中あたりにアーチがあった。そのアーチに沿うようにバラが植えられている。これが成長したらきっと見事なものになるだろう。

そのアーチをくぐれば半円アーチ型扉に出迎えられる。ノブを引けば取り付けられていた鈴がカランと音を立てる。

入ってすぐ前にあるのはレジと厨房とお客さんの所を行き来するように設置されたウエスタンスタイルのドア。横にはL字型のショーケースがあり、その周りに丸いテーブルを4つ、工務店に依頼して作ってもらっていた物が置かれていた。それぞれに椅子が2脚ずつ。一応予備として数脚店の奥に置かれている。


外が見れるように小さな窓が取り付けられているが、1つだけ大きなガラスの扉が設置されており、そこから外に出られる。この店の入り口近くまでの広いウッドデッキの上にも店内と同じテーブルと椅子が2セット置かれており、雨の日でも利用できるように屋根が付いていた。

そこからは道路に面した方にミモザの木が植えられている。今はまだまだ小さいものだがいずれ大きく、春には見ごたえのあるものになるだろう。これをリースにして扉に飾るのを楽しみにしている。


キッチンは店内からあまり見えない様になっているが、人の顔くらいなら確認できる。店内に近い方でデコレーションをしてその隣にコンロなど火元があり、通路を挟んで奥に洗い場や大きなオーブンが設置されいてる。飾りつけの台の後ろは大きな冷蔵庫。収納もしっかりあり、困ることはなさそうだ。


キッチンを抜け、奥に進めば2階へ上がる階段と勝手口。

2階は居住スペースにしており、小さな部屋も2つ作ってある。リビングだって広くはないが、2人で生活するならこれで十分だ。


勝手口から庭に出ると、隣のブティックに面した方にすでにブルーベリーが等間隔で植えられていた。

アパート側のレモンと噴水のある公園に面した道路側のオレンジはこれからだが楽しみだ。下は芝生で整えられており、奥に花壇があるといえど広く感じる。お客さんが庭に行くときはレジ横の勝手口のようなドアから出入りしてもらう予定だ。ちなみに、勝手に庭の方へ回れないよう、店とブティックの間にも木を植えてある。




「予想以上にいい感じに出来上がってるね。もう今からワクワクしちゃうよ。」

「うん。木のいい香りもするね。このウッドデッキ設置してよかった。どうしてもこれがしたかったの。首都の方に行けば似たようなのもあるらしいけどこうして草花に囲まれてはいないでしょ?いつもと違う、自然の中にいるような雰囲気にしたかったの。」

目を細め外からウッドデッキ周辺を見渡す。エイミはワクワクすると言った通り目が輝いていた。


「でも、本当に表はこっちで良かったの?公園側を正面にしても良かったと思うけど。」

「いいの。海に向かって一直線の道だからね。この店だけ入り口が違うと見栄えもちょっとどうかなって。窓から公園が見えるようになってるからそれでいいでしょう。」

実は工務店に依頼する前、店の玄関を公園側にするか、大通り側にするかで悩んでいた。

公園側にすれば公園に来た人たちが入りやすいんじゃないかと。でも結局他の店と足並みをそろえ大通り側を正面とした。それに対して後悔はしていない。


今はまだ幼い木々や花々を見てさて、と声を出す。

「そろそろ買い物に行かないと遅くなるね。」

「あ、そうだね。目ぼしい所をいくつか見繕っておいたんだけどそこから回る?」

「うん。じゃあ案内よろしく。」

この店に合った食器や調理器具を買うために店に寄ったのだ。たくさん買うからそろそろ行かないと日が暮れてしまう。




「これはどう?」

「ちょっとシンプル過ぎない?」

「主役はケーキなんだからこれは派手じゃなくていいんだよ。」


「この泡だて器軽くて使いやすそう。」

「こっちの方が丈夫だしこっちにしよう?」


2人であーでもない、こーでもないと話しながら一つ一つ手に取って決めていく。

正直、調理器具に関してはほとんどお任せ状態だ。作るのはもっぱら他の3人になりそうだし、現役者に見てもらった方がちゃんとした物を選んでくれるだろうし。

――安物買いの銭失いは避けたいと思うから。




結局、ケーキ用の皿はシンプルに白一色の陶器に。紅茶用のカップは縁の部分に小さな花柄があしらわれている物でポットはそれと対をなすものにした。冷たい飲み物はグラスに。そのグラスも矢来模様、という遠い、そんな国あったっけ?と思った国で作られている技法で作ったというもので、これに飲み物を注げばきっと涼しさも表現できるだろう。


それぞれを店の人に丁寧に包んでもらい、割れないように慎重に2人で分担して抱えた。

店に戻ってその品々を片付ける。もちろん、一度洗ってから使うが、使う日まで長すぎて埃がかぶってしまうためそのまま紙にくるまれた状態にしておく。



「じゃあ、帰ろうか。」

自分の店の周囲の建物がどんどん増えてきている。こうして周りを見ると本当にもうすぐ店を経営していくんだなって実感できる。


そうして慌ただしく深まる秋も過ぎ去っていくのだった――。

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