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第二話 「新たな肉体と四つの力」

「さて、それでは答えを聞かせてもらってもいいかな?闘覇くん、君は転生をしてもらえるかな?世界の危機を救うために」


シロの問いかけに対して闘覇は


「……わかりました。転生します。世界を救ってみせますよ」


闘覇は見るものを安心させるような笑顔を浮かべながら転生を引き受けた。






「ありがとう。じゃあまずは君が転生する世界について説明をしなければならないね」


シロは指をパチンと鳴らした。すると空中に立体映像のようなものが現れた。


「まず最初に言っておこうか、君にはMDCの世界に転生して貰う」


 その言葉に闘覇は驚きを隠せなかった。MDC、正式名称はmaumet dungeon conquest。かつて伝説的な人気を誇った美少女ゲームである。闘覇はそのゲームの大ファンであった。


「つまり、私はMDCの世界に転生するってことでよろしいんですか?」


「まぁ、そんなところかな」


神を名乗る存在は闘覇の問いを続けた。


「これってあれですか?ゲームキャラに憑依転生する感じですか?」


ライトノベルなどで主人公がゲームキャラに転生する話はよく読んでいたので、闘覇はそれらを想像した。


「いや違う。あっちの世界にいる人に憑依する形での転生は難しいんだよ。できないわけではないけど普通の転生より条件は厳しいんだよ」


そうなのかと頷きながら闘覇はさらなるふと気になったことをシロに尋ねた。


「MDCの世界に転生すると言ってましたが、MDCを元に作られた世界に転生するということですか?」


「違う、というより逆だね。MDCを元にあの世界が作られたのではなく、あの世界を元にこのMDCが作られた。が正しい答えだね」


シロはそれにと言って説明を続ける。


「君たちの世界にゲームとして発売されていたMDCのストーリーは一種の未来予測の結果なんだよ。それでこのままいくと確実にバッドエンドの未来を引くことになる。それに転生させられるのもMDCを最後までクリアした人だけなんだ。これは(ことわり)で決まってる事なんだけどね」


「だから、基本的にはMDCで出てきた人たちを救ってMDCで言うところのハッピーエンドに導いてほしい」


神を名乗る存在は闘覇の疑問に答えながらさらなる忠告を行う。


「ほとんどはMDCと同じだけど、ストーリーとかの一部の部分は君が絡むことによってMDCと違ってくる可能性があるし、それにMDCにはない事件とかも起こるから、MDCと同じと思っていると痛い目を見るから気をつけてね。」


「わかりました」


闘覇はシロの話しを聞き、MDCの知識に頼り過ぎないように気をつけなければと考えた。






「さて、それじゃあ詳しい話を進めようか。まずは転生の話だね。君には新しい体を作って貰う。髪の色や顔つき、身長などを決めてくれ。その情報を元に僕が肉体を作る。その体に転生してもらう。情報はこの画面に入力してくれ」


そういうとシロは出した立体映像ようなものを変化させた。変化させたその画面は、まるでゲームのアバターを決めるようなものであった。


「その新しい肉体に転生するってことは誰かの子供として転生するってわけではないんですか?」


闘覇は転生の方法が思っていたのと違った事に驚き、シロに質問を行う。


「そうだよ。誰かの子供として転生する場合は憑依という扱いになるんだ。それにその子供の魂と君の魂が一つの肉体に入る事になるから肉体の主導権やら二つの魂が同じ肉体に入っている事に対する様々な反応を調節する事を考えるとこっちで肉体を作ったほうが早いんだよ。一応死産した子供や死んだ人の体に転生するって方法もあるけど、一応二つの魂を共存させる場合と比べたら条件はある程度緩和されるけど、それでも憑依扱いになって条件は厳しくなるし渡せる力も制限されてしまうんだよ。だからこの転生の形が一番効率がいいんだ」


闘覇が浮かべた転生についての疑問に対してシロは答えていく、闘覇はそれを聞いて色々と面倒くさい制限があるのかと考えシロの説明に納得した。


「さてそれでは決めてくれ。僕は一回消えるから存分に考えてくれていい。ちなみに一度決めたら後から変更はできないからちゃんと考えてね。決まったら心の中で僕を読んでくれればまた現れるよ。じゃあ頑張ってね」


そういうとシロは画面を残して闘覇の目の前から消えてしまった。闘覇は取り敢えずどこまで設定できるのか試してみようと考えて画面を操作していく。


(なるほど、身長、髪の色、腕の長さに足の長さ、指の長さに他にもたくさん、いろいろなことが決められるのか。体重とかは見当たらないけど、それは体を決めた時に自動で決まってしまうのか?)


