ふぁんファンfan
次のお友達はファンの子です。
「ほらー、遊びに行こうよ~、りょーうー。」
「いやだ、お前の友達まともじゃない。」
ガクガクブルブル
「奈津実は特別なんだよ~。他の子は大丈夫だよ~。」
特別って言うより特殊、特異だろ。
「とりあえず、今から遊びに行く子の話聞いてよ。それから行くか考えてよ。」
「はぁ~、聞くだけだからな…。」
1時間近く説得されて続け疲れてきたよ。
「う~んっと、これから遊びに行こうかと思っている子は私の同級生です。白百合恭子って名前。知り合ったのは部活終わった後、女の子にいっぱい囲まれてる時に助けてもらった子だね。」
「なんで女の子に囲まれるんだよ。何かしたのか。」
「いや、ファンの子達だよ。」
ファンいるのかよ!いや、身長高くてスポーツ出来てかっこいいけども。
「ファンの子達に揉みくちゃにされてる時、手を引いて助けてくれたんだ。」
「へぇ、いい子だな。」
だが、その子もファンの子達の中にいたのだろう。ってことは、きっとそいつもファンなんだろう。
「そのあと、お話したりしていい子だな~って思って連絡先交換したの。」
「へぇ~。」
「気遣いも出来るし、いい子だし、いい子だし、いい子だし!」
「いい子しかいってないぞ。」
「とりあえず、とってもいい子なの。だから、安心していいよ。」
「う~ん。メールの返信の文を聞かせてくれるか?」
「え?なんで?」
「メールに素が出るんだよ。」
奈津実の時の不安感は的中していたしな。
「わかった。じゃあ、読むよ。」
携帯を開いてメールを読む。携帯は使える。まぁ、これまでに何台も壊したんだがな。
「『いいですよー♪大歓迎です~。弟さんもくるんですか、わかりました。準備して待っておきますね。楽しみに待っておきます。』、以上。」
どうだろう、普通だ。華琳にも普通の友達がいたのか…。しかし、ファンの子だよな。…なんか、怖いな。
「なんか、怖い。」
「えー。おかしい所どこにもなかったじゃん。」
「んー。なんというか、普通なんだよ。」
「普通じゃないよ。いい子だよ!」
この言い知れぬ不安を伝える手段がどこかにないのか!
「だから、行こうよ~。恭子は大丈夫だよ~。行こうよ~。」
「う~ん。わかったよ。行くよ。」
「やったー!」
そこまで俺を連れて行きたいのか…。
「ここだよー。」
高級住宅街に並ぶ家を指す。
「結構いいとこのお嬢さんなんだな。」
「う~ん。そんな感じはしないけど、口調はそうかもしれないね。」
「そっか、しかし…俺はなぜまたこの恰好。」
そう、短パン小僧セットだ。
「ごまかしやすいから?」
「…そっか。」
意地でも小学生に見せたいのか…。
「じゃあ、呼ぶよ。おーい。恭子ー。」
やっぱり、インターホンは使わないのか。
シーン。
「おーい。恭子ー。遊びにきたよー!」
シーーーーン。
「あれ?いないのかな?」
「いや、インターホン使えよ。」
奈津実みたいに玄関で待ってないでしょ。
「ああ、その手があったか。」
思いつかなかったのか。
「ピーンポーン…ダッシュ!」
ピーンポーン。
変な掛け声をつけて華琳がインターホンを押す。
「はい。白百合ですの。ご用件は何でしょうか?」
女の子がインターホンに出る。
「あ、恭子。遊びに来たよ~。」
「あ、お姉様でしたの!今開けますわ。」
しばらくして、
「お姉様ー!」
女の子(恭子)が出てくる。
「お姉様よく来てくれましたの。」
手を広げて華琳を迎える。
「うん。来たよ~。」
それに応えるように華琳がハグをする。
なぜ、ハグをする。
「そちらの方はどなたですか。」
すっごい睨まれてる。
「弟連れて来たんだ。紹介するよ。弟の涼だよ。」
「そうなんですの。」
「こ、こんにちは…。」
なんか、すごい見られてる。
「小学生で…しょうか?」
「うん。6年生だよ。」
「そうなんですの…。」
なんか、ものすごい見られてるんですが。
「ここで話すのもなんですから家へ入ってください。」
「ふぅ…。」
なんか、すごい見られてたよ。ところで…。
「なんで、ハグしてたの?」
普通、ハグはしない。
「ん。あれが普通らしいよ。挨拶する時ハグするんだって。外国式だよね~。」
「ふ~ん。」
帰国子女だったりするのか?長く外国に住んであそこの習慣になれてるって感じなのかな?
それとも、華琳にだけなのか…。
「ほら、そんなとこで突っ立てないで行こ。」
「あ、うん。」
お城みたいな家に入っていく。
余談「奈津実の家から帰って来て」
「りょーうー!」
がしっ!
「なんだよ…。」
「りょーうー!!」
ぎゅっ!
「なんなんだよ…。」
「りょーうー!!!」
ぎちぎちっ!
「あが、が、し、締まってる…!」
「あ、ごめん。」
拘束を解いてあげる。
「どうしたんだよ。こっちはもういろいろくたくたなんだよ…。」
「いやぁ、奈津実に襲われてる時に助けたでしょ。」
「ああ。」
「その時、涼が泣いて『お姉ちゃんお姉ちゃん』って抱きついてきて。」
「ああ。」
「あの時は奈津実の前だったから平静を装ってたけど、すっごい涼が可愛くて。」
「ああ。」
「その時の感情?っていうの、それが蘇って思わず。」
「ああ。」
「涼大丈夫?なんか魂抜けてる感じだけど。」
「ああ。」
「涼は華琳の弟である。」
「ああ。」
「涼は小学生だ。」
「ああ。」
「むぅ。もういいや、私部屋に帰る。」
無反応なんて面白くない。
バタン。
「うわー。俺何やってるんだよー。妹に抱きついて『お姉ちゃんお姉ちゃん』って…。」
うわー。うわー。うわー。うわー。うわー…。
「うわー。」
そりゃ、怖かったさ。何かにすがりたくもなるさ。でも、妹に『お姉ちゃん』はねぇよ。
「はぁ…。」
…忘れよう。
この頃、この小説の方向性がよくわからなくなってきた。
いや、きっとこれは涼君を楽しく華琳ちゃんが可愛がる小説だ。
そんな感じで行こう。