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格差社会の最底辺  作者: 橘 竜
部活動勧誘期間
17/29

12

栄範との話が終わった零斗は、教室に戻り友人達に声をかける。

「ただいま~」

「お帰り。で、零斗は何で風紀委員なんかと話したんだ? なにかやらかしたの?」

「いや、風紀委員になってきた」

なんの脈説もない話に、龍華やメグ、熾滝や雫や駿一郎や大地なんかが固ま(フリーズす)る。実際わけがわからないので、当然といえば当然なので、零斗は察して説明を始めた。


結局、説明は授業前には終わらず、授業間の小休憩に持ち越しとなった。

「――――というわけだ」

零斗は説明を終え、真剣な顔で友人達の顔を見る。声に出さずに目で伝える。

「つまり、奴隷を対象にした誘拐事件が頻発しているということ?」

沈黙――クラスではなくこのグループのはなしである――を破ったのは、熾滝だった。最初に零斗に話しかけてきたのも熾滝だったので、積極的な性格なのかもしれないが、基本的に『はじめまして』なこのクラスでは真実を知る者はいない。

「やはりそっちに着目するか……。まあ、そういうことだ。奴隷がいなくなる理由なんて二択。一つは主人から逃げ出した場合。もう一つが」

拐われた場合。それは前者より悪い状況で、奴隷を拐うような奴は奴隷に人権を見出ださない。その結果で最悪なのが人間兵器が生み出されることだ。もっと前例はほとんど無い――いや、基本的に失敗して未遂に終わっているだけであり、色々やらかすキチガイは何処にでもいる。

「売られているなら構わない。しかし、常に最悪の状況を想定する必要がある」

「……僕たちにできることは無いの?」

零斗の言葉に熾滝が返す。他の三人は黙り混み、龍華は震え、メグは絶句している。

「無いな。信用できると踏んで用心の為に話しただけだ。あまり広まったり騒いだりすると、相手が行動をやめる可能性がある」

それはつまり、邪魔だから大人しくしてろ、という意味である。

もっとも零斗は戦闘が得意とはお世辞にも言えない、が、それは誰にもバレてはいない(筈である)。ならばあとは簡単で、名門という名の仮面で己を覆えばいい。

「基本的に風紀委員に任せておけ。情報があったら提供して欲しいが」

「わかった、よ」

熾滝がなぜか残念そうに言うと、雫が「そうだね……」と言い、ほか二人が頷いた。若干不謹慎というかアレなんだが、思春期は刺激を求める生き物だから仕方ないのかもしれない。

「まあ既に、多少の解決策や工夫は考えてるさ」

零斗が最後にボソッと呟いたことは、誰も気がつかなかった。

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