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11.ミッション②ー住宅の相場を知ろうー

着々と宝石の付いたアクセサリー類やドレスを売りさばいていく中で、新たな問題に直面した。


住む家がない。


これは由々しき問題である。

お金がなければ住む家は探せない。だが、働くには住所がいる。まるで問題が全てループしているようだ。


バイト先の人たちはキッチンの台が低いだの高いだの、食器棚の向きが―まな板を置くスペースが―と言っているのを聞いたことがある。他にも玄関の広さや近隣住人の騒音など、休憩時間に話しているのを聞いていたが、よく分からなかった。

だが、これからは自分の身に降りかかるということだ。


他の人のアドバイスを聞きながら吟味しなければ。

そもそも家っていくらするんだろう?


と、いうことでチェルシーさんにそれとなく聞いてみれば紹介してくれた不動産。まずは持ち帰ったパンフレットを貰い、どんなものがあるのか見ていく。



自室のベッドの上で行儀悪くも寝ころびながらペラペラとページをめくっていた。頭元のそばの小さなテーブルにはランプが灯りを灯し、水入りの小さなピッチャーとグラスが伏せて置かれていた。


そう、メイドが就寝の挨拶と共に準備してくれたものだ。

今は日をまたぐ少し前。本来ならもう眠っている時間だが、今日は貰って来たパンフレットを早く見たくて寝る時間を割いてこうしている。


長い銀の髪が手元に影を落としているが、手元の字が見えないことはない。


(1200万!?)

田舎の一軒家が土地込みといえどなんと高い。思わず大きな声が出そうになって手で口を押えた。近くに家族はいないが、メイドたちが私が呼んだ時に分かるように、すぐに行けるように、近くの部屋に控えている。気を付けないと。


玄関を入って右手側にお手洗いとお風呂、左手側にリビングダイニングキッチン、隣に寝室。玄関入ってすぐの真正面の階段を上れば小さな部屋が3つ。――これは家族用だろう。私1人には広すぎる。小さな庭付きは魅力的なんだけど・・・。

だが、一軒家はどこも似たような広さと額だった。


冊子の後半はアパートメント。


玄関の突き当りにリビングがあり、その手前にキッチン。左手側にお手洗いとお風呂。ここは洗濯機が備え付けられているらしい。リフトベッドで下に収納スペース。

(へえー、こんなのもあるんだ。1人ならこれくらいの広さでも大丈夫そう。)

そこには家賃が月額5万5千の文字。他に何があり何はないのか、家賃以外でいくらかかるのかが書かれていた。

アパートメントは安いものは3万ほどで、高いと10万を超えていた。新築ほど高く、部屋も広そうで魅力的ではあったが、継続的に支払えるか心配がある。


間取りやイラストだけでは分からないことも多い。

例えば、近隣の環境。例えば利便性。

旅は道連れという。





と、いうわけで連れてきましたラリアンさん。

今日は町娘の格好をして不動産屋巡りをしています。

「来るのはいいんだけど、こういうのって自分が住む町で探すものでしょう?ここで暮らすの?」

「ブオノで就職させてくれるならそうなるかな。でもとりあえずは内覧とその周辺を見て回りたいと思って。」

「まあ、マリがそれでいいならいいんだけど・・・」


見たい物件を伝え、不動産屋に案内され回ること小一時間。ここじゃないとだめ、っていうのはなかったが、やっぱり一軒家よりアパートメントの方がいいのは明らかだった。

アパートメントは2階建て3階建てとあり、裏が公園になっている住宅街やお店が近くに密集している地域など様々。山の麓に近づくほど町は静かで緑豊かだった。


「私としてはこの静かな所とお店が密集しているあの辺りのちょうど間がいいかな。」

淡いグレーの2階建てのそこは落ち着いた感じで中も程よい広さ、バルコニーも付いているからそこで洗濯物も干せそうだ。しかもバルコニー側はほとんど建物は立っておらず晴れの日は日当たりがいい。


ブオノからほど近く、実家からはほど離れていてちょうどいいかもしれない。

まあ、あと1年ちょっとで状況がまた変わるかもしれないが。


「交通の便は少し悪いけど町からほとんど出ないならここでもいいね。それに生まれ育った場所に似ている環境の方が住みやすいっていうし。――人が多い所の方が家族が探しに来ても紛れそうだとは思うけど・・・。」

「大丈夫。探しに来ないよ、あの人たちは。」

そこは自信を持って言える。だてに今まで一緒に暮らしてないよ。


と、まあ何回かに分けて見て回った不動産屋も2か所だけ目ぼしい所があったので良しとする。

卒業するまでそこが空いている保証はないが・・・。


「一人暮らししたらさ、自分でご飯を作ることになるじゃない?どう?ブオノで少しは作れるようになった?」

「おかげさまで。少しずつだけどレパートリーも増えてきたよ。最近はデザートも教えてもらってて。」

「わお。それは期待しちゃうな。ティーナとお家に遊びに行かないとね。」

ウインクして暗い話から一転、話題を変えてくれた。


そう、今バイト先ではデザートも少しずつ教えてもらうようになってきた。

最初は盛り付けから。

メニューにデザートは数品しか載っていないが、チーズケーキにかけるイチゴジャムも手作りのため勉強になる。自分も何かを作れるようになってきて嬉しいし、こうして作っているのは楽しい。

作っている時のその気持ちを思い出すと思わず顔がほころぶ。


「ねえ、ここに来る時に見えたんだけど、リリューっていうケーキ屋、帰りに寄っていかない?」

「?いいわよ?どこ?」

こっち、と腕を引かれて案内されたのは白い外観の洒落た小さなお店。


「いらっしゃいませ。」

中も白を基調とし、所々に青を取り入れている。丸いテーブルにはそれぞれ小さな瓶に花が活けてあり、明るい雰囲気の店だ。

メニュー表を見てかぼちゃのシフォンケーキとミルクティーを頼んだ。

ラリアンはさつまいものモンブランにストレートティー。

どのケーキも野菜が使用されている。それがこの店のコンセプトらしい。他の店にはない、斬新さが人気を呼んでいるようだ。


かぼちゃのシフォンケーキはあっさりとした甘さでふわふわした感触がたまらない。くどくないからあっというまに食べてしまった。

ラリアンの方も、モンブランと言えば栗のイメージしかないが、たっぷりのさつまいものクリームはいも本来の甘みが、甘いけど砂糖たっぷりの物と違い食べやすかったと話していた。


他にもにんじんのパウンドケーキやかぼちゃと豆腐のプリン、とうもろこしのアイスなどなど、気になる物がたくさんあったから、また次来たときに食べてみたいと思う。


小腹が満たされ満足した私たちはそのまま帰路についた。

夕食は少なめにしてもらおう。

時代背景から住宅価格は今より格安設定です。が、適当なので違和感があってもそのままスルーしてください。

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