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音楽と魔法と異世界と (仮)  作者: さんぼんせんろっく
第一章 未熟な初心者
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第2話 異世界での日常

1話に続き勢いで書いてます。

普段と変わらぬ大学生活。悪友達と駄弁りながら街へライブへクラブへと足を運ぶ。楽しい楽しい賑やかな毎日。

そう…普段と変わらぬ生活だった…


これは夢なのだー


ハッ?!と目が覚める。目を開くと見知らぬ天井に殺風景な部屋。そしてベッドに寝ていた。俺は和室派で布団派なのだ。なんだか旅行にでも来たような気がして今までの事を振り返る。

そうだ…大学からの帰り、自宅の玄関を開けると部屋はなく草原だった。そして…ゴブリンに襲われた…と起こった出来事を振り返った瞬間、冷や汗が一気に出たと同時に上半身を一気に起こす。

荒い息遣いをしながら辺りを見渡す。ここは…どこだろう…。

視線を下にやり自分の様子を確認する。白い七部丈のシャツに紺色のジーンズ。服装はこちらの世界に来た時と同じ服装だった。


そこへ扉が開き女性が入ってくる。綺麗な金髪に後ろを団子状にまとめている。顔は綺麗に整っており少しタレ目気味。身長は160cm辺りだろうか。

おお…タイプな女性だ。と目線が胸の方へいってしまう。いやいや…これは男の性なのだ。残念ながら甲冑を来てはいるが大きさは分かる。あれは絶対にデカいやつやで!なんて思っていると怪訝そうな顔をして近づいてくる。


「お身体の具合はどうですの?」


心配そうな顔で左右に垂れている左側の髪を耳に掛けながら声を掛けてくる。

おお…色っぽい…なんて思いながら惚けていると再度、声を掛けられる。いかん。惚けている場合ではなかった。


「あの、助けて…?くださったのは…貴女…ですか?」


倒れたとこまでしっかり覚えている。そして、右手に集中しなさい等、声を掛けて来た声も覚えており脳内で一致したからだ。


「そうですわ!ですが、貴方はなかなかやりますわね。どう見ても平民にしか見えないのですが…あんな力を使えるなんて。」


平民か…などと思いながら右手を見る。いつもと何も変わりはない。そういえば魔力とかって言ってたっけな…

っと、その前に。


「助けていただき、ありがとうございました。俺は千葉武律と言います。あの…」


と言ったところで言い淀む。ふむぅ…何から聞くのが得策なのだろうかと。この世界?魔力?

…もう何が何だか分からなくなり頭がグルグルしてきたところで女性が心配そうな顔で言う。


「きっと、ゴブリンに襲われたことで酷く疲れたのでしょう。今は安静に休む事をお勧めしますわ。それと私はセシリア・ベラミーと申します。チバ・タケノリとは変わったお名前ですのね?」


多分、この国には無い名前だろうなぁと思ったところ。ああそうか。海外の感じで姓と名を逆で言った方が良いなと思い直す。


「セシリアさん、ごめんなさい。ちょっと寝ぼけてて間違えました。本当はタケノリ・チバと申します。」


と苦笑いしながら答える。それに、セシリアもふふっと口元に手を当てて笑う。

おお…かっ可愛い…。

そこから色々と話が盛り上がり色んな話を聞くことが出来た。見回りで巡回していたところ俺を発見したという事。倒れた後、この宿屋まで運んでくれた事。今いるこの土地は城下町でアマデウス国家が目の前にあるという事。目の前にいるセシリア・ベラミーは、そのアマデウス国家の騎士だという事も。

それにしても、アマデウスにベラミーか…聞き慣れた単語が僕にとっては馴染み深い…クラシック作家に好きなバンドのギタリストからの名前等出てくるが気のせいだ…うん、絶対に気のせいだ…。

それになぜ俺はこの世界の言葉を理解し話せているのだろうかという新たな疑問も出て来た。

ふむぅ…。


「そういえば、セシリアさん。倒れる直前や先ほども言っていましたが…魔力?魔法?とは一体?」


まぁ?そんな事も知らないの?とバカにするような感じではなく驚いた様子で説明してくれる。

魔力とは先天的なものでーーーー


「誰にでも使えるような物ではないと?」と返す俺。

「そうですわ。そして魔力がある方というのは必然的に家族の期待もあったりで王国へ招集される立派な方なのですわ。」


ふむぅ。と考える俺を余所にセシリアはこうも付け足す。


「ですが、タケノリは2回程使っただけで倒れたのですから特訓が必要…という事になりますわね。1回目は遠くから確認出来ましたが微量な程。2回目は大量に込めたのですから平均で使える回数は3〜4回程でしょうか。」


