表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
格差社会の最底辺  作者: 橘 竜
入学
4/29

 ガラッ、と音をたてて教室の前側の扉を開けて入って来たのは、気合いとか根性とか言い出しそうな筋肉隆々の男だった。見た目通りと言えば見た目通りなのだが、多少なりとも防音機能がある素材で作られている扉で音(騒音)をたてて入ってくる辺り、なんと言うか凄い。

「俺がここのクラスの担任になった草薙(くさなぎ)武士(たけし)だ! 担当は体育と『肉体強化』と称される能力全般だ! よろしくな!」

 どこまでも予想通りの自己紹介をした男――担任教師の草薙は、そこで一拍おき、全体を見回した。

「本来ならばこの後すぐに学校について説明をするのだが、優秀なこのクラスには副担任がいる! それでは入ってきてもらおう!」

優秀な、と言われ零斗は反射的にビクッと反応するが、そんなことには誰も気がつかない。

 草薙が入口に向かって手招きをする。入ってきたのは去年大学を卒業しましたと言わんばかりの若い女性――童顔なだけかもしれないが。彼女が一礼し、話し始める。

「このクラスの副担任になりました如月(きさらぎ)愛理(あいり)です。担当教科は理科、担当能力は『雷』系統――特に心理系です。よろしくお願いします」

 如月が下がり、再び草薙が教卓に立つ。いよいよ説明が始まるということで、興味無さげに窓の外や携帯端末を見ていた生徒も草薙に集中し、耳を研ぎ澄ませる。もっともメガホンもビックリの草薙の声など、ボーっとしていても聞こえるのだが。

「それでは説明を始めようか! テストは実技、筆記ともに年に三回! ――――」

 説明が長いので要約すると、

・超能力重視の時間割(カリキュラム)

・最大の行事は体育祭、文化祭、修学旅行の三つ。

・部活や同好会、委員会や生徒会は掛け持ち可能。

・部活等の勧誘は明日から始まり、毎年運動部のせいで戦争みたいになる。理由は運動部の掛け持ちは不可能に等しいから。

・生徒会は二月頃の選挙で決まる。

というような内容である。色々突っ込こめるもあったが、学校の方針に(害が無いかぎり)口を出す必要は無いと判断し、数個の質問がある程度だった。

(あー、突っ込みてぇ……。特に部活関係)

 零斗の考えももっともで、「勧誘期間は怪我に注意しろ!」などと言われたら誰でも気になる――余裕そうな人も少なからずいるが。しかし、結局誰も突っ込まず、教師二人は職員室に戻っていった。

 帰りの会とかホームルームとか呼ばれる時間は無く、今日の時間割は終了したので帰ろうと零斗が立ち上がったとき、声をかけられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