表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂は、猫のかたちをして  作者: velvetcondor guild


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/23

第四話 猫と朝を迎える

 第四話 猫と朝を迎える


朝の光がカーテン越しに差し込む。

美咲はゆっくり目を開けた。


隣には──

丸くなって眠る猫のあきお。


小さな寝息。

規則正しい胸の上下。

その姿を見て、美咲はふっと微笑んだ。


「……おはよう」


あきおは目を開け、

美咲の顔を見上げた。


「……にゃ」


その一声だけで、

美咲の表情が少し柔らかくなる。


人間のあきおだった頃より、

ずっと近くにいられる。


それが嬉しいのか、切ないのか、

あきお自身にもわからなかった。


---


◆ 朝ごはんの時間


美咲はキッチンに立ち、

冷蔵庫を開けて言った。


「猫って……何食べるんだろ」


あきおは心の中でツッコんだ。


(いや、俺も知らないよ……)


美咲はスマホで検索しながら、

表に出た、暫くしてコンビニの袋を下げて帰って来た。

買ってきた猫用パウチを皿に出した。

小さなボウルに水ををいれた。


「はい、どうぞ」


あきおは恐る恐る匂いを嗅いだ。


(……意外とうまいな)


美咲はその様子を見て、

少しだけ笑った。


「食べてくれてよかった……」


その声には、

昨夜よりも少しだけ明るさがあった。


美咲は、買ってきた、サンドイッチとアイスティー、お決まりの彼女のメニュー。


---


◆ 写真立ての前で


朝食を終えた美咲は、

また写真立ての前に座った。


「……あきお。

今日も会いたいよ」


あきおはそっと近づき、

美咲の膝に前足を置いた。


「にゃ……」


美咲はその頭を撫でながら、

ぽつりと言った。


「あなた……本当に不思議な子だね。

なんだか……あきおに似てる」


あきおの心臓が跳ねた。


(気づくな……でも、気づいてほしい……

どっちなんだよ、俺……)


美咲は続けた。


「……今日、仕事休むね。

一人でいたくないから」


あきおは、美咲の足元に寄り添った。


一人にしない。

絶対に。


---


◆ 午後の陽だまり


美咲はソファで本を読み、

あきおはその横で丸くなっていた。


静かな時間。

人間だった頃には、

こんな穏やかな午後を過ごしたことはなかった。


美咲がふと本を閉じて言った。


「ねぇ……あなた、名前つけてもいい?」


あきおは固まった。


(いや、俺、名前あるんだけど……!)


美咲は少し考えて、

優しく微笑んだ。


「……“あき”ってどうかな。

あきおの“あき”。

あなたを見てると……

どうしても思い出しちゃうから」


あきおは胸が熱くなった。


「……にゃ」


それは、

肯定でも否定でもなく、

ただの鳴き声。


でも美咲は嬉しそうに笑った。


「じゃあ、今日から“あき”ね」


あきおは、

猫として新しい名前をもらった。


---


◆ 夜、眠る前に


美咲は布団に入り、

あきお──いや、“あき”はその横に寄り添った。


美咲は小さくつぶやいた。


「……あきお。

あなたがいなくても……

この子がいてくれるから……

なんとか、生きていけるよ」


あきおは、美咲の手に頭を押しつけた。


守る。

この身体でもいい。

美咲が笑えるなら、それでいい。


そう思いながら、

ゆっくりと目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