奈津実break涼
タイトルどおりbreakされました。ボッコボコです。(精神的に)
「うぐっ。」
なかなかきついぞツイスターゲーム。
「次は左足を赤に。」
いや~無理だろ~。これ。一気に端から端に移動は無理だ。
「ほらほら、どうしたんだ~い。」
華琳は余裕で左足を赤色に付けている。体が柔らかいことからの余裕か、俺を挑発してくる。
「くっ。」
パシャ!パシャ!
「うふふ。いいわこのアングル。」
身体的にも精神的にもこっちは結構限界が近い。しかし、
「いいぜ、やってやるぜ。」
挑発に乗って最後の力を振り絞り、左足を赤につけようと試みる。
「だああぁぁぁ!!!!」
ピキッ。
「ぎゃああぁぁぁ!!!」
こ、股関節が、ピキッっていった。ピキッて。
「ああ、無理しちゃって。」
「いいわ。痛みに転げまわる涼君いいわ。」
パシャ!パシャ!
痛みに苦しんでいるのに喜びながらシャッターを切るなんて。こいつには慈悲とか血とか涙とか諸々が足りない。
「では華琳さんの勝ちと言うことで。」
「やったー!」
初めから勝てるわけねぇだろ!出来レースじゃねぇか!
不貞腐れていると華琳が耳打ちしてくる。
「気付いてなさそうだから言うけどゲームに熱中し過ぎて口調戻ってるよ。」
「あ、ごめん。」
気付かなかった。危ない、危ない。むきになって素が出てしまった。こんなことでばれてしまったらどんなことになるか…。(主に華琳の怒りによる被害)
「これからは気をつけるよ。」
こちらとしては、これからはない方がいいんだけどな。
「あーあ、お姉ちゃんに負けちゃったよ。」
さっきまでいつも通りの口調で話していたので誤魔化すためにわざと大の字に倒れてオーバーにリアクションする。
「キャー!」
パシャ!パシャ!
こいつは…もう、気にしないでおこう。
「じゃあ、次は奈津実やろうよ!」
華琳が提案する。
「えー。」
露骨に嫌な声を上げる奈津実。
「やるとしても華琳とはいやよ。」
「え、何で?」
「華琳に勝てるわけないじゃない。やるとしたら涼君とね。」
そうそう、華琳と勝負なんてだれもしないよな。でも、華琳の代わり俺かよ。
「しかたないなぁ。じゃあ、私は奈津実の代わりに撮影するね。」
えっ!?なんか勝手にもう一回やることになってる!?俺にはまだ痛みが…。
「ああ、それはだめ。華琳機械だめじゃん。使い方わからなかったら切れて壊すじゃん。」
そう、華琳に複雑なものを渡してはならない。機械なら切れて壊す。パズルは無理やりはめて変な絵が出来る。知恵の輪は引きちぎって解けたことにする。これによってどれだけの謎が葬られたことか…。
「だから、華琳はおとなしく見学。おけー?」
「…はーい。」
少し恨めしそうに奈津実を見る華琳。
「じゃあ、やろうか涼君。」
俺の話を聞いてもらえる気がしない。
「はーい…。」
そういえば、いつから呼び名が「弟君」から「涼君」になったのだろうか。友達の呼び方とか知らない間に変わるよね。
頭の中の話は変えられても現実の話は変わらない。
「では、初めのルーレットを回します。…初めは黄色に左足です。」
「よし、初めは簡単だ…ね。」
ちょっと、元の口調になりかける。左足を黄色につける。するとすぐ目の前に誰かの左足が置かれる。
「ん?」
前を見ると奈津実がはぁはぁしながら目の前に立っていた。
「ひぃ!」
「ど、どうしたんだい?涼君、はぁはぁ。」
「な、なんでこんなに近い位置にいるんですか!?」
突然のことで敬語になってしまう。
「しょうがないじゃない。涼君に直接触れるにはこの位置しか…おっと、間違った。」
怖いよー。どこ触れるかわかったもんじゃない。
「さっきのは間違え、うーんっと…そう!勝負を早く決めるには相手の邪魔した方が早く終わるじゃない。相手が動きにくい場所の取り方をしていけば相手はすぐに負けるはずよ。」
たった今考えたにしてはよく出来ている。でも、こういうやり方はいいのか?ルールよくわからないからな。まぁ、とりあえず…
「すごい!奈津実お姉ちゃん頭いいね!」
と言っておこう。
「かわいい!」
そう言って抱きついてくるが、避ける。
「ちぇー。」
残念そうな顔をしているが断じて触れさせない。一つ許し始めたら何をするか…。
「次、行きます。…次は、緑に右手です。」
