第一話 「学園生活の始まり」
お久しぶりです。
今話から二章再開です。
ここからは学園や迷宮が主な舞台となっていきますのでどうぞよろしくお願いします。
入学式の日というのはどんな人にとっても記念日であり、そしてこれからの学園生活を左右する重要な日でもある。
そのため、その日の行動が学園生活に与える影響は大きい。無論、入学式の日に思ったような行動ができなかったからといって、それで学園生活が暗いものになると決まったわけではないが、やはりスタートダッシュとしてみるならば成功するに越したことはないのだろう。
とりわけ、第一印象は重要であり、そこでなんらかの失敗をしてしまうと、学園生活における人間関係の形成に悪影響が出てしまう可能性もある。
(さて、とりあえず、教室の集合時間に遅れることは確定したな。まぁこのペースだと入学式にはどうにか間に合いそうだけど、さてこれからどうしようか。悪目立ちするのは確定だよな)
今日のスケジュールを思い浮かべながら闘覇はこれからどのような行動をとるか考え始める。
今日は入学式ということもあって授業はなく、各自の生徒が決められたクラスに集合した後、一人ずつ自己紹介を行い、そのあと入学式、そして担任の教師が学園の施設を一通り案内した後、明日以降の予定や授業の受け方を説明されて終了、という予定となっていた。
(とりあえず、今は神代と仲良くなっといた方がいいよな)
「えっと、神代、さん、と呼んでいいか?」
「神代、でいいよ。ぼくも神崎って呼んでいいかな?」
「ああ、神崎でもいいし、なんだったら闘覇でも呼びやすい方でいいぜ」
「わかった、じゃあぼくも鏡也でいいや」
「わかった、それで鏡也はなにかこの学園に来た理由とか将来の夢とかはあるのか?ちなみに俺の夢は英雄に事だ。まずはこの学校で色々と学んで最強になって、その後は世界最強になる。そしてその力で困っている人たちを救うんだ。この学園に来たのもそのためだ」
闘覇はまるで子供が考えそうな夢を鏡也に向かって本気で語る。そして鏡也もそれを真剣に聞いていると、フッと笑って自分が学園にきた理由を語る。
「いいね、僕は闘覇みたいに、特にやりたいこととか夢はないんだよね。この学園にもとりあえずで来たって感じなんだよ。両親に勧められてさ、ここに行って損はないから行ってこいって、受かるかどうかわからなかったけど、受験したら受かったから来たって感じなんだよね。だから凄いと思うんだ。闘覇みたいに目標を持っている人が」
「そんなことないだろ。目標なんてこれから見つけていけばいいんだし、見つからなくても学園で様々なことを学べば、将来やりたいことが決まった時に役立つからな、とりあえずは力をつければいいんじゃないか?」
「そっか、うん、そうだね、そうしてみるよ。どこまで強くなれるかはわからないけど」
「鏡也は強くなるさ、最強になれる。俺が保証するよ。そんで俺はそんな鏡也を超えて最強になるわけだ」
「うん、なんか不思議だね。普段だったらそんなこと言われても実感が湧かないんだけど、闘覇が言うとなんだかできそうな気がするよ」
「だろ、鏡也は強くなれるよ。ところで、鏡也はなんで贈れることになったんだ?俺はこの辺を」
闘覇の問いに鏡也は頬を掻きながら答える。
「ちょっと、人助けというか、そんな大したことじゃないんだけどね。探し物をしてる人がいるらしくて、それを手伝ってたら遅れちゃったんだよ」
「へ〜、やっぱり鏡也は良いやつなんだな」
「そんなことないよ。当たり前のことをしただけだよ」
「そっか、そうかもな、それじゃあ急ぐか」
そして二人は教室に向かっていった。
「「すみません、遅れました」」
闘覇と鏡也の二人はゆっくりとドアを開けて教室に入ると、周りの視線が自分達に集中している事を感じた。特に闘覇は制服の上に黒のロングコートの姿をした神器を羽織っていたため、特に目立っていた。
「ああ、きましたね。初日から遅刻するのは感心しませんよ。早く席に着いたください」
担任の教師の注意を受けて、二人はもう一度すみませんと謝ると、それぞれが自分の席へとついていく。
闘覇は席がアリシアの隣ということもあってか、アリシアの方に目を向けるとアリシアも何遅れてるの、といった視線を向けてきていた。
「さて、全員揃いましたね。まず、遅れてきた二人は簡単な自己紹介をお願いします。そしてそれが終わったら時間になるまで待機していてください。まずは神崎闘覇君から」
「はい、わかりました」
先生の声に従って闘覇は簡単な自己紹介を行う。そして次に鏡也もそれを行い、二人は自己紹介を終えた。
そして、二人が自己紹介を終えたことを確認すると、担任の教師は時間になるまで待機をするようにと伝えた。そうすると周りの生徒もそこまで大きな声ではないが、座りながら周りの人と話をしはじめていった。
