囚われの王女【インスタントフィクション#8】
私は王女。
魔王の手先にさらわれて、
王都から遠く離れた洞窟の
最奥に幽閉されている。
「あぁ勇者様…。早く私を助けに来て。」
そんなことを思っていた時期もありました。
でも、いつまでたっても
勇者様は助けに来ません。
王女が勇者の助けを一心に待つ、
そんな時代はもう終わったのです。
幸い私には王都で執事から
厳しくしつけられたため、
教養がありました。
そこで、食事係の魔物に
政治や経済の仕組みを教えてやったのです。
すると、私の講義の噂は洞窟中の魔物達に
広がり、いつしか魔物全員が私の
生徒になっていました。
これが私のターニングポイントでした。
魔物たちの信頼を得た私は、近隣のダンジョンから
融資を集めて、武器商を興しました。
人間と魔物が戦争をすればするほど、
私達は儲かる仕組みが出来上がっていたのです。
勇者様、お父様、お元気ですか?
もっともっと戦って、私を助けてくださいね。