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02_生徒会の勧誘


2年生の生活が始まり数日。

水夏に感じるささやかな違和感はありつつも、私はごく普通の生活を送っていた。


「日菜ちゃん、今日お弁当?購買行かなくて大丈夫?」


「うん、大丈夫。食べよ!」


それは水夏と他愛無い話をしながらごはんを食べていた時のことである。


「蓮見ー!」


ふと名前を呼ばれたほうをみると、教室のドアのところで春日くんが私を見て手招きをしていた。

水夏も振り返って彼を見ている。

春日くんと私たちは、あの日以来顔を合わせれば少し話す程の関係になっている。

水夏も特におかしな様子はなく、ごく普通のクラスメイト同士として接していた。


「呼ばれてるよ。」


そういいながら彼が指さした方向には、3年生の目印である緑のネクタイをしめた男子が立っていた。


「冬木先輩?」


私は見知った、しかししばらく会っていなかった顔に驚きながらも先輩の方に急ぐ。


「お久しぶりです!どうしたんですか?」


冬木貴臣先輩。

私の中学からの先輩であり、中学時代の生徒会で会長と書記の関係としてお世話になった人である。

冬木先輩は高校でも生徒会長を務めている。

しかし、私は高校では生徒会に所属していないこともあり、1年の時は廊下ですれ違ったときに挨拶する程度の関わりしかなかった。


「突然悪い。少し頼みがあってきたんだが、今大丈夫か?」


「はい、大丈夫です。」


そう言うと冬木先輩はありがとう、と微笑み1枚の紙を取り出した。

こちらへ差し出された紙を受け取って確認すると、【生徒会役員の欠員による補充について】と書いていた。

何となく状況を察した私は、恐る恐る先輩の顔を見た。

先ほどの微笑みを崩さずじっと私を見ている。

嫌な予感しかしない。


「新年度が始まったばかりなのだが、2年生の役員の一人が諸事情で生徒会活動を辞退することになってな。補充メンバーを探しているんだ。今回は急遽のことだし、選挙はしないで役員の指名ということになったんだが…。」


「へ、へぇ…大変ですね。それで、私は何を?やってくれそうな人を探せばいいんですか?」


「いや、蓮見にやってもらいたいんだ。」


案の定である。

思えば、中学の時の生徒会選挙で立候補者があまりにもいなかったときも、特に委員会や部活をやっておらず、生徒会顧問の担任クラスにいた私を担任とともに勧誘し、見事立候補させたのはこの冬木先輩だった。


「申し訳ないんですが、私より適任がいるかと…」


「嫌がると思って一応ほかの心当たりから声をかけたんだが、部活や色んな理由に断られてしまったんだ。かなり遅れての参加で慣れるのも大変だと思うが、だからこそ俺個人としては知らない奴に頼むよりも中学で一緒に生徒会をやった蓮見にお願いしたい。」


既に逃げ道は断たれていたいたようだ。

帰宅部かつバイトもしていない私は断る理由がない。

それでも半年ほど現メンバーでやってきていた生徒会に今更入るなんて気まずいことは避けたい。

どうにかして断れないか考えていると、


「やってみたらいいんじゃないかな。」


振り返るといつの間に来たのか水夏が立っている。


「日菜ちゃん中学のときも生徒会やってて責任感もあるし、絶対できるよ!冬木先輩もわざわざ頼みに来てくれたんだし。」


そういいながら、水夏は冬木先輩に会釈をする。

会長も一瞬驚いたが、すぐに微笑み返した。

2人は特に関わりがなかったが、水夏は生徒会長だった先輩をもちろん知っているし、先輩も私の友人として彼女を知っていると思う。


「どうだ、やってくれないか?」


まさか水夏にとどめを刺されるとは思わなかった。

2人にニコニコとした顔を向けられて私はため息をつくしかない。


「……わかりました。よろしくお願いします。」


「ありがとう。助かるよ。」


こうして私は半年遅れで生徒会に加入することになってしまったのだった。


書き溜めがないのでゆっくり更新になりますがなんとか2話です。

引き続きよろしくお願いします。

お気づきの点や感想などあれば、気が向いた時で構いませんのでいただけるとありがたいです。

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