Oh!買い物!
涼君の洋服選びです。
華琳だよ!
恭子のお家はすごかったね~。恭子ってホントにお嬢様だったんだね!
私の部屋がとっても小さく感じるよ。
恭子のあの口調はわざとかな?と思っていたけどお嬢様なら納得だよ。うん。
でも、同級生なのに「お姉様」って呼ばれるの変だよね?
絶対変だよ。むしろ、誕生日で考えたら恭子がお姉さんだよ。
でもまぁ、恭子は私より小さいし妹でもいいけどね。
でも、私より大きな女の子ってほとんど見ないんだよね…。
話を変えるよ!
今はデパートにいるよ~。洋服を選んでいます。
私の洋服ではない…そう!涼の服だ!
そろそろ、短パン小僧セットに飽きてきたので新しい服を買おうとね。
涼には内緒だよ。居たら私の選んだ服全部却下されちゃうからね。
「どうしようか…。」
「そうだね…これはどう?」
横を見ると奈津美がいた。服を差し出している。
「あれ?奈津美?」
「やっほー。」
「なぜここにいるの?」
「たまたまデパートに趣味の物を買いに来たんだよ。そしたら、華琳が歩いてるの見たからどこ行くのかな~って付いてきたら、真剣に男の子物の服選んでたらから声かけてみたの。」
「そうなんだ~。」
「今涼君の服を選んでるの?」
「そうだよ~。あの服飽きてきたからね。」
「あの服って私の家に来た時着けてたTシャツ短パン?」
「うん。そうだよ。でも、飽きたから次の服買おうかと。」
「今まで着たやつでいいのとかなかったの?」
「う~ん…それわね~…。」
言葉を濁しておかなきゃいけないよ~。涼の服って今時な奴ばっかで小学生に見えないんだよね。だから、新しい服を買うなんて言えない。言ったら私がお姉ちゃんじゃないってバレちゃうよ。
「う~ん。涼君の服か…じゃあ、これなんてどう?」
奈津美が選んだ服を受け取る。
「…かわいい。」
「でしょ!これ絶対似合うよ!」
「う~ん…。」
「だめかな…?」
「色は赤がいいなと思ってるんだけど…どう思う?」
「赤ねぇ…緑の方がいいんじゃない?」
「緑か~」
因みに今まで来ていた服は青色の服にわけがわからない英語がプリントされていた服で、下は灰色の短パンだったよ。
「私としては緑色が好きだから緑をお勧めする。」
「私は赤がいいよ~。」
「じゃあ、これがいいんじゃないですの?」
振り向くと恭子がいた。
「あれ?恭子?」
「先日はどうもですの、お姉様。」
「相変わらずだね、恭子。」
「夏休みに奈津美に会うのは初めてですの、お元気ですの?」
「本当に相変わらず馬鹿丁寧だよね~。」
「これが私ですの、それに丁寧なのはいいことですのよ?」
「恭子はどうしたの~?」
「私は…洋服を買いにきましたの。」
「…へぇ~、お嬢様がデパートに洋服を買いにねぇ…。」
「な、なんですの!その疑いの目は!」
「いや~、てっきり華琳をつけてきたのかと。」
「そ、そんな事ないですの!変な勘繰りはやめてほしいですの!」
「恭子ならやりかねないからね~…華琳も気をつけないよ?」
「うん。分かってるよ~。たまに気配を感じるから大丈夫だよ。」
帰り道に一人なはずなのに後ろに数人の気配を感じるんだよね。きっと、私のファンの子達だろうね。でも、後ろを振り返ったらみんな隠れちゃんだよね。普通に話しかけてくれたらいいのに…。
「ッチ!まだ、お姉様を狙う下賤な輩がいるのか…!」
「本音出てるよ、恭子。」
「あんまりカリカリしないよ恭子~。」
「ご、ごめんなさいですの…。」
恭子がシュンとしちゃった。かわいい!
「それよりも、恭子が選んだ服…。」
奈津美が痛々しそうにつぶやく。
赤と緑で縦半分に分かれたTシャツ…。そりゃ、赤と緑のどっちかが決められないのならどっちも選べばいいけど…これはないな~。
「赤と緑どっちも入ってますの!」
「来てる服は綺麗でセンスもいいのになんで…。」
「半分に分かれてるのは流石に涼でも着るの断られると思うな~。」
「二人共…ひどいですの…。」
更にシュンとしちゃった。かわいい!
