後書き
後書き
この物語を書き終えた今、
胸の奥に残っているのは、
静かな痛みと、温かい余韻です。
人は、
誰かを失ったとき、
その喪失を“終わり”だと思いがちです。
けれど私は、
その先にある“形を変えた愛”を描きたかった。
姿が変わっても、
記憶が薄れても、
言葉が失われても、
それでもなお残るもの。
それは、
人が人を想うときに生まれる、
どうしようもなく優しい衝動です。
あきおと美咲の物語は、
大きな奇跡も、
派手な運命もありません。
ただ、
日常の中で静かに寄り添い、
静かに傷つき、
静かに選び、
静かに愛し続ける。
その“静けさ”こそが、
この物語のすべてでした。
三つのエンディングは、
どれも正解で、
どれも間違いではありません。
愛の形はひとつではなく、
人の数だけ存在するからです。
そして──
もしあなたが、
この物語を読みながら
胸の奥が少しだけ温かくなったり、
誰かの顔を思い出したりしたのなら。
それはきっと、
あなたのそばにも、
あきおのような“魂の気配”を持つ猫が
ひっそり寄り添っているからかもしれません。
あなたが気づかないだけで、
あなたを見守り、
あなたの涙を知り、
あなたの笑顔を願っている存在が
すぐ足元にいるのかもしれない。
猫の姿をしていても、
そこに宿る想いは、
決して小さくありません。
最後まで読んでくださって、
本当にありがとうございました。
著者:比奈我弥生




