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第九話 「最後の日」

闘覇は暗闇の中から起き上がるように目を覚ます。ボヤけた視界の中、ベットから出て窓のカーテンを開け、窓から外を見てみると、まだ朝日が昇り始めたところであり、日の全てが地平線から出てはいなかった。


(今日でこの異空間での生活も終わりか)


闘覇は朝日が昇っていくのを眺めながら異空間で過ごした日々を振り返っていた。


闘覇が異世界に行くまで、残り時間で一日を切っており、この異空間で過ごすのは今日が最後の日となっていた。


(最後の日だし、最後に少し挑戦をしていくか)






リビングで闘覇は朝食を用意しながら端末でシロとのやり取りを始める。異空間にいた5年間で体も成長し、身長は145センチを超えていた。


今日は和食にしようと考えており、献立は、ご飯、味噌汁、だし巻き卵、きゅうりや大根の漬け物にサバの塩焼き、ほうれん草の胡麻和えにマグロの刺身、そして生卵と納豆であった。ご飯には卵と納豆の両方をかけて食べるのが闘覇の食べ方である。


『やあ、今日が最後の日になるけど調子はどうだい?』


シロが調理中の闘覇に向かって話しかける。それに闘覇は振り向くことなく返答する。


「いつも通りですよ。最後の日なのでやり残しがないように一通りのことはやるつもりですけどね」


『そっか。それにしても神器はあれで良かったの?結局、2年前に決めたものから特に何も弄ってないみたいだけど?』


あれ以来、神器について何かを変えるということがなかったので、シロはそのことが気になり、闘覇に問いかけていた。


「ええ、問題ないです。それにあの神器の使用を前提とした戦闘スタイルになってますから、今更変えるのもあれですし」


『君がそういうならこれ以上は野暮だね。じゃあ、最後の一日を悔いのないように過ごしてくれ』


シロがそういうと通信が途絶え、端末から光が消えた。


その後、暫くすると闘覇は朝食の調理を終えた。テーブルには美味しそうな料理が並んでおり、食器などの色合いなどにも気を配っているのが分かる。


闘覇は椅子に座ってからいただきますというと、20分ほどで朝食を食べ終えた。






「ボボボボボ!!」

「ウゥゥゥ、ガルルルル!!」

「「グゥワァグワァアアアゥゥゥ!!」」

「アリョリョリョリョ!!」

「ゴァアアアアアアァァァ!! 」


闘覇の前には奇妙な唸り声を上げる5つの存在がいた。子供が作った泥人形を人間の何倍もの大きさにしたようなもの。体長が5メートル以上はある巨大な狼のような姿をしたもの。翼が六翼あり、首から先が分かれて頭が二つある鳥の姿をしたもの。まるでガーゴイルを思わせるような姿をしたもの。そして物語に出てくる竜のような姿をしているもの。

バラバラな姿をしているが、この化け物たちは強さという点ではとても似通っていた。


闘覇は今、戦闘訓練場でレベル100の仮想敵を五体同時に相手取ろうとしていた。


今までの限界がレベル100を三体——なお、その時には重傷を負っている(戦闘訓練が終わったら元に戻りはしたが)——であることを考えると五体というのはかなりの挑戦だと言えた。


(さてと、それじゃあ……)


闘覇は如何なることが起こっても対応できるように、精神を集中させる。そして目の前のカウントが0になり——


「ボブブブブ!!」

「ウゥゥゥ、ガルァァァ!!」

「「グゥウェグウェエエェェェェ!!」」

「アリュリュリュリュ!!」

「ゴルァァアアアアアァァァ!! 」


(いっちょ派手に行きますか!)


五体の仮想敵が闘覇目がけて襲い掛かった。






巨大な狼の姿をした仮想敵が細切れになりながら光の粒へと変化していく。


(これで三体目!)


