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第44話 不安な接点

美優紀のスマートフォンが鳴り響いた。画面に表示された名前を見て、彼女は少し驚きながら電話に出た。


「もしもし、玲愛?どうしたの?」


玲愛の声には、いつもの明るさはなく、焦りが混じっていた。「美優紀、切り抜き師のクラスメイト君、あー長いから切り抜き君ね、切り抜き君の動画見た?」


「昨日のは見たけど、今日はまだ見てないよ。」美優紀は少し戸惑いながら答えた。


「今日の見て!すぐ見て!」玲愛の声が急かす。


「わかったわかった、今パソコン開くから。」


美優紀は急いでパソコンを立ち上げ、陽斗の切り抜きチャンネルを開いた。最新の動画が表示されると、彼女は思わず声を上げた。


「これ…誰?」


美優紀は思わず声に出してしまった。見慣れないVtuberの切り抜きが上がっていたのだ。


「その子ね、カナデっていうVtuberなんだけど私が描いた子なの」玲愛の声が緊張気味に続く。


「え?」美優紀は驚きのあまり、言葉を失った。


「私が昔に書いたキャラクターなんだよね。ソラよりもずっと前に…」玲愛の声には明らかな不安が混じっていた。


「ちょっと待って、玲愛。どういうこと?」美優紀は混乱しながらも、冷静さを保とうとする。


「私が三重県にいた頃に描いたキャラクターなんだけど、妹がVtuberやってみたいって言うから書いてあげたんだ。そしたら周りの友達もやりたいって言いだして何人か書いて好きに使っていいよって妹の友達にあげたキャラクターの一人なの。」と玲愛は説明する。


美優紀は動画を見ながら、玲愛の話を聞いていた。確かに、このキャラクターには玲愛らしさがあった。


「そうなんだね。確かにソラちゃんに似てるところもあるね。そんな前から絵うまかったんだ。」美優紀は感心したように感想を口にする。


「ただ、問題なのはなんで切り抜き君がカナデの動画を切り抜いてるのかって話。そんな偶然ある?確かに描いてるのは私だけど技術的に全然違うからソラに似てるからとかそんな理由じゃないと思うの」玲愛は早口でまくし立てる。


「玲愛、落ち着いて。たまたま推しになって切り抜いただけかもしれないよ。」


「そうだといいんだけど...。もし切り抜き君がカナデと知り合いだったら?そこから私につながって、美優紀がソラだってバレたらどうしよう...」玲愛の声は明らかに動揺していた。


美優紀も不安が込み上げてきた。確かに、そんな可能性もゼロではない。


「でも、そんな偶然があるわけないよね?」美優紀は自分に言い聞かせるように言った。


「そうだといいんだけど...。美優紀、何か情報ない?切り抜き君の実家が三重県にあるとか、知り合いがいるとか...」


「最近話するようにはなったけどそんなプライベートな話はあまりしてないからわかんないよ。でも、そんな偶然ないよね」


「たまたま見つけて推してる可能性もあるけど、どっちの偶然も確率低すぎて怖いんだよね。」玲愛は少し冷静になり分析する。


「たしかに、玲愛が引っ越す前の三重県に住んでたときの後輩がリアルの知り合いか、たまたまその子を推して切り抜いたかってことだもんね。しかも私以外切り抜いたの初めてだし…。」


「ホントに可能性が低すぎて怖すぎる。ゴメン、ちょっとパニくっちゃった。」玲愛はすこし落ち着きを取り戻した。


「気にしないで。私も気をつけて様子を見るよ。それに、切り抜き君がカナデの動画を作ったからって、すぐに私たちにつながるわけじゃないし。」


「そうだね...。でも、念のため注意しておこう。」


「うん、そうしよう。もしバレてもそれはそれでカミングアウトするタイミングだったってことだよ。だからそんなに気にしないで。」


「わかった。ありがとう、美優紀。」玲愛の声に少し安堵が混じった。


電話を切った後、美優紀はしばらく考え込んでいた。陽斗とカナデ、そして玲愛。この予想外の繋がりが、自分とソラの秘密にどう影響するのか。不安を抑えつつも、次の一手を考えなければならない。


美優紀はパソコンの画面に映るカナデの動画をもう一度見つめた。


「やっぱり、ただの偶然かもしれない...」美優紀は小さくつぶやいた。


それでも、完全に安心することはできなかった。これからは陽斗の行動により注意を払わなければならない。クラスメイトとしての距離感を保ちつつ、切り抜き動画の内容にも気を配る必要がある。


美優紀は次の配信の準備を始めた。今は普段通りに振る舞うことが大切だと、自分に言い聞かせた。しかし、心の片隅には小さな不安が残り続けていた。

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