表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

自己紹介の4

お城に行く途中、僕は少年に肩を貸してもらって、

なんとか歩くことができた。


「自己紹介がまだでしたっす、僕の名前は請立うけだて つかさっす」

「なんだか名前が翼くんに似てるわね」

「…僕は…っ!逃ま…っ!」

「翼くん~?つらそ~うなのです~?」

「辛そうでーす」

鈴紗はきっと、辛そうなどと思っていないだろう……

素晴らしい棒読み加減だ。


「…でも、翼くんは本当に辛そうなので、私が紹介します」

鈴紗を始めて優しいと思った。が、この痛みの発端は鈴紗なのだと考えると、

なんだか複雑な気持ちになってくる。


「見ての通り、この情けない物体が逃惑 翼くんです」

物体、せめて生物として扱って欲しいものだ。


「そして、この高身長で、茶髪ポニーテールのツンデレちゃんが追方 志帆」

「私はツンデレじゃないわ、他人にツンツンしたこともない、

 ましてや、デレデレしたこともないわ」

…デレデレはともかく、ツンツンはいつもしてるはずだ。


「こっちの低身長、ロリロリ、ふわふわ、金髪ツインテールが流碧 瑠璃です」

「身長は低くて~金髪ですが~?ロリロリってなんです~?」


「そしてこの、普通身長、普通の黒髪、ビバ普通な私が正側 鈴紗です。」

鈴紗は手を広げてくるりと一回転した。

僕に言わせれば、鈴紗も充分「普通ではない」のだが、

それを言えば、きっと鈴紗は怒るだろう。


この中、僕を含めた弁論部の中では一番まともだと言えるが、

少し、視野を広げて、周りを見てみれば、鈴紗はいろいろと異常だ

一見して、鈴紗は志帆と似ているようにも思える。

静かで、おしとやかで、少し冷たい。

その印象は決して間違ってはいない。

だが、完全に合っているというわけでもないだろう。


気が付けば、僕たちはお城の前にいた。

童話に出てくるような、パステルカラーを散りばめたお城の入口は、

大きく開いた赤い扉で、通路には赤いカーペットが引いてあった。

「…なんだか、メルヘンチックなお城ね」

「璃流~?こ~んなところに~すみたいです~?」

「正直、こんな大きな建物なので、最初から見えてましたけどね」

鈴紗だけ夢がないのはなぜだろう…

確かに鈴紗の言うとおり、遠くからでも見えてはいたのだが……


しばらく通路を歩いていくと、大きな階段が見えてきた。

しかし、階段の前には鎧を着込んだ、明らかな護衛兵もいた。

「貴様達!何者だ!」

「プレイヤー登録をするために来たのよ!」

「いいだろう!通れ!」


僕のツッコミを聞いてくれるだろうか。

まず第一に、護衛兵らしき人はこの広い階段の端にいるのだ。

真ん中を堂々と走って登れば、護衛兵には捕まらないだろう。


第二に、その護衛兵は、こちらに来るわけでもなく、

その場から動かずに、大声で話しかけてきているのだ。

本気で叫んでいるに違いない音量である。

同じことが志帆にも言える。

腰に響いてとても痛い。


そして最後に、あっさりと通しすぎだということだ。

いくらなんでもあっさりしすぎている。

立派な城を護衛しているであろう兵がそんなでいいのか……


そんなことを考えながら階段を上がった。

もちろん主に支えてもらいながら。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