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どうしたらいいのでしょう。絶対騙されている。

8-③


 しばらく歩くと、ハンドは瞬間移動を使った。

 ノリスをつれて。

 残ったセドリック様とバーディ様と後を追いかけることになった。


 なるほど。この人数でとんだら負担が大きいからその場所に飛ばなかったんだね。

 ノリス、なんだかんだ愚痴をこぼすこともあるけれど。大事にされているみたいでよかった。


 むかし、その立場は自分の物で。

 それは寂しい。

 なんてちょっと思ってた。傲慢だけど。


 恋愛感情なしでも主人公じゃなくてもずっとハンドの大切な一人でいられるって。

 ちがったけど。

 そうだよね、って納得する方が多いけれど、あからさまな格下げは落ち込む。


 歩きながら、セドリック様もバーディ様も饒舌だった。今まで何をしていたのか、とか、いない間の配信は見てくれていたのかとか色々と質問されたり話は弾む。

 そこはちょとすくわれたけど、その態度は防御壁の耐久性を心配しているようには見えない。


 一部が壊れたら、ほかの所も壊れる可能性があるとは考えないの?

 たしかに、道を囲った防御壁は問題ないように見えた。

 壊れた場所には聞かされていないけれど、そこだけに何か特殊なことが?


 2時間ほど歩いて、まだ半分の行程らしい。着くまでにノリスがきっと補修してくれているのだろう。

 ノリスなら一人で全部なおせるんじゃない?


「ねえ、私が行く意味ある?」

「あるんでしょうね」


 さっきまで饒舌だったのにとたんにセドリック様の口数が少なくなった。


「良く考えたらノリスだけで済むとおもうし、ノリスを運んだらハンドが戻ってきて一人ずつ連れて行ってくれてもいいような気もするんだけど」

「そうですね」


 何かありそう。


「今回のっていつ起こったの?防御壁が大変って言ってたけど壊れた時点で相当やばいんじゃないの?私を呼びに来ている暇あったら、ノリスを連れて行っておいた方がいいと思うけど。ノリスいたよね」

「だから先に行ったんじゃないんですか?」

「そんなことより、ゆいな様ヨウ様がこちらに戻ってくる可能性はないんですか?」

「可能性はあると信じてる。それはヨウさんと会えるってことだから。でもヨウさんがこっちに戻ってくる必要はないと思ってる」


 私の返答にバーディ様は可愛らしく指をまげて唇の下に添えた。何か考えているのだろうか。


「どういうことですか?ゆいな様が魔王を倒す真実の愛を起こせる可能性があるのはヨウさんなんですよね?それなのに、帰ってこなくていいって」

「だって、危険だもの。今、次元をつなげようとしてることだって、ただの自分のわがまま」

「世界がヨウさんを排除しようとしているからですね」


 バーディ様は納得したように何度も頷いた。

 戻ってきて欲しいと願ったこともあったけれど、その気持ちは今はほぼ残っていない。


「無事かどうかを確かめたいだけなの。それに、私はもう主人公じゃないから、魔王を倒せる力が出るとは思えない」

「それは、どうなんでしょう。僕はゆいな様にもまだできることがあるとは思いますよ」


 嘘をついているようには見えなかった。

 なんでそう思うんだろう。

 私に期待をかける意味なんて、まだあるのだろうか?


 私が主人公でないことはほぼ確定だと思う。ノリスとメインキャラであるハンドの雰囲気はいいみたいだし、そちらから真実の愛で生み出される力を期待したほうがいいのではないの?

 主人公でないあたしを連れ出した理由にかんけいあるのかしら。主人公と真実の愛がそろえば何も他にはいらないはずなのに。


 胸騒ぎがする。

 今から私が向かう理由。二人と歩いている理由。

 これからなにかがおこるの?ヨウさん助けてほしい。怖いよ。


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