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ミシェル家の食堂ダイニングルーム

そこは、高級感漂っており

部屋の隅には、骨董品かと思われる置物が

いくつも飾られている。

長いテーブルの横。離れたところに

ステージがあった。

コンサートホールと比べたら小さいが

それでも立派な舞台だった。

そこで演奏する、オーケストラ団。

指揮者が優雅に、指揮棒を振っている。

食堂に響く、優しい音色。

その音に身を委ねながら

ミシェル家の主人であるマルスは

コックが作った朝ごはんを食べていた。

セファルは、マルスの後ろの

少し離れたところに立っていた。

そこに、リラがやってくる。

「おぉ。やっと来たか」

マルスはリラに気付くと、顔を上げて

笑顔を見せた。

「おはようございます。お父様」

ドレスの裾を少し上げ、リラは御辞儀をした。

そして、席につく。

するとすぐにメイドがやってきて

リラにナプキンをかけていった。

リラの前に、皿が何枚も並ぶ。

「ありがとう」

微笑みながら小さく言うと

リラはナイフとフォークを手にした。

セファルは、その様子を見守っていた。

嫌いなものがあると、露骨に顔を

顰めながら食べるリラ。

それは何か微笑ましく、セファルは思わず

笑顔になった。

「ところで」

料理を食べ終わったマルスが、口を開く。

「今日は家庭教師が来る日だ」

その言葉を聞き、リラは嫌な顔をする。

「ちゃんと勉強するようにな」

マルスはそれだけ言って立ち上がると

執事に何か言って、食堂から出て行った。

その後姿に、リラは舌を出した。

「お、お嬢様」

傍にいたメイドが、慌てて注意をする。

だって、と反論するリラの姿を見て

セファルは小さく笑った。

それを見て、リラはむっとする。

「何よ、セファル」

「何でもございません」

平和だな、とセファルは思った。


やがて朝食を食べ終わったリラは

立ち上がり、セファルに言った。

「セファル。一緒に来て」

「はい」

一礼して、セファルはリラの後についていく。

しばらく歩いたところで、セファルはあることに気がついた。

てっきりリラの部屋に行くのかと思ったら

この先は、中庭だ。

「・・・お嬢様。どこへ行かれるんでしょうか?」

「どこへって、いつものところよ」

ああ。セファルはすぐに頭のなかに

リラの行った場所を思い浮かべ、ため息をついた。

「しかし、これから家庭教師が・・・」

「いいのよそんなの。さ、行きましょ」

リラは笑い、また歩き始めた。

セファルはまた叱られる、と思いながら

ただ、リラの後を着いて行くだけだった。



しばらく歩いて、着いたところ。

そこは、中庭の抜け道を通って

森の中を歩くと着く場所だった。

「いつ見ても綺麗ね」

リラはその光景を見て、うっとりとする。

そこは、森の開けた場所にある花畑だった。

たくさんの花が咲いていて、季節によって

様々な表情を見せていた。

「ほら、セファル!蝶がいるわ」

リラは笑って、蝶のもとに駆け寄る。

セファルは木陰に座り、その様子を見る。

蝶はリラが近寄ると、ひらひらと空中を彷徨う。

そして、リラの肩に止まった。

それを見て、リラはセファルを見て微笑む。

セファルもまた、リラにつられて微笑んだ。

しかし、すぐに蝶はどこかに行ってしまう。

リラは蝶が飛んでいった方向を見ながら

残念そうな顔をした。

それを見て、セファルはまた

微笑んでしまった。



こうしてみると、お嬢様は蝶のようだ。

セファルは一人、そんなことを考えていた。

美しく、可憐で、人を引き付ける魅力を持っている。

そのくせ、寄ってきたものには

ふらふらと近づかない。

自分が気に入った者だけ、自分から近づく。

振り回されたり、甘えられたり。

ころころと表情を変えるお嬢様は

本当に、可憐で愛しい。

いつまでも、この時間が続いたらいいのに。

セファルは一人微笑んだ。

顔を上げ、リラのほうを見る。

すると、笑顔で手招きをしていた。

セファルは微笑み立ち上がり

リラの元へと歩いていった。



この時間が、いつまでも続きますように。

リラと二人で笑いあう中

セファルは心の中で、そう願った。



とにかくほのぼのとした、お嬢様に恋する

執事物が書きたかった(藁

「無能な〜」の息抜きに書いたものですが・・・

結構時間がかかってしまった;

読んでくれてありがとうございました!!

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