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3000年目の嫁ピックアップガチャ

短編で上げていたものを長編に上げ直しました。

異世界より現れた勇者と共に世界を救って2700年。


僕はやっと君との約束を果たすことができる。








『ハイエルフのお前なら、3000歳まで童貞だったら多分凄い魔法が使えるようになる!だから希望は捨てるな。きっとお前ならこの〝異世界召喚されちゃった?!ハイエルフに見初められて~夏~〟のヒロイン、ののかちゃんそっくりの嫁を異世界召喚できる!』




異世界の勇者より賜った触媒こと〝異世界召喚されちゃった?!ハイエルフに見初められて~夏~〟を祭壇の中央に奉り、僕は長年研究と改良を重ねた召喚用魔方陣・改に向き直る。


2700年貯めに貯めた魔力を魔方陣に一気に注ぎ込み、勇者が信奉した異界の神へとこの願いが届くように、僕は声を上げた。




「ガチャ神よ!僕に〝嫁〟を与えたまえ!!!!!!」






瞬間、視界はまばゆい光に支配された。






『その願い、叶えてしんぜよう。…ていうか、嫁ピックアップガチャに3000年とか天井だからね…重課金しすぎだからね…』




脳に直接語りかけたのは果たしてガチャ神だったのだろうか?


まばゆい光がすうっと魔方陣の中心に収束していき、辺りは元の明るさへと戻っていく。


僕はきつく閉じていた瞼をそっと開けた 。






光の粒が僅かに残る魔方陣の中央に、彼女はいた。


そう、彼女こそは正しく〝異世界召喚されちゃった?!ハイエルフに見初められて~夏~〟のヒロインののかタンだった。








「え、ここは…?」




書物に書かれていた《鈴を転がすような声》とはこの声だったのか。なんと耳に心地の良い声だろう。




というか。






と、尊い~~~~~~~~~!!!!!!






推しが尊すぎて僕は心臓発作寸前でその場にくずおれた。


倒れた音で僕に気付いたののかタンは、はっと振り替えると口元を両手で押さえて後退った。




「ひっ?!ななななんで全裸?!」




これは異世界の勇者が信仰していた全裸教ガチャ神の正装なんだよ。説明しようと口を開いたが、推しが尊すぎて僕の口からは「はわわ」しか出て来なかった。




「はわわ」


「はわわ?あの、えっと、そのままでいいので、ここがどこだか教えてもらえますか?」


「ひぇ…ぼくとおしゃべりしてくれた、とうとい」




だめだ。語彙力がなくなる。推しがかわいい。


今推しの顔をまともに見たら目が溶けて無くなるかも知れない。いや、目が溶けたとしても見たい見つめていたい。


意を決して、ガバッと顔を上げると、いつの間にか壁まで後退したののかタンの御尊顔がはっきりと見えた。




「ひゅ…っ!ま、まぶしい!!」


「え、イケメン…」






こうして僕らのラブストーリーは始まった。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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