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姉弟演技  作者: 瀬名孝太
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夏休み前夜

今回は夏休み入る前日のお話。これからの夏休みどのように過ごすか作戦会議するはずだったんですが…。

 さて、明日から夏休みだ。なんだが…勉強から解放され自由に夏休みを謳歌(おうか)しようとしている矢先にこれだ。俺は明日から妹の弟になるらしい。意味がわからない。兄なのに弟って…馬鹿にしてるだろ。いくら身長が低いからって…。まぁ、身長の話はいい。

それより、明日から夏休みだ。なのに、話の一つもないのかあのイノシシは!どうやって夏休みの間弟で過ごすんだよ。周りからどう見ても俺の方が年上に見えるだろうが!

 ということで、今はあの馬で鹿でイノシシな妹の部屋の前にいる。

華琳(かりん)の部屋と俺の部屋の間には歴代のドアたちが並ぶ。おお、お前は初代じゃないか!ドアノブが完全に破壊されて…。ああ、お前は二代目。可哀想にど真ん中に穴を空けられてしまって…。お前は…三代目か…。もう、形が…。3枚の板(元ドア)に手を合わせて供養する。

「お前らの仇もいつか―――」

「誰かいるのかー!」

 思いっきりドアが開く。当然、俺に当たる。俺は吹っ飛ぶ。

「誰だー!って(りょう)か。」

「い、痛い…。(ガクッ)」

 久しぶりだぜ。意識が飛ぶほど吹っ飛ぶのは、あれは何時だったかな…たしか、三代目の時―――


「そんなところで寝てると風邪引くぞ~。お~い?」

 ん?おかしいな?

「お~い?」

 頬をペチペチと叩いてみる。

「う~ん。返事がないな~。寝ているのか?仕方ないな~、運ぶか。」

 ひょい。

「いつも軽いな~涼は。簡単に持ち運びできるよ。」

 涼の部屋近いし、私の部屋に入れるのもなんだし、涼の部屋行くか。

たったった。

ガチャガチャ。

「およ?鍵掛かってるのか…よし、ここは一発―――」

「や…やめ…て…。」

「………。」

 ベツニカワイイナンテオモッテナインダヨ。ホントダヨ。

仕方ないな~。私の部屋に戻るか。

「ん~。ここに置いておくか。」

 ベッドの上に涼を置いておく。

「にしても軽いよね~。携帯のストラップにできるぐらい軽い。」

 今度試しにぶら下げてみようかな~。

「う~~~~~ん。」

 大きく腕を上げ伸びをする。

「明日から夏休みか~。」

 ベッドで寝る涼を見る。身長約160cm。正確には159,3cm。高校生にしては小さい。だからと言って小学生としてはちとでかい。押し通せるかな~。

涼のほっぺをつねる。

「うう……ん。」

 ふ、ふっふ。頬が緩んでしまう~。いつもあんなにカリカリしてるのに寝てる時はこれだもん。これがあれか?世に言うギャップ萌えなのか?可愛いな~。

一頻り(ひとしきり)涼のほっぺで遊んだあと、また考え事をする。

 う~ん。あれだ。(あゆみ)にも紹介しに行こう。それと、恭子(きょうこ)知恵(ともえ)あとは、奈津実(なつみ)だ。今からメール送っておこうかな~。

 夏休みに涼と遊びに行く約束を取り付ける。もちろん、涼は弟としてだ。4人には涼のこと話したことないしね~。

「みんなのところに弟と遊びに行くね~♪っと、送信!」

 夏休み楽しみだな~。


 そう!あの時!三代目ドアが俺に向かって飛んできたのだ!俺の世界の時間は止まりスローモーションで少しずつ流れた。ドアの破片が俺の顔を掠め(かすめ)ていった。そして、一番大きな破片を避けた後…やつのハイキックが唸りを上げて俺の左側頭部に…

「うわああああ!!!!………あ?」

ここはどこだ。俺の部屋じゃない。部屋はピンク色のカーテンやら壁紙で統一されている。横を見ると華琳が寝ている。ってことは…。

「ここは華琳の部屋か。」

部屋にはでっかい鏡があり、壁には学校の制服がかかっている。通っている高校が違うので華琳の制服を見るのは新鮮な感じがする。毎日朝に見てるんだけどね。

おそらく下着や洋服などが入っているであろうタンスはやはりピンクである。タンスの上には大小さまざまなキャラクターの人形が置かれている。

机の上は驚くことに何もない。いや、むしろ当然か。こいつ勉強しないもんな。だが、なぜ勉強で俺を負かせるほどになったんだろうか?謎だ。

代わりといっては何だが、机の隣にはハンドボールが置いてある。こいつハンドボールめっちゃ強いんだよね。全国大会に出場する程だ。家は道場やってて俺達兄妹は小さい頃から武術の鍛練してたんだよな~。華琳は俺より断然強いんだよね。運動能力は他の人よりあるし、身長は高いし…ふぅ、たまに自分が情けなくなるよ。って、

「今更だが、なぜ俺はここで寝てるんだ?」

 う~んと?確か華琳に何か言いに来て…それから…記憶がない。

俺がなぜここで寝ているのか悩んでいると、

「うにゃー、ふぁあ。あれ?涼起きたの?」

「ああ。」

「そっか、よかったよかった。」

「少し聞いていいか?」

「うん?いいよ~なに~?」

「なぜ、俺はここで寝ているんだ?」

「う~んとなんか知らないけど、廊下で寝てて、風邪引きそうだった起こそうとしたんだけど、起きなくて、だから涼の部屋に運ぼうと思ったら、鍵が掛ってて、仕方がないからここで寝かせてた。」

「そっか、わざわざありがとうな。」

「いやいや、大したことはしてないですよ~。」

「しかし、どうして俺は廊下なんかで寝ていたんだろうな…。」

「きっと、部屋が暑くて廊下の冷たさを堪能してたら自然と寝ちゃったんだよ。」

「いや、それはないだろ。」

「わからないよ~。人間頭が熱くなったら何仕出かすか分かったもんじゃないよ~。」

「それはお前のことだろう!三代目ドアの悲劇を忘れたのか!」

「あれは涼が悪いんだよ。」

「たかがプリン1個であそこまですることないだろ!」

「食べ物の恨みは恐ろしいのだ~。」

 手をわしゃわしゃさせる華琳。

「まぁ、とりあえずありがとな。俺は部屋に戻るわ。」

 俺はベッドから降りる。

「あ~、待って待って~。」

「ん?」

「明日友達の家に遊びに行くから。」

「ああ、そっか。いってらっしゃい。」

「涼も一緒だよ。」

「………。」

「もちろん、明日は夏休み。さっそく罰ゲーム開始だね♪」

「………マジかよ。」

本当は余談として「三代目ドアの悲劇」を載せようと思っていたのですが、思った以上に話が長くなってしまい…結果的には本文より長くなってしまいました~。

そのため、ちょっとした寄り道として本筋と関係ないですが余談を次話として載せることにしました。余談なので、本筋と同じ日に載せていこうかと思います。

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