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第四話 「属性魔術と規格外魔術」

目を覚ますと闘覇は寝室のベッドから体を起こした。寝室の窓から入り込んだ朝日が部屋を照らしており、一日の始まりを告げている。闘覇が窓から外を除いて見ると地面には青々とした草が果てしなく広がり、地面の色を緑に染め上げていた。


昨日、夢の中でシロに言われた事を闘覇は思い出し、一日一日を無駄にせずに全力で努力しなければならないと心に誓った。


(さて、どうしようか。取り敢えず飯でも食うか)


食事は何を食べようか考えながら闘覇は一階に降りていく。一階のリビングにある大きな冷蔵庫を開ける。中にはたくさんの食材が入っていた。中身は毎日補充されるなら心置きなく食材を使えるなと

考え、食材を片っ端から取り出すことにした。まだ体が小さい為、上の方の食材を取るのには脚立を使いつつ、好きなものを取り出していく。


さて、どう料理しようかと闘覇は思案していた。リビングを見渡すと多種多様な調理家電が置いてあり、これだけあれば料理に困る事はないだろうと考える。シロは生でも食べられると言っていたが、やはり料理をした方が美味しく食べられるし、栄養的にも良いよなと思いながら台所によじ登り、上の戸棚を開けて料理の本と調理家電の説明書を取り出す。


闘覇は死ぬ前も一人暮らしであったため、ある程度の料理の仕方を覚えており、その時の経験を活かすことで——小さい体になっているため少し手こずりはしたものの——それなりの見栄えのする料理を完成させることができた。


味はどんなものだろうかと食べて見ると余りの美味しさに闘覇は直ぐに食べ終えてしまった。めちゃくちゃ美味しいなと歓喜と驚きが混じった感情を抱きながら闘覇は満足げに食事を終わらせた。


食事を完食した闘覇は、まず最初に書庫に行くことにした。主な理由としてはMDCの知識とあちら側の世界の知識の擦り合わせを行うためである。


(さて、取り敢えずは魔術について調べないとな。魔術はMDCとは違うところもあるだろうし、その後はあの世界の常識と国についてでも調べるか。そこら辺はMDCだと簡単にしか描写されてないからな)


MDCでの魔術はとてもゲーム的なものであった。火、水、風、土、光、闇、無の七つの属性が存在し、更には射程距離による近距離、中距離、遠距離の区分けや、対象範囲による単体、全体の区分け、魔術の効果による攻撃型、防御型、支援型、回復型などの種類分けなどが存在しており、それぞれのキャラクターによって覚えられる魔術の種類などが違っていた。


国についてもMDCでは大陸が五つある事と物語に関わりのある国の名前が少し出てくるだけくらいしか情報が出ておらず、地形や国の歴史などは殆ど描写されていなかった。


闘覇はその辺りを考慮して真っ先に魔術について調べることとし、余裕ができたら世界のことについて学ぶことにした。






日が空の半分を超えたお昼時、闘覇は読み終えた本を閉じると、それまで読み終えた本の上に積み上げた。


(魔術については一通り調べ終わったな。基本的な部分はMDCと同じだな。だけどMDCと違ってる所もいくつかあったな)


闘覇が調べたことを脳内でまとめていく。


(習得方法についてはMDCと同じだった。人によって覚えられる魔術が違うのもMDCと変わらない。魔術の分類については、属性が火、水、風、土、光、闇、無の7属性あるのはMDCと同じ、ただし射程距離や対象範囲による区分は無し。魔術効果による区分分けは一応されている。更に下級、中級、上級、超級という区分が出てきた。これはMDCには無かったな。そして、一番の違いは魔術で消費する魔力量を変えられる事。MDCだと使う魔術によって使う魔力量は決まってたけど、あちら側の世界の魔術は違う。それぞれに最低量の魔力量は決まってたけど、それ以上であれば理論上はいくらでも込められる。そして込められた魔力量が多ければ多いほど発動される魔術のスペックは上がっていく。射程距離や対照範囲の区分がないのはこのためだろうか?)