そう心の中で呟きながら闘覇は残った二体に目を向ける。


残っているのは泥人形の姿をした仮想敵と竜の姿をした仮想敵であった。


泥人形は闘覇が何度か切り刻んでも、何事もなかったかのように再生して襲いかかってきた。竜の姿をした仮想敵は純粋な硬さで闘覇の攻撃を凌いでいた。


一方の闘覇は片腕を失っており、体の全身が傷ついて至る所に火傷の跡があるという見るも無惨な姿をしていた。


闘覇がここまで傷ついたのには仮想敵の能力が関係していた。


狼の姿をした仮想敵は俊敏性を活かした戦闘を仕掛けていていた。手脚から放たれる攻撃もさることながら、噛みつき攻撃は特に威力が強く、更には物理、魔術を問わず、防御を貫く特性を持っていたため、闘覇の防御を貫き、片腕を食いちぎってた。


ガーゴイルの仮想敵は攻撃、防御、支援、回復の魔術をバランス良く持っており、基本的には味方の強化や敵の弱体化を行いつつ、折を見て傷ついた味方の回復や防御魔術による攻撃の防御などを行ってくるため、とても厄介であり、そのため闘覇が始めに倒した仮想敵でもある。ただし、倒す際に無茶をした事で隙を作ってしまい、片腕を食いちぎられることとなった。


鳥の姿をした仮想敵は基本は上空から炎を口から吐き出しつつ、隙を見つければ、体全体に炎を纏いながら、死角から急降下して突撃してくる戦法をとっていた。これが闘覇の思った以上に鬱陶しく、何度か避けきれずに攻撃を受けてしまい、結果として全身に火傷を負うこととなってしまったを


そして、泥人形の姿をした仮想敵とドラゴンの姿をした仮想敵は地上戦を担当である。闘覇に攻撃を仕掛けながら隙を作るのが目的であった。


(あのクソ狼に片腕をもがれたのが響いてるな。それにガーゴイルみたいなやつにかけられて魔術のせいで動きが鈍いし、あの鳥の炎を食らったせいで全身火傷だらけで痛いし)


どうにかして厄介な三体を倒し、残りは二体になったものの闘覇にとっては厳しい状況であった。負傷しているということもあるがガーゴイルの姿をした仮想敵が味方にかけた強化魔術や闘覇にかけた弱体化魔術は、まだ効果を発揮しているためである。救いがあるとすればガーゴイルの姿の仮想敵が倒されたため、残りの仮想敵に防御魔術や回復魔術はもう飛んでこないことであろうか。


(とりあえず、今は防御に徹して時間稼ぎだな。俺にかけられた弱体化魔術を解かないと攻撃をする余裕がない、それにあいつらにかかってる強化も剥がさないとダメージが通らない)


そして闘覇と二体の仮想敵による死闘が始まる。闘覇は"真撃のレグルス"を用いて強化に使われてる魔力を削っていく。一度でかかっている強化の魔術を消し飛ばすことはできなかったが、魔力を削り続けることにより、強化の魔術が終わるまでの時間を早めていた。


そして三分ほど血を血で洗う攻防が繰り返された時であった。


(……!!解けた!)


仮想敵にかかっていた強化の魔術が解け——ちなみに闘覇にかかっている弱体化の魔術は30秒ほど前に解けていた——仮想敵たちが強化の魔術が解けたことによる感覚の落差に慣れるまでの一瞬の隙をついて闘覇は最大クラスの攻撃を放つ


「戦星変奏 十二星天(トゥエルブオーダー)・天堕のレオ」


その一撃で残った二体の仮想敵は消し飛ばされ、光の粒となって消えていった。






そして戦闘訓練場を出た闘覇は昼食を食べ、休憩を挟んだのち、環境適応訓練場に向かい、今までの訓練の中で一番奥まで行くことに成功した。


その後には魔術訓練場で一通りの魔術の試し撃ちを行ったあと、夕食を食べ、最後の残った時間は書庫で本を読んで時を過ごした。




十二星天についてはのちに説明を致します。

今日は2話更新します。20時にもう1話投稿します

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