淀殿の疑問
「………。」
目の前の美青年に私は迫られております。
あれ?
こんな人にこんな事される心当たりは一切無い。
第一、面識無い人だ。
俯いて何も話さないでいると子供が母親に縋りつくように抱き締められた。
いや、アンタ誰よ。
いや、知ってるけどね。
伯爵様って知ってるよ。
でも、伯爵様にこんな事される心当たりはない。
一切。
肩辺りに顔を埋めた伯爵様。
恥ずかしいだろ。離れろ。
そんな、気持ちも次の瞬間弾け飛んだ。
「淀殿…いや、茶々。」
誰も知らないはずだ。
その名前を伯爵様は呟いた。
そう。
私は元元・現代人だ。
何が起こったのか淀殿に生まれ変わった。
あの浅井姉妹の長女の。
いやー、あの時は焦った。転成前の顔をベースに美人に生まれ変わったのは嬉しかったが勿論、歴史は知ってる。
だが、幸運なのかパラレルワールドで歴史を変えた。秀吉の側室にはなったが、一切手を出さないようにした。
おかけで、2回の人生では処女だ。
しかし、歴史は歪み私が35の時に徳川との戦が始まった。
息子を連れて戦ったが負けた。
息子?勿論、養子だよ。
側室になる前の日にこっそりお忍びで城下町を見てたら女が倒れていた。
遊女だったが子供を守り産むため命からがら逃げてきたと言う。
かわいそうだし跡継ぎ問題とかもあったし、引き取った。
10ヶ月後、子供が生まれ養子にし母親は身分詐欺で乳母やにした。
しかし、母親は流行り病で亡くなった。
それからは、私が子供を育てた。
結果的に戦に巻き込み共に自害させてしまった可哀想な事をした。
まさか、と思いつつ尋ねた。
「秀頼か?」
伯爵様は顔をガバッと挙げて潤潤とした顔で私の顔を覗き込んだ。
「茶々!茶々!
会いたかった!!」
あぁ、秀頼だ。
いくら、母上と呼べと言っても二人きりの時は名前を呼ぶ。
おかけで嫉妬した秀吉に何回も押し倒された。
返り討ちにしたが。
控えていた臣下もだ。
助けないからだ。
ロリは絶滅しろ。
「何を考えてるの?」
ゴールデンリトリバーを彷彿させる容姿はオウジサマだ。
しかし、秀頼の雰囲気もある。
秀頼も美人だった。母親が有名な美女遊女だったからだろう。
今は、更にキラキラが追加した感じだ。面影がある。なぜ、最初見たとき分からなかったんだろう。
多分、街中で突然全速力で追いかけられ路地裏まで追い詰められたからだろう。考える余裕が無かった。
今更だが、この世界はヨーロッパ風の異世界だ。
そして、私も面影はあるだろうけど西洋人風だ。
なぜ、私だと分かった。
なぜ、転成場所が一緒だ。そして、そこにいる使用人達よ。
なぜ、秀頼を見て顔を赤くしてドン引きだ。どっちかにしろ。
っていうか、伯爵様が市民を家に平気であげていいのか?
あと、どんどん何げに近づいてくる秀頼を止めろ。
それから、今までの2回の人生分の恥ずかしい青春を迎えようとするのを私は知らない。
ティー:元元・現代人。元・戦国姫様もとい淀殿。三度目の人生はヨーロッパ風異世界でド庶民をやっている。元元・現代人の思考のまま転成しているので姫様より庶民の方が気楽だ、と喜んでた時に秀頼の転成人と出会う。
シュライ:転成前は秀頼だった人物。義母である茶々は初めはただ無邪気に懐いてたがその内これは恋だ、と気が付いた。リアル源氏である。
慕ってますアピールは子供が母親に構って欲しいのかと勘違いされてきた。
最期に自害させてとても悔やんで悔やんでヤンデレへ無自覚に進行中。
ティーは18歳。シュライは23歳。
転成前は35歳と18歳。
お互い、年頃なので婚約者はいる。ただし、ティーは秀吉の影響で男なんて不潔!(秀頼は可愛い息子!!)シュライは興味ない。っていうか、じつはシュライは氷雪の貴公子という本人は知らない通り名がある。茶々以外どうでもいい…。
連載にするか迷い中。