第4話 とっくん!
と思ったら全然、話は進みませんでした。なかなかに難しい。南無三
特訓。可愛く言うと
とっくん!
なんだかバックからチャララランとギターのフレーズが聞こえて来そうだ。
目の前の土煙のクララを見て思う。俺もこんな風に出来るのだろうか…否!なりたいのである!
目をキラキラと輝かしながらクララを見ると自慢げに、えっへんと胸を張る。oh…ちょっと…そのなんだか…はい。
ごめんなさいって気持ちになったが、セシリアの胸を張る癖みたいなものはクララから来てるんだろうなと安易に想像が出来て笑ってしまった。
土煙が収まろうとした頃、何やらクララの家の裏から騒がしい声が聞こえてきた。
「なっななななな何があったでありますかああああああああ???!!!!」
バタバタと小動物的な感じで走りよってくる女の子がいた。小柄で身長は150数cmといったところか。体型は小学生…というより幼児体型のような女の子。髪は黒色でおさげがある。目がクリクリとしており人形みたいな少女がやってくるのであった。人形と表現したのは、そのまさかであり和服を着ていたからである。
「クララ様、またやったでありますか!!」
またという言葉に引っかかる。チラとクララを見ると、カッカッカと笑いながら
「王宮を退職してからというもの魔力を持て余し気味でのお!」
と豪快に笑う。
そんな…高校生のような性欲を持て余すような感じで言わんでもと苦笑いをする。というか物静かなお婆さんじゃなかったの?
そんな俺を横目にセシリアが少女に声を掛ける。
「アンナ!お久しぶり!元気にしていたかしら?」
と言いながらアンナを抱きしめる。アンナ、今すぐ俺と代われ。代わるのだ!俺は所望するぞ!その柔らかいふかふかおっぱいをだ!おお、久しぶりにおっぱいとか言った気がするぞ。
そして名前はアンナと言うのか。海外でも日本でも通じる名前だし今回はクラシックとか音楽には関係ないのかな?と思っていると、アンナがこちらに気づいたのか怪訝な目で俺を見てくる。
「アンナよ大丈夫じゃ。今日からここに数日いやあるいは数ヶ月はたまた数年は住む事になるであろう坊主じゃ。」
とクララがアンナを見ながらにこやかに言うが、その言葉を聞いた俺は全然にこやかにはなれなかった。特訓というからには数カ月はまだ分かる。数年…いやいや…数年…
「という事は合格でよろしいですの?!」
とセシリアが続く。合格ってまさか…試験だったの?!と聞き返すと、セシリアはごめんなさいと言わんばかりに舌を出して、テへっと聞こえてきそうな顔をする。
あまりの可愛いさに、これ以上追求できないのがもどかしい…ぐぬぬ…。
クララが言うには、ある程度の魔力がないと見込みはない。微弱なまでなら追い返そうと考えていたという事だった。
と言う事は俺にはある程度はあるって事なのか。その、ある程度というのが理解できないが…そして先ほどの言葉を繰り返す…数年…数年かぁ…
そんな俺にアンナが恐る恐る俺に近づいて来て言う。
「アンナであります。以後お見知りおきをであります。」
俺が少し怖いのだろうか、少しビクビクした感じがまさに小動物のようだった。
こういう時はあれだな。目線を合わせるだな!と思うと中腰になりアンナと目線を合わせる。
「よろしくな。俺はタケノリだ。これから、クララさんに魔力特訓をしてもらう者だ。仲良くしてくれると助かる。」
となるべく威圧感を与えないよう、ゆっくりと話し出来る限りにこやかにしながら握手を求めて、ゆっくりと右手を差し出す。その右手を見て恐る恐ると右手を差し出してきて俺の右手を握る。
なかなかに愛らしい柔らかい手だなぁと思いアンナを見ると、遠くで見るよりなかなかに可愛い。美少女だなと思い右手をニギニギとしていたら、今朝のセシリアのおっぱいを不覚にも思い出してしまった。
アンナはアンナでビクビクしていたものが緊張が和らいだのか頬を少し赤くしたかと思ったら下を向いて俯いてしまった。と同時に手を思いっきり離されてしまったのだ。
ふむぅ…ちょっと手が柔らかすぎたが為に握りすぎたせいかもしれん…
「ちょっと握りすぎたね。ごめんね?」
と言うと、いえ…別に…と小声で言うだけだった。そのやりとりを見てクララはカッカッカと笑う。
セシリアはなんだかアンナのお姉さんのような雰囲気を醸し出しながら、にこやかにしているのだった。
そうこうしているとセシリアはもう帰宅時間だと言い帰路につくのだった。
それを見送り、アンナは夕飯の準備をしてくるでありますと言い家の裏に引っ込む。
「さてと…タケ坊。そろそろ本題に入ろうか。」
今までのにこやかな顔は潜み真面目な顔になるクララ。
「私は石を投げる前に本気で全力で投げろと言ったが、タケ坊は今も元気に動いておる。なぜだと思う?」
その問いに答えられる回答を俺は持ち合わせてはいない。が、少し考えた後に
「俺は全力で投げました。何か欠点があったのなら全部教えて欲しい…です。」
ふむ。と言いクララが口を開く。
「タケ坊。魔力というのは思いの丈なのじゃ。本心を移す力と言っても良い。そう考えるとタケ坊はまだ猫を被っている状態じゃの。」
そして…と付け足したが言葉を濁すかのように。まぁ、これは先でもええじゃろ。と続けるのであった。
もしかして…と考えたが、すぐにそれは胸の内に仕舞った。
「もう暗くなるし今日はもう止めじゃ。明日から始まるのじゃから今日はゆっくり眠ると良い。」
そう言いながら家に入っていくクララ。
俺も手首のスナップだけで石を投げれるようになるのだろうか?と思い足元の石を拾う。思いの丈か…
うーん…思いの丈ねぇ…なんだろう?
きえええええええええええと心の中で叫びながら手首のスナップだけで石を投げる。
無情にもその石が足に落ち、本当にきえええええええええええと叫ぶのであった。