先生はトイレじゃありません!!
「先生トイレ~!」
「先生はトイレじゃありません」
午後の暖かな学び舎に、明るい笑いがこぼれた。
「早く行ってきなさい」
「はーい」
共に笑い、共に泣く、共に学び、共に育つ。彼女が受け持つ三年二組は、素晴らしいクラスだった。
しかし、彼女はトイレだった。
夜になると校長室へと赴き、校長とただならぬ環形に陥っていた彼女。トイレと言うよりは便器の様にあしらわれ、便器の様に鼻つまみにあい、そして……便器の様に可愛がられていた。
「先生、犬~!」
「先生は犬じゃありません!」
校庭に犬が紛れ込むと、生徒達は一斉に総立ちとなり、授業どころではない。
異変に気が付いた用務員が犬を追い払い、クラスはまた静けさを取り戻すのだった。
しかし、彼女は犬だった。
夜な夜な用務員と逢瀬を重ねていた彼女は、犬の様に可愛がってもらい、犬の様にしつけされていた。
「先生、熟女~!」
「先生は熟女じゃありません!!」
校庭に熟女が紛れ込むと、騒ぎを聞きつけた用務員により、そっと用務員室へと連れ込まれた。
しかし彼女も熟女だった。
歳を重ね、いつの間にか自分の心に小さな穴が空いていた事に気が付いたが、それを埋める術は見付からず、弄れば弄るほどに穴は広がっていった。
ただ、彼女は底無しの寂しさに打ち拉がれた。