表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第二話 再会

 目的地についた。

 ここは、俺が文香に告白した場所であり、プロポーズをした場所だ。

 一際大きな木がある場所で、ここで告白やプロポーズをすれば、必ず実ると、ここらへんでは有名な噂のある場所だ。

 俺はその噂を信じて、ここで両方やったのだ。

「結果は……まぁ、成功はしてるから嘘ではないかな」

 なんてつぶやきながら、木の幹に手を触れる。

「そういえば……」

「初めて遊んだのも、ここだったね」

 俺が言おうとしたことを、変わりに言う声が聞こえた。

 聞こえるはずのない声。二度と聞けないはずの声。

 声のした方を振り返る。

(とおる)、久しぶり」

 そこには、彼女が……文香が立っていた。

「え……文香? 嘘だ、だって……」

 理解が追いつかない。文香は確かに死んだ……はずだ。

 そんな混乱を知ってか知らずか、彼女は口を開く。

「あ〜……やっぱりびっくりするよね? ごめんね? 驚かせるつもりはなかったんだけど……」

「ほら、その……私達、今日結婚式の予定だったじゃん? 私、あんまり未練とかなかったんだけど、それだけが心残りで……そしたら、いつの間にかここにいて……」

「ぷっ……ふふふ」

 必死に説明してくれる彼女の姿を見て、思わず吹き出してしまう。

 混乱している俺よりも混乱してそうな姿が、あまりにも文香らしい。

「あ……ねぇ、笑わないでよ。徹が混乱してるから説明してあげようとしてるのに」

「ごめん……だって凄い必死だったから」

「理由はよくわからないけど、また会えて嬉しい」

 俺は、そう本心から口にした。

 それに応えて「……うん。私も」と、文香も言ってくれた。

 それだけで、理由なんてどうでもよくなった。


 とはいえ、気にならないわけじゃない。

「所で、えっと……文香って今はどういう状態なわけ?」

 生き返ったのだとしたら嬉しいが、そういう訳でもなさそうだ。

 だとしたら、幽霊?

 そんな風な想像を膨らませて行く。

「えっとね……きっと予想はついてると思うんだけど、今の私は魂? だけの存在で、多分徹以外には見えて無いと思う」

「やっぱり、そういう感じなんだ。じゃあ、いつまでも一緒ってわけにもいかないんだな」

「うん……残念ながら」

 そうか。それは残念だ。

 だけど、もう二度と会えないと思っていたから、今この瞬間だけでも会えたことが嬉しい。

 それならと、一つのアイデアが浮かんだ。

「それならさ、今日一日デートしない? ほら、今度いつ出来るか分からないしさ」

「……ふふ、そうだね」

 これが、都合の良い妄想だったとしても構わない。俺が見ている夢であったとしても構わない。もう一度、彼女と思い出が残せるなら、何だって良い。

 そうと決まれば、後は行動するだけだ。

 俺達は、二人でこの公園を散策することにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