✒ ワクワク観戦 1
──*──*──*── 観戦席
マオ
「 やっぱりさ、観戦席ってのはこうでないとな!
他の観戦客の熱い歓声が身近に聞こえるとテンションが上がるよ! 」
セロフィート
「 マオはVIP室は嫌いです? 」
マオ
「 そんな事ないよ。
セロが用意してくれたVIP室は貸し切り感が有って眺めも良いし、人目を気にしないで寛げるから有り難いよ。
あのVIP室って何時まで借りれるんだ? 」
セロフィート
「 あのVIP室は買い取りました。
寝泊まりも出来る様にしてます。
一々、《 天空闘技場 》を出入りするのも面倒ですし 」
マオ
「 貸し切りじゃなくて買い取ったぁ?!
そんな事が出来るのかよ 」
セロフィート
「 “ 財力は権力より強し ” です 」
マオ
「 こっわぁ~~。
でも、寝泊まりが出来るのは有り難いよ 」
セロフィート
「 マオの為に頑張りました♪ 」
マオ
「 ははは…………。
嬉しいなぁ…… 」
有り難い事の筈なんだけど、素直に喜べないんだよなぁ~~。
本当に “ オレの為 ” なのかも怪しいし……。
まぁ、セロの真意はどうあれ、此処は喜んでおこうと思う。
観戦客達の声のボルテージが上がる。
試合会場に司会者が現れたからだ。
解説者とレフリーも一緒に登場している。
今から午後の部が始まるらしい。
午前の部から順調に試合を勝ち進んでいる選手の紹介をしてくれている。
名前は “ アグラト ” と言って格闘家らしい。
マオ
「 連続で36勝してる強者だってさ!
どんな選手かな? 」
セロフィート
「 格闘家なら最低でも50勝はしてほしいですね、マオ 」
マオ
「 後14勝かぁ。
こればっかりは対戦相手次第だよな。
誰が対戦者を決めてるんだろうな 」
セロフィート
「 運営側に決まってますし。
運営側と選手が組んで八百長もしてますし 」
マオ
「 えっ?!
八百長?!
八百長って犯罪だろ?
何で公平な試合をしないんだよ 」
セロフィート
「 ドーピングが認可されている時点で公平ではないですし。
≪ 日本国 ≫と違い、八百長は犯罪では無いですし、認可されてます。
≪ キャピラト大陸 ≫では≪ 島国 ≫の常識は通じません 」
マオ
「 そっか……。
オレ、エルゼシア人なのに……すっかり≪ 日本国 ≫の文化に染まっちゃってるな…… 」
セロフィート
「 そうですね。
それだけ≪ 日本国 ≫の生活水準が程好く過ごし安い環境という事です 」
マオ
「 そっか── 」
セロフィート
「 マオ、対戦者が登場しました 」
マオ
「 ん~~?
何でピエロの格好してるんだ?? 」
セロフィート
「 『 仮装,コスプレ衣装で試合に参戦するのも良い 』とパンフレットに記載されてます 」
マオ
「 マジかよ……。
コスプレOKな試合なんて初めて見るかもだ 」
セロフィート
「 マオも女の子のコスプレをして出てみます? 」
マオ
「 それって、コスプレじゃなくて女装だよなぁ~~。
36勝してる格闘家と対戦者のピエロの試合か。
どっちが勝つのか想像も付かないな…… 」
セロフィート
「 対戦者は格闘家さんの油断を誘う為に態とピエロさんの姿をしているのかも知れません 」
マオ
「 若しくは本当に弱いか──。
どっちに賭けたら良いんだよ…… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
すっかりギャンブラーの顔付きですね 」
マオ
「 えっ?
ち…違うからな!
オレは賭けなんてしないから!
純粋に試合を観戦する善良な観戦者だからな! 」
セロフィート
「 はいはい。
試合が始まります 」
試合の始まりを告げるゴングが響く。
どっちかがオレと対戦する選手になるかも知れないんだ。
確りと試合を見届けないとな!




