表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/272

第98話 事務局のお姉さん

 何がしたかったのか分からない歓迎セレモニーを終え、俺とミーシャは編入手続きのため、事務局へ向かう。




「おい、なんのまねだよ。」

 ミーシャは移動中、腕をからませてくる。

 外見的には恋人同士だろう。

 そのため、周囲の男子生徒たちからの視線が痛い。


「あんなヤツが、俺のミーシャに手をだしやがって。」

「やっと戻ってきたと思ったら、これかよ。」

「あんなヤツより、俺の方が上だろ。」

「ぜってーぶっ殺す。」


 超絶美少女のミーシャと懇意にしてたら、男子生徒どもの反感が半端ない。

 これで俺も超絶美形だったら、ミーシャにも女子生徒からの反感がいくのだろうが、あいにく俺のルックスは並み程度。

 あざけりの視線はあれど、反感や嫉妬の類いの視線は、女子生徒どもからは感じない。


「ふふ、あんたは私の下僕でしょ。面倒な男どもの事は、頼んだわよ。」

 ミーシャは小声でつぶやきながら、まぶしい笑顔をみせる。

 直視出来ずに視線をそらすのだが、今度は面倒な男どもの視線が入ってくる。


 これではまともな学園生活は、送れそうにない。

 俺の学園生活への憧れは、早くも崩れさってしまった。


 事務局に入ると、ミーシャは腕組みを解く。

 そう、俺はあくまでミーシャに対する生徒どもからの防波堤にすぎない。


 事務作業してたひとりの女性スタッフが、受付窓口にくる。

 学生世代より、少し上な感じのお姉さん。

 ギルドのルル姉たちよりかは、歳は下っぽい。

 学生人気はありそうなお姉さんだ。


「はーい、どうかされましたか。」

 そのかわいらしい声に聞き惚れてたら、ミーシャが肘で突ついてくる。

「あ、えと、へ、編入手続きに来ました。」

 ミーシャに喋るタイミングを狂わされ、まともに言葉が出なかった。

 くそ、かわいいお姉さん相手に、第一印象最悪だ。


「くすくす、あなたがサム君ですね。アディシア先生から話しは聞いてますよ。」

 お姉さんに笑われてしまった。

「一応、身分証を見せてください。」

 気落ちする俺に、お姉さんは続ける。


「は、はい。」

 俺は降魔の腕輪から、ギルドカードを取り出し、お姉さんに渡すのだが、その手をミーシャがつかむ。

「他人に渡しちゃ駄目よ。見せる時でも、しっかり持ってなさい。」

 ミーシャなりのアドバイスだが、お姉さんの視線は別の所に固まってる。

 なんか、俺の降魔の腕輪をガン見している。

 アディシア先生もアンティークな腕輪って言ってたし、お姉さんもそんな興味があるんかな。


「あの、お姉さん?」

「は、な、何でもないわ、み、身分証の確認ね。」

 俺が声をかけたら、今度はお姉さんがテンパった。

 この降魔の腕輪、そんなに珍しいのかな。

 見る人が見たらドラゴンとバレる代物だが、それを知ってる人自体限られてるし、一介の事務局のお姉さんに分かるはずないのだが。


「あれ、C級ですか?アディシア先生からはF級だと聞いてたんですが。」

「え?」

 お姉さんの言葉に、ミーシャも俺のギルドカードを覗きこむ。

「ちょっと、なんであんたが、私と同じCランクなのよ。」

「えと、」


 これ、どう説明したらいいんだ?

 幻想旅団の討伐達成を、F級でこなしたら動物変化と疑われるからC級にしたんだけど、元々F級だった事を知ってる人には、意味がないよね。


「ははーん、これってアレね。」

 ミーシャが何やら思いつく。

「幻想旅団を討伐したから、特別昇級ってヤツね。」

「えー、あの噂って、本当だったんですか?」

 ミーシャの思いつきに、お姉さんが驚く。

「はあ、」

「た、確かに、あの幻想旅団を撲滅したのなら、特別昇級もあり得るわね。でもその場合、A級が妥当だし、なんならS級だってあり得るわ。なんでC級なんて中途半端なのかしら。」

 俺のあいまいな返事に、お姉さんは考察を始める。

「いやいや、俺が討伐したのは、この近くの森のヤツらだけで、撲滅なんてしてませんよ。」

 俺は慌てて、でかくなりすぎた噂を否定する。


「あ、あの森の一団ですか?あそこには神獣族と幻獣族の動物変化(アニマルチェンジャー)がいるから、は、まさかあなた、」

「あっと、余計な事は口走らないでね。」

 俺が動物変化(アニマルチェンジャー)だと気づくお姉さんを、ミーシャが制する。


「そ、そうね。これはこの学園では不問だったわね。」

 お姉さんは落ち着きを取り戻すが、ちょっと疑問がある。

「あの、なんで幻想旅団に詳しいんですか。」

「え、えーと、それは、、」

 俺の問いかけに、お姉さんの目が泳ぐ。

「それと、幻獣族なんて居たんですか?俺が会ったのは多分神獣族だけなんですが。」

 おそらく幻獣族とは、警備隊本部で聞いた結界師の事だろう。

 神獣族は当然、あの白虎の事だが。


「そう、幻獣族には会ってないのね。」

 なぜかお姉さんは、ホッとする。

「あなた、何か知ってそうね。」

 鈍いミーシャも、それに気づく。


「う、噂よ。噂で聞いたのよ。」

「噂?」

「こ、この学園の事務員をやってれば、そう言う噂も耳にするのよ。」

「それもそうね。」

 ミーシャはお姉さんの言葉を信じてしまう。

 あの幻想旅団が動物変化(アニマルチェンジャー)の集団だった事は、ギルドも警備隊本部も把握してなかったのに、なんで事務局のお姉さんの耳に入るんだよ。



 実体も無く忍び寄る白い影。

 幻想旅団とは案外、身近に潜んでいそうだな。

ども(・ω・)ノ

とりあえず人気の出そうな女性キャラを、どんどん登場させようという昨今の流れ、嫌いじゃないぜとは言えません。

名前考えるのも面倒ですしおすし。


この学園は、人間とドラゴンとの友好のために創られたって設定は、以前本文中に書いたと思います。

だからドラゴンが混じってるのは、学園内の誰もが知る暗黙の了解です。

ちなみにこの学園の制服には首輪と言うかチョーカーがあって、これが封じの首輪の役割を果たします。

でも人間の服装はドラゴンにとってのウロコと同じ。

この被服調整が出来る個体には、意味のない装備になってますが、それが出来る個体も限られてる設定です。

ミーシャも主人公も、普通にこなしますが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=44752552&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