第一回 リリア会議
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女神と別れ、泣きつかれたリリアはカイルの腕でスピスピ言いながら寝ている。
「…さて、何か色々あったがこれからどうすっかねぇー」
リリアを撫でながら最初に口を開いたのはカイルである。
怒涛の流れに若干疲れた面々は各々の椅子に腰掛けて自然とブレイクタイムに突入していた。
「何って、良かったじゃないですか!リーダーの腕は治ったし、〈癒しのドラゴン〉なんてレア召喚獣も仲間になったし‼
良いことずくめっすよ‼」
そう答えたのはヤンチャ系イケメンその1のタックである。
「いやいや、リーダーの腕が治ったのは良かったけど、リリアちゃんは問題よ。
勿論、可愛いし仲間に出来たのは良かったと思うけど流石に〈癒しのドラゴン〉なんてバレたら大変だわ。」
タックに直ぐ様反論したのはお色気系美女のノイリアである。
「でも、〈癒しのドラゴン〉なんて皆見たこと無いんだから、なんとかなるんでないですかねー?」
「俺も、そう思う。」
ヤンチャ系イケメンその2のザイア、その3のケントがその後に続く。
「それに関しては私に意見が。
リリアさんは〈ヒールドラゴン〉の変種の雛ってことにしたら如何でしょう。」
ダイノスの言葉に皆が首を傾げる。
「でもダイノス。〈ヒールドラゴン〉はこんなじゃないぜ?変種つってもバレねぇか?」
「ではカイル、皆さん、貴方方はドラゴンの雛をご覧になったことがありますか?」
「ねえな」
「ないっす。」
皆一同に頷く。
「ドラゴンは家族愛と独占欲が強い種族ですからね。普通は15歳以下の子どもが縄張りから出ることはありません。15歳位で大体大人の姿に追い付きますからね。それまでは親元で過ごすんですよ。だからリリアさんの様な幼竜を見ることは殆んどないんですよ。
何故リリアさんがこんなに幼い時に私達の所に来たのか分かりませんが〈癒しのドラゴン〉は私達ドラゴンの間でも謎の存在ですから何かしら事情があるのでしょうね。
まあ、そこは置いておくとして貴方方ハーフでさえ見たことがないのはその為です。」
成る程、それこそドラゴンの独占欲の強さをカイル達は身をもって知っていた。
竜人族同士の両親を持つカイル達の場合はそうでもなかったが、ドラゴンと人が結婚、子育てを行う最大の壁は独占欲の強さと寿命である。
ドラゴンの寿命は長く、大体600歳位は余裕で生きる。
なので15歳なんてほんの赤子なのである。
また、特にオスはメスを外に出したがらない為に、奥さんが人間の場合は
「私、外で働きたいわ‼」
「だめだ‼家に居ろ‼」
なんて言う論争が勃発するのである。
確かにリリアの様な子どもが外の世界にいるのは珍しいことであった。
「分かった。ダイノスの言う通り、リリアは雛だから見た目が違うで押し通そう。」
「まぁ、ベストなのはリリアさんに人化を覚えていただくことです。そうすればフワフワの毛を隠せますから。」
「それもそうだな。」
リリアの事はこれで何とかなりそうだ。
一同リリアの方針について固まったところでダイノスがまとめに入った。
「では、カイルだけでは心許ないのでリリアさんのお世話は皆で致しましょう。
本来ならまだまだ親元で愛情をたっぷり注がれている時期です。
寂しさを感じさせないようにしてあげなければなりませんね。」
「俺、早くあいつらにリリアちゃんを紹介したいっす‼」
「そうね、きっとあの子もリリアちゃんの事気に入るわ。
だって可愛いは正義だもの」
「確かに、早く紹介してやらないと拗ねるかもしれないですしねー」
「……ああ」
「リリアさんは良い子そうなんできっと直ぐに馴染みますよ。」
「おいっ‼お前ら勝手に盛り上がるんじゃねえ‼
て言うか何で俺だけじゃ心許ないんだよ‼」
「そうやって何も考えずに大声を出して、リリアさんを起こしたりするからですよ。」
大声にびっくりして目を覚ましたらしく、プルプルしているリリアと目が合ったカイルは急いでリリアを宥めたのであった。
カイルが残念イケメンにしかならない件。
こんな筈じゃなかったんですけどね…
難しいです(笑)