それから5分くらいすると、少しずつ席から立って話を始める人も出てきていた。今日が入学式の日ということもあって、かなり積極的に話しかける人がチラホラ見え始めていた
(ちょうどいいな、できれば今日のうちに、一年生の主要人物には声をかけておくか)
周りが他の人と交流を持とうとしているのをみて、闘覇は今がいい機会だと考えると、席から立ちあがって、目当ての人物のところまで移動した。
「やあ、ちょっといいかな」
「あんたは、ああ……、朝から遅刻してきた男ね」
闘覇に話しかけられた女性は鬱陶しそうな様子で闘覇の声に反応した。
「そうなんだよ。あ、俺の名前は神崎闘覇、よろしく、よかったら仲良くしてくれ、それで、えっと、確か……」
「セルフィ、セルフィ・オーベルストンよ、それで、何?」
「今日の予定って空いてるかな。ほら、今日は大体昼くらいに終わるだろ。よかったら一緒に学園の食堂で昼食でも——」
「ごめんなさい、私、他の誰かと馴れ合う気はないの、他を当たってちょうだい」
「まあまあ、そんなこと言わずに、同じクラスメイトなんだし、親睦を深めると思ってさ」
「わたしにはやらなきゃいけないことがあるの。それとも、あんたたちと一緒にいてわたしに何かメリットでもあるの?」
「もちろんあるさ。えっと、そうだな、ちょっとこの糸を掴んでみて」
闘覇はそういうと右の袖の部分を少し変化させ、
「なに、変なことしたら蹴り飛ばすわよ」
「しないしない、ちょっとした内緒話さ。この糸をつかんでくれれば心で会話ができるんだよ。秘密の会話にピッタリってわけ」
闘覇の言葉にセルフィは胡散臭いものを見るような目で闘覇を見ながら、差し出された糸を掴む。
『もしもし、聞こえるかな?こんな感じで話すんだけどもどうだい?』
『聞こえてるわよ。それで何?ロクでもないことだったら、怒る——』
『人間蒐集家の居場所、知りたくないか?』
『!!』
闘覇の言葉を聞くとセルフィは
『あんた、なんで』
『詳しいはなしはあとで。ただ、一言付け加えるなら、俺は君の事情は大体知っている。それで、どうする。くる?こない?』
『………いいわ、いってあげる。ただし、もし嘘だったら承知しないわよ』
『大丈夫、きちんと話すよ。それに君にとってもこれは悪いことじゃないと思うよ』
『あ、そう』
そういうと彼女は糸を手から離した。
「それじゃあ、食堂で、ちょっと大人数になるけど良いかな?」
「別に良いわよ。あんたの好きにすれば」
「わかった。それじゃあ」
闘覇はそう言って立ち上がると自分の席にへと戻っていった。
席に戻ると隣の席に人が集まっているのが見えた。アリシアの席を皆が取り囲みながら色々なことを話しているのがわかった。
そして闘覇が席に戻るとアリシアはニコッとした笑顔で闘覇に話しかけてくる。
「あら、神崎闘覇さん。ごきげんよう。アリシアと申します。これから一年よろしくお願いしたしますね」
「あ、う、うん。こちらこそよろしくお願いします」
闘覇はアリシアのキャラの変わりっぷりに驚いていた。学園に通う前に、キャラを被ることや一緒に輝夜の家に住んでいることは秘密にするなど、いくつかのことを話し合っていて、その時にこのことを闘覇は聞いていたのだが、それをしてもなお闘覇の心には驚きがあった。
(学園では猫をかぶるからよろしくとか言ってたけど、それにしても変わりすぎじゃないのか?いや、外面がこんな感じなのはMDCやってたから知ってはいたけどさ、実際に見るとビビるな)
闘覇は実際に見るのと画面越しで見て知っているだけなのとは違うなと思った。それほどまでにアリシアは自然体であったからだ。
(昼食に誘うのは後にしたほうがよさそうだよな。それにしてもすごい人気だな。まぁ、当然といえば当然なんだろうけど)
そうして闘覇はアーシャの方に目を向けた。アーシャもアーシャでアリシアほどではないにしろ、みんなに囲まれていた。
(どっちも有名人だもんな。こうなるか。まぁ、昼食に誘うのは後にしたほうがよさそうだよな。それにしてもすごい人気だな。まぁ、当然といえば当然なんだろうけど)
そうしてやる事もなくなった闘覇は時間が来るまで机に突っ伏して寝ることにした。
「皆さん、そろそろ入学式の時間です。廊下に並んでください」
それからしばらくすると、入学式の時間が近づいてきたため、先生が廊下に並ぶように支持を出す。
闘覇もそれに従いながら、アリシアと話すために、こっそりと神器の糸を伸ばして、アリシアの手に触れさせた。
『大変だな』
『そうでもないわ、いつもやってるから慣れだもの』
『そっか、それでこれからどうする。良かったら昼食を一緒に食べないか?』
『いいわね、アーシャはわたしから誘っておいた方がいいかしら?』
『ああ、頼む。それじゃあ』
話を終えると闘覇は神器を戻して廊下に並ぶために教室を出た。
次回は3月24日更新です。