画面を操作しながら闘覇はどのような体にするのかを決めていく。


(身長は185も有ればいいかな。髪の色は黒のままでいいや。顔は自分の顔を基準にして.それをちょっといじるくらいでいいか)


かれこれ30分ほど経過した頃、闘覇は情報の入力を完了させていた。


(さて、心の中で念じればいいんだっけ?)


闘覇が念じると次の瞬間にはシロが闘覇の目の前に現れていた。


「さて、決まったようだね。なるほど、身長を伸ばして顔をちょっと弄っただけで他は変えないんだね」


「ええ、あまり変えすぎると自分の実感がなくなりそうなので、そこまで弄らなくていいかなって思いまして」


「なるほどね。じゃあこのデータを元に肉体を作るよ。一応聞いておくけど、このデータの通りでいいんだね?さっきも言った通り変更はできないよ」


「はい、大丈夫です」


闘覇はシロの確認に頷いた。するとシロは分かったと言い、画面に触れた。すると画面が光の球体に変化をした。


「さて、肉体を作っている間に次の話をしようか。肉体を作ったら君の魂を肉体に入れる。その後、異世界に転生する前の準備として僕が用意した異空間で生活して貰うよ」


「異空間で生活ですか、なぜそんな事を?」


「簡単に言ってしまえば、知識と経験を積ませるためだね。

君が知っているMDCの世界に転生するとは言え、実際に暮らすとなると君はあの世界について知らないことが多すぎる。ある程度の知識を蓄えてから行った方が色々とスムーズにいくことが多いし、無用なトラブルを避けることもできる。能力についてもそのだね。能力を与えたとしてもすぐに使いこなせるわけじゃない。いきなり今までやってこなかった事をやれと言われてもそう簡単にはできないようにね。たしかにある程度は能力を使うことはできるかも知れない。でもね、能力を使いこなす事を考えると、ある程度の期間、能力を使いながら試行錯誤してもらうのが一番いいのさ」


なるほど、と闘覇はシロの言葉に納得していた。そして3分ほど待っていると、宙に浮いていた光の球が膨張し始める。


「おっ、そろそろできたかな」


シロはそういうと手を上に掲げた。すると膨張していた光の球が人の形になり始める。そして、たちまちにして人の肉体に変化をしていった。


出来上がった肉体を見て闘覇は驚いていた。何故ならそれは見るからに5歳から6歳くらいの子供の様にしか見えなかったからだ。


「何ですかこれ。俺が希望したものと全然違うものになってるんですが」


唖然とした様子で闘覇はシロに問いかける。無理もない事であった。身長185の身体が出てくるかと思えば、どう見積もっても120センチ有るかどうかといった身体が出てきたのだから。


「無論、君のいう通り185センチの身体になるよ。()()()()()ね。言っただろう、異空間で暮らしてもらうって。そこで能力を使いながら成長していってもらう。新しい身体にも慣れてほしいしね。最終的には君の要望通りになるから安心していいよ」


そういう事は先に説明しろよと、闘覇は心の中で悪態をつくが、最終的に要望通りになるならいいかと、自分を納得させた。


「はぁ、取り敢えずはわかりました。それでその異空間ではどのくらい生活するんですか?」


この肉体の大きさを考えると成長しきるまで10年は掛かるだろうと闘覇は見積もっていた。シロの言葉に納得していた闘覇であったが、流石に10年も異空間で暮らすのは少し嫌だなと思っていた。


「そうだね。異空間には5年ほど暮らしともらうよ。その後にあの世界へ送り出す。その後は僕はほとんど何もできなくなるから、後の事は君に任せる事になるからね」


5年という時間を聞いて、それくらいなら大丈夫だと闘覇は思っていた。すると、ふとした疑問が闘覇の頭に湧いて出てきた。


「今のあの世界ってMDCの物語開始の何年前なんですか?」


「ざっと5年と少しと言ったところかな?ただこの特殊でね、空間は時間の流れが圧倒的に早いんだ。だから君が異空間で5年過ごしても、あっちの世界ではほとんど時が進んでない。あっちの世界に行くときには君の肉体は大体10歳から11歳くらいの大きさになっているだろうから、そこから5年間はあっちの世界で力を蓄えてくれ。そしたらMDCでの物語開始付近の日付になるはずだ。ただ、さっきも言ったようにMDCはあくまでもMDCだ。これから君が行く異世界とは違う。君の行動の如何によってはMDCとはまるで違う展開になる可能性もある」