「はい!」
奈津実がすかさず俺のいちばん近い緑に右手をつける。元から端の方に立っていたので奈津実と交差するしか緑を取る方法がない。
「さあ!さあ!!緑に!右手を!つけるんだ!!!」
奈津実さん。目が怖いです。
「くっ。」
出来るだけ奈津実に触れないように緑に右手をつける。
「そんな風に無理してる涼君も可愛いわ~。」
そんなことを言ったあと舌舐めずりをする。怖いよー。
「次は左手を黄色に。」
「はい!」
またしても奈津実が素早く俺の近くの黄色を取る。
「また…。」
「ごめんね。これも触れ…勝つためなの。わかって。」
絶対、わかってやるものか!しかし、次は体ごと交差しないといけない。
「う~~ん。届かないよ~。これは僕のま―――」
「まだよ!頑張れば届くわ!」
負けを宣言しようとするが、必死に説得される。
「でも、そうなると、奈津実お姉ちゃんの上に乗っちゃうことに…。」
「かまわないわ!むしろ乗って!」
「…う、うん。」
一瞬引いてしまった。そこまで、触れたいのか。
「じゃあ、奈津実お姉ちゃん乗るよ―――」
「あ、無理。」
少し力を入れたところで奈津実がバランスを崩す。
「え!?うわー!」
まさか!これは罠だったのか!体勢的には押し倒す形になってしまった。
「結構、だ・い・た・ん、なのね涼君。このままお姉さんと二人きりになれる場所に行っちゃう?」
手がふにふにしたものに触れている。…胸だー!
「あ、ご、ごめんなさい。気付かなくて、あと、お、お断りします!」
飛びのいて離れる。気が動転して言葉に詰まってしまっていた。
「いいのよ!涼君になら何されても気にしないんだから!」
今度は気が動転しているのに便乗して、抱きつかれ押し倒されてしまう。
「いや、いいよ。いいから、離れて。え、どこ触ってるの!?え、やめて!お姉ちゃん助けて!」
必死にもがいてみるががっちりと捕まってしまった。助けて華琳!ヘルプミー!
「満更でもないって顔しているよ?」
ノー!!違うから!そんなことないから!服の下から手とか入ってきて肌さわりまくられてるし!
「早く助けて!本当に襲われてる!いやー!」
「りょ、涼君の肌…はぁ、はぁ、すべすべだ~…いいわ~。」
「全く、仕方ないな~。ほらほら、可愛いのはわかるけどいい加減にしてよね~。」
俺から奈津実を引きはがす。
「た、助かった…。」
「ちぇ、これだけじゃ満足できないわ。」
「一応、私の弟だし私の前くらいでは我慢してよね。」
まさか、どさくさにまぎれて服の中に手を入れてくるなんて…。
「結局、初めに倒れたの私だから私の負けね。まぁ、それ以上の収穫はあったからいっか。」
「うぅ…。」
触られた~。あれはもう変態だよ~。変態女に触られた~。
横に華琳が寄ってくる。
「まぁ、あれだよ。天災だと思って諦めなよ。」
理不尽だよ~。
「うん。わかったよ。天災じゃしかたないよね。」
奈津実のことは天災であるとして諦めよう。
実はさっきからトイレに行きたかったんだよね。切りがいいからここらで一旦抜けようかな。
「僕、トイレ行ってくるね。」
「行ってらっしゃーい。」
華琳が答える。
「私もついて行こうか?トイレの場所わからないだろうし。」
自然な感じでついて行こうと奈津実が聞いてくる。
「いいです。トイレの場所だけ教えてくれれば。」
しっかり断る。トイレの場所だけ教えてくれればいい。
「そこまで警戒しなくてもいいのに…。」
あんたはそこまで警戒されるほどのことをしたんだよ!
「ここ出て左行って突き当りを左に行って突き当たった場所がトイレだよ。」
「ありがとう。」
そう言って奈津実の部屋を出てトイレへ向かう。
トイレで用を済ませていると、ガチャガチャ。誰かがドアのぶをいじっているようだ。
「入ってますよー。」
「えっ!?涼君まだ入ってるの?早く出てよー。」
奈津実さんのようです。
「待ってください。もう終わりますから。」
「はやくして~。」
いかにももう漏れる~って感じの声が聞こえてくる。
ガチャリ。
「もう、いいですよー。」
そう言いながら出ようとするが、
「うわっ!」
トイレに押し戻される。
「へっへへ~、もう出られないよ~。」
カチャ。
鍵が閉められる音がする。トイレに閉じ込められた!奈津実と!
