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格差社会の最底辺  作者: 橘 竜
部活動勧誘期間
6/29

1 一日目

 入学式の次の日、零斗達は校門から数メートル離れた所で立ち尽くしていた。理由は、

「これは予想以上だな……」

部活動の勧誘が朝から行われている上に、かなり激しい。目をこらすと超能力が飛び交っていることがわかる。なぜ部活動の勧誘でここまで本気を出すのか、零斗にはわからなかったが、かなりのピンチであることはわかった。 超能力が使えない零斗が進むには、龍華とメグに蹴散らしてもらうしか無いのだが、流石に名門達を倒せる実力は無い。

「どうしますか? 神上さん」

「いや、どうしようか……」

「そもそもさ、部活動ごときであんなに本気出すのがおかしいんだよ」

「人には人の考え方があるんだろう。……仕方ない、正面突破しよう」

零斗はそう言って人垣に突っ込んだ。


  数分後、1ーAにて

「く、はぁ、はぁ……、ようやくついた……」

 後ろの扉を開け、一番近くの机に零斗は寄りかかる。教室には零斗同じような状態の生徒が他にもいて、皆虚空を眺めている。その様子を見た担任教師の草薙が

「お前ら、辛いのはわかるが、休むのは自分の机にしろ! 通路が塞がっているぞ!」

と声をかけるが、零斗をはじめ、限界の生徒は動かない。

 扉が再び開き、龍華とメグが倒れこんでくる。位置の関係上、メグは壁に寄りかかったのだが、龍華が零斗に倒れこむかたちになってしまった。

「うおっ! と、なんだ? お前達が俺より遅いなんて珍しいな」

 普通実力の関係で、零斗より速く(早く?)移動等を行える二人が自分より遅かったことに零斗は疑問を覚えるが、よく考えれば(エンブレム)が見えない状態なので、顔だけで判断する人が多かったのだろう。黒羽根のように目立った人物は別として。

 零斗にとってはそこが問題だが、龍華は違う。

「え? あ、……す、すみませんでした」

女として、人間として、奴隷としてのミスで顔を紅くした龍華は、飛び退くように後ろにさがって壁にぶつかる。

「龍華ちゃんは元気だね。私は限界……」

「私だって限界ですよぉ……」

 二人が呟いた瞬間、前側の扉が開き、人間が流れ込む。その中に友達の姿をみとめ、零斗が声をかける。

「大丈夫……では無さそうだな。東西南北」

「なによ、その呼び方、まあいいけど」

 四人、いや限界状態の人々(かたまり)の中で一番元気だった雫がこたえる。

 一拍おいて続き。

「現状は見ての通りかな」

 その後は口を開く者もいなく、実感がわかないがあのかたまりで最後だったらしく、余鈴が鳴るまで皆教室の床や他人の机で倒れていた。

 余鈴後は皆素早く動き、授業も予定通り始まった。

 なお授業中、零斗が暫くの間『はぜろ』『もげろ』等々の単語を念話(テレパシー)で強制受信したのは、気のせいでは無いだろう。

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