MDCはMDCであり、MDCでの情報は余り過信しすぎない方が良いとシロは闘覇に忠告をする。闘覇はシロの言葉を聞き、改めて気をつけなければとシロの言葉を心に刻む。






「さて、それじゃあ最後に能力の話をしなければならないね」


シロはそういうと指を四本立てて闘覇に向ける。


「君に与えるものは4つ、祝福、制約、神器、試練の4つだ」


シロはそういうと闘覇に対して、それぞれの内容を詳しく説明をしていく。


「それじゃあ、それぞれの内容について説明するから聞き漏らさないようにしてね。

一つ目は祝福。これについては特に何かデメリットがあるものではない、純粋に君に与えられる力だよ。ただしどんな力が発現するかは僕にもわからない。祝福は無限の可能性を秘めたもの。それが与えられる人が元来持っている性質やその人が今まで経験してきた事柄によって変化を起こしてその人の力となる。だからどんな力になるのかも与えられる人によって変わってくるんだ。利便性の高いものが出るかもしれないし、特定条件でしか使えないけど上手く使えば強力なものになるものが出るかもしれない。良くも悪くも君次第になる未知数の力といったところだね。

二つ目は制約。これも祝福と同じように君に与えられる力だ。ただし祝福とは違って制約にはデメリットがある。詳しくは後で説明するけど、その名の通り制限が課せられる。簡単に言うと制限をつける代わりに特定の力を強めるものと覚えてくれればいいよ。

三つ目は神器。これは僕が君の要望を聞いて作るものだ。君に与えられる力の中で1番自由度が高いものだと思うよ。作れる範囲も結構広くてね。様々な武器はもちろんの事、家や城のような建造物や車や飛行機などの乗り物も作ることが可能だ。そして神器には特殊な能力を付与することができる。これについても君が決めることができる。よく考えて決めてほしい。

四つ目は試練。これについては詳しく説明することができない。あちら側の世界に行ったら自ずとどういうものなのかが分かるだろう。今の時点で言えることは君を守るための安全装置であり、いざという時の力であり、そして君に試練という形で苦難を齎すもの、と言った所かな?

最後にこれらが与えられるタイミングについて、祝福と制約は異空間に入った時点で与えられる。ただし祝福については変化して馴染むまでに時間がかかるから、力の形が定まって使えるようになるのは君が異世界に行った後になると思う。制約については三日もあれば馴染むはずだから異空間で使ってどういうものか理解してほしい。神器と試練については君が異世界に行くときに与えられる。神器についてはさっきも言った通り、君が決めることが出来るから異空間にいる間にどういうものにするか考えておいてほしい。試練についてはさっきも言った通り、異世界に行けば分かるものだよ。

さて、これで説明は以上かな」


さて、とシロは一息を付いた。闘覇はシロの説明を聞きながら今後について考えを巡らせており、難しそうな顔をしていた。


「説明も終わったことだし、そろそろ君には異空間で生活して貰いたい。もし何かあって聞きたいことができたら中に通信用の端末があるからそれに連絡をくれ、そうすれば僕に繋がるから聞きたいことがあったらなんでも聞いてくれ。最後に何かあるかな?」


「いえ、今のところはありません」


特に質問する事は無いと闘覇は返答した。異空間から、また話が出来るならその都度疑問が出てきた時に聞けばいいかと闘覇は考えていたからだった。更には異空間がどんな所なのかについても気になっており、早く見てみたいと、そちらに意識が向いていたことも理由の一つであった。


「それじゃあ、君の魂を身体に入れて異空間に送るよ。準備はいいかい?」


シロの言葉に闘覇は頷く。いよいよ始まるのかと、少し興奮気味であった。


「それではいってらっしゃい」


シロがそう呟くと闘覇の意識は急激に薄れていく。眠りに落ちるような感覚を味わいながら闘覇の意識は落ちていった。





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