第十三話 「戦闘開始」
浄星再誕教会と名乗った二人に対してアリシアとその従者は凄まじい敵意を向けるが、肝心の二人はどこ吹く風といった様子であった。
「なぁなぁ、どれが目的の皇女様なんだ?エルフはみんな美人だけど、その中でも一際美しいって聞いたぞ」
「おい、それ、本気で言っているのか?」
「あ?何か変なこと言ったか?つうか、どうしたんだよ。変な顔して」
「光の巫女の顔を知らないものが組織にいた事に驚いてるだけだ。あまりに想定外の言葉を吐かれたから、どんな顔をすればいいかもわからん。まったくお前のバカさ加減はいつも俺の想像を超えてくるな」
「あぁ!なんだテメェ、バカにしてんのか」
「事実を言ったまでだ。いや、たとえ事実の指摘でも名誉毀損になる場合もあったな。これはこちらの落ち度だな。すまない、事実を指摘してしまって」
「やっぱり喧嘩売ってるよなお前、よし決めた。これが終わったらテメェをボコボコにしてやる」
「ふっ、出来もしないことは言わない方がいいぞ」
二人はアリシアたちに目もくれず口論をしている。これを見て、好機と考えた一部の従者たちが主人に害をなそうとする二人を排除するべく、攻撃を仕掛けるが——
「あ?」
「ハァ、バカが」
その全員が壁にめり込む勢いで飛ばされた。アルバスに攻撃を仕掛けた二人は目にも止まらぬ速さで動いたアルバスにより殴り飛ばされ、グランに攻撃を仕掛けた三人は凄まじい速さで発動された風の魔術により吹っ飛ばされた。
「みんな!」
従者たちが吹き飛ばされたのをみてアリシアが悲痛な叫びをあげる。
「ヤバいっすよ。これはガチでヤバい気配がするっす。一旦みんなを回収して、アリシア様と一緒に逃げたほうがいいんじゃないっすか?」
「やれるものならとっくにやってますよ、フィリア。しかしこの状況では」
レイファの言葉を聞いてフィリアも周りに注意を払う。いつの間にか、周りには結界が張られており、アリシアたちはここから逃げ出すことができなかった。
「無駄だ。そもそも貴様らが逃げる可能性を我らが考えていないと思っていたのか?ここからは逃げられん。まぁ安心しろ、我ら二人を倒せたらこの結界は解かれる。倒せたら、な?」
「まあ、そういうことだ。苦労したんだぜ、ここまでするのに。だからってわけじゃねえが、速攻で終わるんじゃねぇぞ。準備に時間をかけた分、楽しませて貰うぜ」
「作戦を聞いていなかったのか、アルバス?ここには神無月輝夜がいるんだぞ。今は教皇様が直々にお作りになられた結界装置で誤魔化せているが何があるかわからん。だからなるべく早くことを終える必要がある。作戦説明時にそう言われただろ」
「そうだったか?マジかよ。はあぁ、ふざけんなよ。こんなにいい女がいっぱいいるのに、嫌だぜそんなの」
「ふざけるのも大概にしろよ、貴様。これ以上、俺をイラつかせるな」
アルバスとグランが気を逸らしている隙をついてフィリアとレイファは壁際に吹き飛ばされた従者たちを回収する。それと共に他の従者たちが結界を張り、味方に支援魔術をかけることで敵の攻撃に備えを行った。
「ゲホッ………。申し訳ございません。アリシア様」
「いい、喋らないで。今治すから」
そう言ってアリシアは傷ついた従者たちに向かって回復型の魔術をかける。一見するとひどい怪我を負ったように見ているが、攻撃を受ける直前にどうにか防御をしていたので見た目ほどは酷くなく、アリシアの魔術によって回復していった。
そして、従者たちがある程度動けるレベルにまで回復するのと同時に、アルバスとグランの二人にも動きがあった。
「10分だ、これ以上は譲れん。今から10分で終わらせる。その間なら何をしようと文句は言わん」
「へいへい。わかりましたよ。それで光の巫女は誰なんだよ」
「彼女だ。一番奥にいる金髪碧眼の女性。彼女こそが光の巫女であるアリシア・アルブ・オベニアスだ」
「うお、スゲェ。マジで美人じゃん」
グランがアルバスにアリシアのことを教えるとアルバスは興奮したように声を上げる。
「俄然テンション上がってきたぜ!」
「一応言っておくが、光の巫女に手を出すのは禁止だぞ」
「わかってるわかってる。さて、それじゃあお嬢ちゃんたち、俺と遊ぼうか」
ヘラヘラと笑いながらアルバスはアリシアたちに近づいていく。その時
「ん?あれ、吹っ飛ばしたはずの女たちが消えてやがる。いつのまに」
「俺が貴様に説明をしたい時だ、馬鹿め。まぁ、どのみち全員死ぬのだから無意味なことだとは思うがな」
そうして二人は一度目を閉じ、そして開く
次の瞬間、周辺の雰囲気が一変する。これまで以上に濃密な殺気が空間に溢れ、この場にいるすべての者たちが時の流れが遅く感じるほどに神経を集中させ——
———轟音とともに魔術が激突した———
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それと今日は二話更新します。キリの良いところで切ったのでちょっと短かったかもしれません。
20時に二話目の更新です。




