第六話 窓辺の午後
第六話 窓辺の午後
美咲が仕事へ向かったあと、
部屋は静かになった。
あきおは、自然と窓辺へ歩いていった。
窓際のカーテンの隙間から、
柔らかい光が差し込む。
あきおはそこに座り、
外の景色をじっと見つめた。
遠くの街路樹。
通りを歩く人々。
子どもの笑い声。
(……俺、あの中にいたんだよな)
窓ガラスに映るのは、
猫の姿。
(これが……今の俺か)
胸の奥が少し痛んだ。
---
◆ 夕暮れ、美咲が帰る途中で
夕方。
美咲はマンションへ向かう道を歩いていた。
ふと、
自分の部屋の窓に目を向ける。
そこに──
小さな影が座っていた。
「……あれ、あき?」
窓辺に、
じっと外を見つめる猫の姿。
美咲は思わず微笑んだ。
「……待っててくれてるのかな」
胸が少し温かくなる。
---
◆ 帰宅
玄関の鍵を開けると、
あきおが駆け寄ってきた。
「ただいま、あき」
美咲は抱き上げながら言った。
「今日……窓のところにいたよね。
帰り道から見えたよ」
あきおは驚いた。
(見られてたのか……)
美咲は優しく笑った。
「なんだか……
“帰りを待っててくれた”みたいで、嬉しかった」
あきおは胸が熱くなった。
(待ってたよ……ずっと)
言葉にはできないけれど、
その気持ちは確かにあった。
---
◆ 夜、美咲の膝の上で
美咲はソファに座り、
あきおを膝に乗せた。
「外を見るの、好きなんだね」
あきおは喉を鳴らしながら、
そっと美咲に身体を預けた。
(好きなんじゃない。
美咲を待ってただけだよ)
でも、それは言えない。
美咲はその音に気づき、
微笑んだ。
「……あきがいてくれると、
本当に救われるよ」
あきおは、
その言葉に静かに目を閉じた。
。




