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激痛の3

「3話から主人公が瀕死というのも、どうかと思うぜ」

そんなふうに思いながら読んでいただけると嬉しいです。


上から人が降ってくるのは、人生初めてだ。

そして、こんな激痛を味わうのも人生で初めてだ。

感想は、痛いの一言に尽きる。


背骨が粉々になっていると言われても納得できるくらいの痛みに

僕が苦しんでいると、いかにも爽やかで「かっこいい」風の

青年が近づいてきた。

おそらくだが、僕たちと同じぐらいか少し上ぐらいの年だろう


「大丈夫っすか?」

「じゃないです!大丈夫じゃない!」

僕が必死に痛みを訴えると、志帆が、

「本人はこう言ってるけど、大げさなだけだから気にしないで欲しいわ」

「いや、でも、さっき見てたっすけど、すごい勢いよく落ちてきてっす?」

「私が大丈夫と言っているのだから、大丈夫よ」

「はあ、そうっすか…」

志帆がもはや悪魔にしか見えないが、それでも僕は苦しむしかない。

「い、痛い…」

「…でも、とりあえず回復薬だけでも使って欲しいっす」

そう言って、

青年は緑色の液体の入った小さめのワインの瓶のようなものを置いた。


「あの~?使い方~がわからないです~?」

「ああ、それは、こうするっす…」

少年が瓶の蓋を開けて、僕の方に傾けたが、中身がこぼれない。


「あ…あれ?」

すると、ブブッという音とともに、エラーメッセージが出た。

『プレーヤー登録されていないためこのアイテムは使用できません』


「……」

「……」

「……」

しばし、沈黙が続いたあと、少年が口を開く。

「ひょっとして、プレイヤー登録って…」

「プレイヤー登録がなんなのかは知らないけど、した覚えはないわ」


「……」

「……」

また、沈黙が続いたあと、今度は鈴紗が口を開く。

「プレイヤー登録はどこですればいいのですか?」

「ああ、それなら、神様のところっす、あの、お城のところにいるっす」

「じゃあ~?お城に行く~です~?」

「無理…動けない…」


「ああ、もう!情けないわね!

 さっさと立ちなさいよ!さっさと立たないと、トドメを刺すわよ!」

「…よし、お城まで行こう」

さすがに、トドメを刺されるのはごめんだ。

僕はなんとか立ち上がろうとしたものの、

「うがあぁ!」

と、大声を上げてしまい、それによってさらに腰が痛んだ。


すると、鈴紗が少し申し訳なさそうに、

「私って、そんなに重いですか?」

と聞いてきた。

男としては、重くないと答えたいところだが、

重いから、実際こうなっているのだろう。

そんなことを考えてるうちに、

「重い…」

と声になって出てしまった。


「……」

「…うわー……」

全員、ドン引きである。さすがの僕もしまった、と思った。

青年も、初対面にも関わらず思いっきり引いている。


「翼くん、最低ね、やっぱりトドメを刺すことにしたわ」

そう言って、志帆は僕の頭をガシっと鷲掴みにした。

「ああっ!軽いよ鈴紗!鈴紗が重いんじゃなくて、

 位置エネルギーが大きかっただけだよ、ほら!立てるよ!痛いけど!」

ちなみに、位置エネルギーについては、理科でやったような気もするが、

一体それが何なのか、全く覚えていない。


僕は死を覚悟し、立ち上がってみせる。

腰の痛みでショック死しそうだ。しかし、倒れていても痛いのは同じなので、

僕はなんとか頑張り、お城に行くことを決意した。


「じゃあ…!、お城に行こうか…!」

「そうね、やっとその気になったのね」

僕たちが歩き始めると、少年は、

「あの、回復薬を渡したいんで、僕もついていくっす」

と言って、僕たちの後ろをついてきた。



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