第十四話 「裏切り」
「おいおい、驚いたぜ。意外と強いんだなお前ら」
アルバスはアリシアたちの猛攻に余裕の笑みを浮かべている。アーシャを中心とした従者たちの連携攻撃をアルバスは難なく迎撃し続けていた。
「しっかし、俺と殴り合うのがあんた一人ってのはどうなんだとも思うけどな。他は外からチクチク魔術をぶっ放してるだけだし。お前に当てないようにする精密さはすごいと思うがもう二、三人来てもいいんだぜ」
「黙りなさい、外道。貴様はアリシア様の敵だ。アリシア様の敵は全て排除する」
アーシャの近接戦闘の技術はアルバスから見ても舌を巻くほどであった。
近接戦闘での連携はシビアであり、またアーシャは戦闘能力が頭ひとつ抜けていることもあり、アーシャを前衛として他は魔術を放つというのが基本的な戦闘スタイルであった。
「やれやれ、面倒だな。早く片付けて長く遊びたいんだけどな」
アルバスはため息を吐きながらアーシャの攻撃を捌きつつ飛来する魔術を迎撃する。
そして、アーシャに向かって攻撃を放つが受け流されて反撃をくらってしまう。
「チッ」
アルバスは舌打ちをしながら受けに回った。防御したことで最低限のダメージに抑えたものの、これが繰り返されれば無視できないダメージになるのは明白だった。
「数的有利はこちらにあります。加えて、そちらは時間が長引くほど不利になる。大人しく諦めることを勧めます」
アーシャの言葉を聞いたアルバスは急に不気味な笑みを浮かべ始めた
「何がおかしいのです」
そんなアルバスを見てアーシャは疑問の声を上げる
「いや別に、あんたの絶望する顔を見るのが楽しみになっただけさ」
「残念ですが、そんな未来はあり得ません」
そして両者は再び激突した。
一方でグランはというと———
「チィ、この劣種が、我らを手こずらせるとは」
「うるさいっす、さっさとくたばるといいっすよ」
「はやく倒れてくれませんか?あまり夜更かしはしたくないんですよ」
グランはフィリアとレイファの二人を中心とした数人を相手にしていた。フィリアもレイファが二人の足止めをしつつ、残りが遠距離から支援魔術や回復魔術を飛ばすといった方式であった。グランは隙を見ては後ろにいる数人に魔術で攻撃を仕掛けるが結界に阻まれて攻撃が届くことはなかった
「さっさと朽ち果てろ。この劣種ども。新人類となる我らの邪魔をするな」
グランは複数展開した上級魔術でフィリアとレイファを攻撃する。最初は後ろの従者たちも狙っていたが、結界に阻まれるとともにフィリアとレイファに隙をつかれるのでまず先に二人を始末することにした。
「貴様らには理解できんかもしれんが浄星再誕教会こそが真の正義。浄星を望む者たちはあらゆるところにいる!それを理解しろ!」
「なに言ってるんすか。そんなわけないじゃないっすか。頭おかしいんすか」
「妄言もここまでくると凄いですね。鉄格子の中に叩き込んで差し上げますのでそこでいくらでも吐き散らすといいですよ」
グランは二人に
(コイツらの連携は厄介だな。後ろの奴らを潰そうにもコイツらが邪魔をしてくる。アルバスも手こずっているようだし、そして何より……)
グランが一番奥にいるアリシアに目を向ける
アリシアは前に手を掲げて魔力を集中させていた。するとそれに合わせて幾つもの光の槍が顕現する。光属性中級魔術【ライトニングランス】である。見るものがみれば一つ一つの槍に凄まじい力が込められており、並の上級魔術を凌ぐ威力があるというのがわかる。それをアルバスとグランに向けて射出する。
二人ともどうにかしてそれを避ける。防御するには威力が強すぎるため、避けるしかないのだが、数が数なため防御にかなりの力を割かなければならず、攻撃に移ることが難しくなっていた。
「諦めなさい。貴方たちでは私たちには勝てないわ。それに時間が経つほどこちらが有利になる。大人しく降伏しなさい」
アリシアの宣告に対してグランは歯軋りをする
(光の巫女の力が一番な障害だ。話には聞いていたがここまでとは……)
このままでは負けると考えたグランは切り札を切ることにした。
「おいアルバス!」
「なんだ、グラン」
グランはアルバスに向かって声をかける。アルバスを攻撃を避けながら鬱陶しそうに返答する
「保険を使うぞ」
「………わかったよ。この状況じゃ、しょうがねえ。思ったよりもあいつら強いし」
そういうと二人は祝詞を呟くように言葉を重ねた。
「全てはこの星の浄化のために」
アーシャはこの時、目の前に立っている男に対して最大級の警戒を行った。なにが起きても対応できるようにするためであった。
それと同時に先手を打って潰すために、アルバスまで一直線に駆け抜けていく。そしてそれに呼応するかのように後ろから魔術が放たれる。
(いいタイミングだ。これなら!)
そして、その魔術は——
アーシャに命中した。
「カハッ」
意識外からの攻撃であったため、一瞬、気を失ってしまうアーシャ。
どうにかして、すぐさま意識を取り戻し、戦闘の再開を試みる。しかしその一瞬が命取りであった。
「死ね」
アーシャはアルバスの一撃をモロにくらい、アリシアたちのところまで吹き飛ばされる。そしてアーシャは戦闘不能になった。
「ええっ!!」
「なにが」
グランの相手をしていたフィリアとレイファもアーシャに魔術が当たるという予想外の事態に、一瞬意識がつられてしまう。そんな二人に背後から放たれた魔術が襲う。
どうにかして回避をしたものの、全てを避けきれず一部を被弾してしまう。さらに強引に避けたことで体制を崩し、致命的な隙を晒してしまった。
そしてグランがそんな隙を逃すはずもなく、複数の上級魔術を二人に叩き込んだ。
二人が魔術を受けて倒れ伏すのを見たグランは笑いながら言った。
「やれやれ、言ったはずだぞ。浄星を望む者たちはどこにでもいる、と。たとえそれが貴様らの護衛の中でも、な」
そしてアーシャたちに魔術で攻撃した一部の従者たちが結界内にいる他の仲間を攻撃し始めた。攻撃を受けた人たちは驚く暇も与えられずに気を失っていく。
そしてグランは勝ち誇ったように宣言する
「さて、これで戦況逆転だ」
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それと今日は二話更新していますのでまだ前話を読んでいない方は是非ともどうぞ
追記:申し訳ございません。ストックが切れてしまいました。かけるだけ書いてみましたが、今のままだと中途半端な所での更新になりそうなので、次回の更新は木曜日とさせてください。
まことに申し訳ございません。




