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女神の押し売り-カイルside-

閲覧、ブックマークありがとうございます‼

今日はカイルsideです。


俺の名はカイル・アズライル。

〈ラドリアルラ〉西部国で冒険者パーティー〈モファ〉のリーダーをしている。

パーティー全員が竜人族(ドラゴンと人族のハーフ)でハイスペックな事もあり、西部国内最強パーティーなんて言われつつ、日々高ランクの依頼をこなしていた。


あの日もいつも通り依頼を終えて、アジトへ帰還する道中だった。油断していたのか、いきなり現れた〈穢レ〉たウルフに背後を取られ、咄嗟に庇った右腕を噛まれてしまった。


〈穢レ〉

…それは何処からともなく噴出した瘴気のようなモノを指す。一度〈穢レ〉てしまうと治癒魔法も効かず、徐々に全身を紫の刺青が覆い、魔物になるのを待つしかない厄介な存在だ。


素早く立て直してウルフは仕留めたものの、俺の右腕は既に〈穢レ〉に侵され、切り落とすかしかない状態となっていた。

右腕がねぇと満足に戦えず、パーティーの足手まといになる。

俺は腕を切り落とす恐怖と、今後の自身の身の振り方に絶望していた。



…………はずであった。

誰がこの後にマイペースな女神から見たことも無い召喚獣の押し売りを受けるなんて思うだろうか。いや、思うまい。



--------------------------------------------------


いきなり来た女は、見たことも無い召喚獣に【女神】と呼ばれていた。


本来なら信じられない話だが、アジトに幾重にも重ねた結界を超えて侵入したにも拘わらず、精霊達から熱烈的な歓迎を受けているのを見ると本当に【女神】なんだろう。


そんな【女神様】は抱えている召喚獣を仲間にしろと言う。


しかも、その召喚獣は伝説と言われた〈癒しのドラゴン〉だと言うのだ。

いきなり言われて

「はい、そうですか」

なんて言えねぇが、状況を見るとこれも信じるしかなかった。


ドラゴンの証である赤い瞳。

(俺はハーフだから黒い瞳だった。ちょっと羨ましいなんて思ったのは内緒だ。)


胴長短足に長めの尻尾。そして羽。


ここまでは普通だが、こいつ(召喚獣)は全身を真っ白な羽毛で覆われてまるで鳥のように見えた。

(これ見よがしに、気持ち良さそうなあいつ(癒しのドラゴン)の身体を撫で回す女神がちょっと羨ましかったが、これも内緒だ。)


しかも、〈穢レ〉を〈癒す〉ことが出来ると言い、本当に俺の右腕を治しやがったのである。

(膝にあいつ(癒しのドラゴン)が乗ってきた時、本当は撫でてみたかったのを必死に耐えたのも、絶対に内緒だ。)

これには呆然としつつ、腕を切り落とさずに済んだ事への喜びと、あいつ(癒しのドラゴン)に対する感謝で胸が一杯になった。

そして、それ以上に女神が何故俺達にこいつ(癒しのドラゴン)を連れてきたのかも理解した。

確かにこんなドラゴン城にはやれねぇ。

こんな可愛………ゲフンゲン。幼くてヤバイ能力を持ってるドラゴンがお偉いヤツらの思惑に振り回されるのはあっちゃいけねぇ。

それに、〈穢レ〉を癒すことが出来るなら俺らももっと沢山の人を救うことが出来る。

女神なんかに頼まれなくても俺はコイツが欲しくなっていた。



「それで、この子と契約してくれるのかしら?」

という女神のセリフに即座に頷いてしまいたかったが、当の本人(癒しのドラゴン)は泣きそうに目を潤ませて此方を見ていた。


今の間にそんなに嫌われたのか…?

と内心ショックに思っていると、横でダイノスのヤツから言われた言葉に愕然とした。


「城にでも連れていけば」

……確かに言った。

「厄介な事になる」

…………言ったな。

「お礼の1つも言わないとは…」

……………お礼の1つも言ってねえ‼


ヤバイ‼俺、最悪なヤツじゃんか!!!

慌てて訂正を入れるが、アイツの目からは今にも涙が零れ落ちそうだ。

俺は子どもの泣き止ませ方なんてわかんねーんだよ‼

自分でも理不尽だとは思うが、ダイノスにフォローを丸投げし、なんとかあいつを仲間として迎えることに成功したのである。





実はヘタレな良いお兄ちゃんタイプ。

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