闘覇の予想は当たっていた。闘覇が行く世界の魔術は発動に必要な最低必要魔力量があり、それ以上であれば魔力量は術者の裁量で自由に決める事ができた。最低必要魔力量は下級、中級、上級、超級の順で上がっていく。また同じ魔力量で魔術を放ったとしても下級と超級では超級の方がスペックも高かった。


(あとは規格外魔術とかいうのも有るみたいだな。詳しくはわからなかったけど、一般に広まっている魔術とは違うものらしい。調べて分かったのは、一般の魔術と違って規格外魔術は習得するのに物凄い時間が掛かるらしいことだけ)


闘覇は魔術についての情報の整理を終えると、丁度昼を過ぎたこともあり、お腹が空いてきたのでお昼にすることにした。更にはシロに聞きたいこともできていたので——通信用のタブレットが動くことは朝食後に確認済みである——シロへの通信も兼ねてお昼にすることにした。






闘覇は昼ごはんを食べ終わるとリビングに置いてある端末を起動させた。シロにあることを聞くためで有る。前の時と違い、電源を入れると画面がついた。


『やあやあ、早速連絡来るとは思ってなかったよ。それで?要件は何かな?』


「覚魔の書、もしくは魔導のオーブがどこに有るかご存知ですか?」


覚魔の書や魔導のオーブは魔術を覚えるのに必要なものである。MDCではキャラクターに新しく魔術を覚えさせるには、この二つのアイテムのどちらかを使用する必要があった。あちら側の世界でも魔術は覚魔の書や魔導のオーブを使って魔術を覚えるのが基本的な魔術の習得方法として知られていた。これらのものを使って覚えた魔術は属性魔術と呼ばれ、それ以外の方法で覚えたものは規格外魔術と呼ばれていた。闘覇はこれを使って魔術を習得しようと計画していたのだが、


『残念だけどそんなものは無いよ』


シロのとんでもない発言で計画が無に帰った。


「は、はぁぁ!?どういうことですか、じゃあ魔術の習得はどうするんですか?」


闘覇は予想外の答えに思わず叫んでしまう。そんな闘覇を無視してシロは話を進める。


『魔術についてはどの程度調べたかな?』


「取り敢えずある程度は調べましたけど」


『規格外魔術についてはどの程度知ってるかな?』


「詳しくは分かりませんでしたが覚魔の書や魔導のオーブを使わずに習得する魔術の事ですよね。属性魔術に比べればごく少数しか存在してない見たいですが」


『そうそう、それそれ。君にはそれで魔術を覚えてほしいんだよ」


何故、覚えるのに時間が掛かる規格外魔術を覚えさせようとするのか、シロの考えがわからずにいた闘覇はシロに疑問をぶつける。


「なぜ、わざわざそんなことを?」


『それが君のためになるから』


はぐらかすような事を言うシロを見て、これ以上聞き出そうとしてた無駄だなと諦める闘覇。それを気にする事なくシロは話を進める。


『魔術の習得をするなら魔術訓練場に行くといい、それと君に与えられた制約についてもそこで知ることができるはずだ』


そう言うとシロは話は終わったとばかりに通信を切る。言うだけ言って勝手だなと思いながら闘覇は魔術訓練場に向かうことにした。





魔術訓練場に入った闘覇はコンソールを起動させる。最初に来た時と違い、触れるとコンソールの画面には光が灯った。画面を見てみると魔術習得のチュートリアルを始めますと出ていた。


闘覇はワクワクしながら次に進むを押すと"まず最初に貴方に宿っている魔力を認識してみましょう"という文が表示される。


その後画面が切り替わり、“これから貴方に魔力を流して自分の中にある魔力を知覚できるようにします。数秒間、画面に手を当て続けてください"という表示が出たので手を触れる。


すると中に何かが流れ込んでくるのを感じることができた。これが魔力か、と思いながら闘覇は画面から手を離すことはなく、流れ込んでくるものに意識を集中させる。


数秒ほど経つと、手を当て続けてくださいという表示が消えたので手を離してみる。そして自分の内側に意識を集中させる。すると流れ込んできた魔力とは別に、自分の中から湧き上がってくる力を感じることができた。


そうこうしていると画面に新たな指示が表示される。今度は"魔力の動かし方を学んでみましょう"というものだった。またしても"画面に手を当ててください"という指示が表示される。指示に従い、画面に手を触れると中にある力が身体中を血液のように巡るような感覚に襲われる。画面を見てみると"この感覚を覚えて自分で魔力を動かせるようにしましょう"と出てきた。


闘覇は目を瞑ると魔力の流れを自分の意思で動かせるように意識を集中させた。暫くして魔力操作に関しての感覚を掴み始めると、画面にはまた新たな指示が表示されていた。






そうして、一時間ほど、出てくる様々な指示を実践し続けていると

"チュートリアルの第一段階はこれで終了です"という表示が出てきた。その後に表示された、これからのチュートリアルの予定表を見て、基本だけでこれだと先は長そうだなと闘覇は一息付いた。




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