「何言ってるんだよ!出してよ!お姉―――うむ!」
いきなりキスされる。
「んー!!!」
ギャーシ、シタガー!!!!
奈津実との間に手を入れて突き放す。
「い、いきなり何するんだよ!」
「お姉ちゃん呼ばれると困っちゃうんだよね~。」
奈津実は臆することなくズンズン近づいてくる。
「う、こ、こないで。」
「いいじゃない。痛くはしないわよ、それに…もう、我慢できないわ!」
奈津実が襲ってくる。
「ま、待って落ち着いて!奈津実お姉ちゃん落ち着いて!」
「無理よ!」
追い詰められ、奈津実の魔の手が伸びてくる。
「た、助け、助けて!お、お姉ちゃん!」
手が、手が服の中に!っていうか、服脱がされる!
「へっへへ、観念しなさい!」
「うわー!やめ、やめて!服脱がさないで!助けて!お姉ちゃ、華琳お姉ちゃん!」
待って、下は脱がせようとしないで!下はだめー!
「下はだめ!だめだから!だめって言ってるよ!」
「よいではないか~!」
どっかの悪代官のような台詞を吐く奈津実。いや、もう悪魔です。
「誰か助けてよ…、お姉ちゃん…。」
恐怖とか不安で泣きそうになる。
ガチャガチャ!バンッ!
「涼をいじめるのは誰だ~!」
「ふぎゅっ!」
華琳が現れ奈津実に一発チョップを入れて引きはがしてくれる。
「お、お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
あまりの恐怖に幼児退行してしまい、華琳に泣きつく。
「ひっく…怖かったよー…お姉…ちゃん。本当に…ひっく…怖かったよー。」
「おーよしよし、怖かったねー。」
本当のお姉さんのように慰める華琳。
「ほら、奈津実、謝って。」
「う、ご、ごめんなさい。もう、しません。」
「ほら、奈津実お姉ちゃんも謝ってるから泣かないで。」
「うん…。」
ようやく少し落ち着いて華琳から離れる。
「いや、ほんとにごめんね。泣かせるまでやるつもりはなかったんだけど…。」
バツが悪そうに眼をそらして言う奈津実。
「本気で襲ったでしょ。そりゃ怖くて泣くよ。」
「ほんとにごめん!」
こっちに向かって手をパンッ!と合わせて謝る。
「もういいよ。奈津実お姉ちゃん一杯謝ってるから。」
なんか、もう、いいよ。天災だもん。諦めるよ。
「ほんとに?じゃあ…仲直りしましょ。」
そう言って奈津実が手を出す。
「うん。仲直り!」
そう言って手を握ろうとするが、
「あれ…?」
手が震えて、それに変な汗一杯出てきた。本能が握手することを拒否している。
「うーん。完全に恐怖対象になってるね奈津実。」
華琳がそう言う。
「えー!そこまで!仲直りするって言ってるのに?」
「きっと、本能に焼きついたんだよ。『こいつにゃ触れちゃいけねぇ…。』って」
「…ごめんなさい。」
「いやいや、涼は謝らなくてもいいと思うよ。仕方ないよ。」
「まさか、ここまで嫌われるなんて…少しへこむわ。」
そう言って、奈津実はどこかに行ってしまった。
「じゃあ、もどろっか涼。」
「奈津実お姉ちゃんほっておいていいの?」
「大丈夫だよ。あれくらいでめげないから。」
逆にあれだけ嫌われてもめげないのか…。
部屋に戻ると奈津実が飲み物やお菓子を準備していた。
「とりあえず、出来ることはこれぐらいね。がんばって壁を取り除かないと!」
「さあ!飲み物とお菓子準備したから食べて!」
奈津実がこっちを向いて言う。
反射的に華琳の後ろに隠れてしまう。
「姉さん何したんですか…。」
「ちょっと…ね。色々あったのよ…。」
色々ありました。はい。
「涼。奈津実はもう何もしないから大丈夫だよ。ほら、一緒にお菓子食べよ。」
「うん…。」
その後、お菓子を食べたりしながら両名の壁を薄くすることに成功しました。
そう、私はこれが書きたかっただけなんだ。
完全に弟状態になって華琳に泣きつく涼が書きたかったんだ。
とりあえず、満足。大体の目標は達成した感じだ。
しかし、お話はまだまだ続きます。