なるほど…MP的な事か。セシリアさんは何回程使えますか?と聞く。


「わたくしですか?そうですわねぇ…1回の戦闘では大体40とか50回とかではないかしら?魔力を回復させる技もありますのでぇ…一概にその回数しか使えない…という訳ではないのですが。」


おお!しゅごい…なるほど。特訓すれば俺も魔法が…


「あっあの!俺も王国とか招集されるのですか?」


特訓すれば俺も魔法が!なんて期待に満ち溢れた目をしながらセシリアに聞くも返って来た答えは違うものだった。


「そうですわねぇ。招集も出来るのは出来るのですが、その前に先程も言いましたが特訓が必要なのですわ。基礎力を上げないと、いざという時に人材的に使えないと…」


なるほど、一理ある。


「申し訳ないですわ。決して嫌味で言ったわけではないのですが…」


いえ、十分に納得出来る事ですし、しっかり理解出来ましたとお礼を言う。


「ですが特訓という意味で先生を紹介する事なら出来ますわよ。そこで経験を積んで十分な力を得ることが出来たのなら、わたくしの方から掛け合う事も出来ますわ!明日、早速行ってみましょう!」


と胸を張るセシリア。うぐぅ…甲冑めぇ…お前が邪魔だぁ…。

そろそろ時間ですので自宅に戻らないとと言うセシリアに今日のお礼を言う。そして、明日また来ますわ。と言い出て行く。

当面、元の世界に帰る方法も分からない為、ウダウダと考えていても仕方がない。この世界を少しでも満喫しようと心に誓うのだった。

なんだ…なんだかんだ言いながら順応し楽しもうとしているんだな…俺。


ふと外に目をやるとオレンジ色に光る空が見えた。もう夕方か…。自宅に帰った時は15時ぐらい…日が暮れてないという事は17時か18時か…ここの世界も夏という季節なのだろうか。

ちょっと外へ出たくなりベッドから降り部屋から出る。ここは2階だったようで1階に降りたところで宿屋の店主らしき人と出会う。


眉が太く身体がイカつい…口が「へ」の形になっているような…そういかにも強面の人物だ。

うっ…と立ち止まっていると店主の後ろから声が聞こえて来た。


「あんた、そんなとこに突っ立って何してるんだい?」

と言ったところで俺と目が合う。


「あらあらまぁまぁまぁ!目が覚めたのねぇ。体調はどう?もう歩いて平気なのかい?」

と言う奥さんは店主の奥さんだった。小太りだが愛嬌のある柔らかい印象がする人だった。


えぇ、もう大丈夫です。心配してくださり、ありがとうございますと、はにかんで返す。

なんでも宿屋代などセシリアが手配してくれたらしい事も聞けた。これは、セシリアさんには頭が上がらないな…

少し外を散歩して来ますと言い宿を出ると外はすっかり暗くなるところだった。


街灯というものはないがあちこちに並ぶ露店から光が漏れて来て綺麗だった。ゆっくり歩きながら露店を見たり、行き交う人を観察…体格や身長、服装等を見るに俺がいた世界とは大差ないような感じだった。いや服装はちょっと違ったな。中世ヨーロッパのような…そんなニュアンス。いや、中世ヨーロッパを知ってるわけではないんだけどな!


そんな風に露店を行き交う人々を見ていたら急にお腹が鳴り出す。美味そうな匂いがあちこちから漂ってくる…くるが俺は無一文なのだ…。

そうだ…宿屋に戻れば何かあるに違いない!セシリアさん、ありがとう!と心の中で思いの丈を叫び宿屋へ戻る。

案の定、宿屋へ戻るなり美味そうな匂いが俺を出迎えてくれる。感謝だ…感謝しかねぇ…


お腹が空いたのねぇ〜など言いながらニコニコ顔で料理を運んでくれる奥さん。

夕飯はパンにスープ。肉の入っていない野菜炒めみたいな物が出て来た。コンソメスープっぽい味に塩加減の効いた野菜炒め。ふむ、悪くない。美味い!実に美味であるぞ!と心で叫ぶ。

ふと誰かが俺を見ているような視線を感じたので目線を向けると強面の店主だった。ご飯を美味しそうに食べる俺の顔に満足したのかサムズアップしニカと笑う店主。

oh…店主、貴方は意外にもお茶目な方だったのですね…。けど、なんだか笑顔は怖い…


今日は一日走り回ったし汗もたくさんかいたのでお風呂に入りたかったのだが、大浴場はあるにはあるらしいのだが少し歩かなければならなかったという事と疲れていたという事もあり宿屋の裏で行水を済ませるだけにした。


さて明日はセシリアさんと先生のところへだったな。今日は本当に長い長い一日だった…疲れたと思う間も無く瞼は落ちていたのだった。

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