「しかも、女物の服じゃない。」
「え?お姉様の服を選んでいたんじゃないですの?」
「私のじゃないよ~涼のだよ~。」
「これを華琳に着せようとしてたのか…まぁ、華琳ならおかしくないかも。」
「え~、そんなの着ないよ~。」
「………ぐすん。」
な、泣かせちゃったよ!…どうにかしなければ…!
「よ、よく見たらいい服じゃないか!私ちょっと試着してくるよ!」
私は恭子から服を奪い取って試着室に入る。
すぐ服に着替えて鏡を見る。
「…。」
うん。微妙だ…。
「お姉様…どうですの?」
「え!?あ、ああ!いい感じだよ!…布の感じは。」
「そうですの!うれしいですの!」
「華琳~出てきてお披露目してよ~。」
奈津美!余計なこと言っちゃだめ!
「えっ、それはちょっと…恥ずかしいかな…?」
「私もみたいですの!お姉様出てきてくださいですの!」
「そうだよ~華琳~出てきなよ~。」
奈津美は分かってやってるの!?出たら絶対ひどい事に…。
「い、いや…着こなせてないから…。」
「華琳~諦めて出てきな~。」
「…やっぱり、私の選んだ服なんて…。」
「で、出るよ!出るからそんなに自分を責めないで!」
う~。絶対奈津美に笑われるよ~。
「早く出でこーい。」
「…やっぱり…私なんか…そうですの、樹海に行きたいですの…。」
一刻を争う事態になってる…恭子のために出なければ…恥ずかしいなんて言ってられない!
バッ!
勢いよく試着室のドアを開ける。
「ど、どうかな?」
「く、っぷ、ふふ、た、耐えろ私!」
奈津美は笑いを抑えている。後で覚えてろ~。
「いいですの!やっぱり私の目に狂いはなかったですの!」
「っぷ、ふふ、あははは!駄目!やっぱり耐えられない!はははは!待ってその服はないよ!あははは!なのに、恭子、褒め、ふふ、あはははは!」
「えっ…そうなんですの…お姉様?」
「だ、大丈夫だよ!奈津美がちょっとおかしいだけだよ!」
「お、おか、おかしいのは!はははは!華琳だよ!あはは!お、おかしい!」
「奈津美は頭がおかしくなってしまったですの…このTシャツが似合うのはお姉様だけですの!」
「あははは!ま、待って、わ、笑い死ぬっ!や、やめて、もう、やめて!あははは!」
「と、とりあえず、これ以上は恥ずかしいから着替えてくるね!」
これ以上は恥ずかしくて恥ずかしい!もう、笑われるのは嫌だよ~。
「ふぅ…、疲れた。」
着替えて出てくる。
「はぁ…。」
奈津美が笑いすぎて放心してる…。
「お姉様、さっきの服は買いますの?」
「う~ん…今回は涼の服を買う分のお金しかないしな~。」
「なら、私から送らせてもらいますの!」
えっ…!?
「い、いや!悪いよ!結構高いだろうし…。」
赤緑Tシャツの値段を見る。980円…。
「遠慮する必要なないですの!これくらい貢ぐのなんて屁でもありませんの!」
「恭子…貢ぐって…。」
放心状態の奈津美が反応する。
「でも、やっぱり買ってもらうのは悪いよ…。」
「いいんですの!私が買いたくて買って、お姉様に送りたくて送るだけですの!」
「う~ん。そこまで言われて断るのは悪いよね…。うん。買ってくれるなら嬉しいよ!」
「それより…涼君の服選びましょ…。」
放心状態の奈津美がふらふらと歩いていく。
「そ、そだね。じゃあ、いこっか。」
「はいですの!」
結果的に涼の服はオレンジのTシャツに紺色の短パンになりましたとさ。
今回はガールズトーク的な感じでお送りいたします。
一応、同学年で共通の華琳という友達を持つ奈津美と恭子は友達です。
でも、最近知り合ったばかりなので、まだちょっと他人行儀なとこはあります。だが、他人行儀であそこまで笑えるだろうか…。
そういう壁が崩れるのも時間の問題でしょう。