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平和なスローライフは程遠い

作者: おもち

もう何百年も前に、この世界の法律で頭に紙袋を被ることが決められた。容姿による優劣、深刻化したいじめを失くすためだ。当時は平等さを促進し、平和を助長する素晴らしい法律だと言われていたらしい。


その政策は成功した。みんながみんな紙袋を被っている。見た目などで判断される世界とは変わった。はずだった。


「彼の逞しい姿を見た? あんな腕に抱かれてみたいわ」


「彼女はスタイルがいいんだ。完璧だよ」


これのどこが成功だと言えるのだろうか。ほとほと呆れる。


顔に関する話題は確かになくなったが、みんな見る部位が変わっただけで容姿の優劣は確かにある。


「お前は考えすぎなんだよ。俺は気に入ってる。よく言われるよ、あなたって話がとっても上手なのね、一緒にいて楽しいわって」


友人がそう言って笑った。愛想笑いの声を上げておく。表情を作ったって見えない。


「で? お前は? どんな女がいいんだよ? 性格とか趣味とか…そう、外見なんて関係ないからな。人間、中身だよ」


ううん、と悩ましげに声をあげる。特別これといった好みはない。しかし、強いていうなら…


「物を食べるときに…」


「上品な方がいいって? そりゃそうさ。誰だって下品に食べる女はお断りだ」


「そうじゃなくて、物を食べるときに、口元が見えるだろ? 顎がほっそりしてる女が好きなんだ」


僕の答えに友人は呆れたような信じられないようなと言った口調で声を上げた。


「おいおい、勘弁してくれよ…」


もう一度言おう。いや、何度だって言おうじゃないか。


これのどこが平和だって言うんだ?

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