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格差社会の最底辺  作者: 橘 竜
入学
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1 プロローグ

 格差。――それは実力や血筋、酷いときには見た目なども含めておこる一種の差別といっても過言ではない。

 元々はたいして大きくなかった格差だが、科学技術の発達と超能力の発見より実力の差がはっきりとし、王族、貴族、上級平民、下級平民、奴隷の大きく分けて五段階の階級に分けられた。基本的に階級が上の者ほど超能力も強いが、金や科学技術で高い階級になった一族もいるので目安にしかならない。

 超能力以外の王族や貴族がいるせいで役不足と言われているうちの一家が、貴族――さらに言うなら下級貴族、戦士や武士と言われる階級――の神上(かみあがり)家である。神上家は超能力の名門で、武器無しの超能力だけの戦闘ならば世界の五指に入ると言われる程の実力を持っていた。

 しかし神上家の長男、神上零斗(れいと)は超能力が一切使えない。どんなに下級――奴隷や下級平民の中でも貧しい者――の人間でも微風を起こしたり、火花を出す程度のことはできるのにも関わらずだ。自分の超能力が、エネルギーそのものである『念』、分類されている『火』、『水』、『風』、『地』、『雷』などや、どれにも属さない特殊なもの等々のなかでどれなのか理解していない可能性もあるが、五歳から超能力について学び調べる神上家では殆どあり得ない事だった。

 その結果、零斗は落ちこぼれ扱いを受け、次期当主の座が危うい程だった。零斗は自分の超能力を理解し、使いこなす為に学業都市――アフリカ共和国の『農業都市』、日朝連合国の『工業都市』、北アメリカ大陸合衆国の『商業都市』、イギリス王国の『行政都市』、ユーラシア連邦の『研究都市』から成る五台都市に有能な人材を送るために世界各国につくられた高等学校や大学校、大学院が密集した都市――の超能力研究特化の高校に二名の奴隷をつれて進学した(ちなみに、奴隷も主人が金を払えば入学できる。護衛として入学させる場合が多いが)。


  九月某日、入学式の日。

 貴族を表す赤いエンブレムの付いた新品の制服を着た、和民族(旧日本人)特有の混じりけの無い黒髪の少年、神上零斗は自分の立場を考え目立たないようにしていたのだが、それは不可能だった。

「選択を間違えたかもしれない……」

なぜなら零斗の両脇に控える無印(ノーエンブレム)の制服を着た少女達が美人過ぎたのだ。

 と言っても零斗は見た目で選んだ訳では無い。ただ単純に自分と同じくらいの歳で強いのが、たまたま美少女だったというだけの話である。しかし周りからは美少女を侍らせてるように見えてる訳で、たまに「うらやましい」とか「畜生リア充が」とか「死ね」とか呟いている人がいる。

「……移動しようか」

式の席順で並べば男女は別々になり、中の上程度の見た目の自分は目立たないという考えだ。

 しかし、移動する前に爆弾が投下された。

「かしこまりました、ご主人様」

「了解いたしました、零斗様」

場の空気が凍結する。褐色のガチムチを連れたイケメンがすごい剣幕で睨んでいるし、平民のエンブレムを付けた少年が目をクワッと見開いている。女子至ってはには全力で引いている。

(あれ、デジャヴ? 俺の高校生活終わった? 一体何のためのエンブレムだよ……)

 暫し思考を巡らせる。人の少ない所に移動して、発言。

「いいか、お前らよく聞け。俺達は同じ学年の生徒なんだから様付けはおかしい。呼び捨てか、くんやさんを付けて呼べ。あと敬語も俺に使うな」

 二人は驚いたような顔をした。数秒考え、先に喋ったのは黒髪の龍華(りょうか)

「かし……わかりました、神上さん」

更に数秒、金髪のメグ。

「わかったよ、零斗くん」

二人の返事を聞いた後、零斗がふと時計を見る。もうすぐ入学式が始まる時間だ。零斗は歩き出しながら二人に声をかけた。

「龍華、メグ、時間だ行くぞ」

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