第97話 旧知だった親友
歓迎セレモニーとして、屈強な見た目の男ども五人に囲まれる俺とミーシャ。
そこへミーシャの過去を知るらしい会長が現れた。
俺が昨日幻想旅団を討伐してきたと知ると、屈強な見た目の男どもは逃げ出した。
つか、なんで知られてんだよ。ナナさんが緘口令敷いてくれたのに、なんでギルド外に広まってんだよ。
「ぐはー。」
逃げた男どもが、ぶっ倒れる。
会長たちの横を走る時、ふたりの女生徒が短刀で斬りつけた。
どこに隠し持ってたのか分からないが、その短刀も今は隠されている。
「ふふ、歓迎セレモニーに参加して、無傷で帰れると思ってたのかしら。」
会長は残酷そうな笑みを浮かべる。
「あなたも、甘すぎますわね。」
会長はそのまま、俺をにらむ。
「えー、そんな物騒な事言わないで、仲良くしましょうよ。」
俺の返しに、会長はキョトンとする。
ぶっちゃけ知識の吸収だけなら、ホームの書庫で充分だ。
この学園にこだわる必要もない。
だけど前世で学校にまともに通えなかった俺は、これから始まる学園生活というものに、憧れがある。
「仲良く、ですって?あなたここがどんな所か、分かってらっしゃらないようですね。」
会長は険しい表情で俺をにらむ。何か怒らせる事したのかな。
うーんこの人、笑えば普通にかわいいのにな。
「あら、分かる必要はないわよ?」
ミーシャが横から会話にわりこむ。
「く、ミシェ」
「あ?」
会長がミシェリアの名を呼ぼうとするのを、ミーシャが殺意を込めた視線で制す。
やはりこの会長、ミーシャの過去を知ってるようだ。
「歓迎セレモニー。私たちが後を継いでもいいのよ。」
会長も凄んでくる。
「ふん、あの幻想旅団を討伐したヤツを、あんたなんかがどうにか出来るの?」
ミーシャも煽り返す。
だけどほんと、やめてくれ。
俺はドラゴンの姿で、幻想旅団を討伐したんだ。
人間の姿のままで、戦えるわけないだろ。
「ま、まあ、歓迎セレモニー自体は、既に終わった事ですし、改めてやる必要も、ない、ですわね。」
会長もびくびくしながら、言葉をつまらせる。
「へー、君たちなら、俺も大歓迎なんだけどな。」
びくつく会長たちを見ながら、とりあえず視姦する。
人間の姿では弱い俺だが、勘違いしてくれるなら、少し便乗しよう。
「は、はあ?す、既に終わったって、言ってるでしょ!」
会長は怯えながら、気丈にも反論する。
その表情、態度が俺の劣情をさらに刺激する。
ドゴ!
俺の股間に、ミーシャが蹴りをぶち込む。
俺は膝から崩れおち、両手で股間を押さえながら、回復魔法を使う。
「ミーシャ、てめえ、」
俺はうめくのが精一杯だ。
今歓迎セレモニーなんて強行されたら、俺の危険が危ない。
「分かったでしょ、こいつの危険性が。」
ミーシャは俺をさげすみながら、会長に声をかける。
「なんだと、こら!」
突然のミーシャの裏切りに、俺も声をあらげる。
「だからここは、引いてくれるかしら。会長。いいえ、メディ。私もあなたがこいつに歓迎されるのは、見たくないから。」
「そ、そうね。ここはミーシャさんの顔を立てて、引く事にしましょう。行きますわよ。」
会長たちはミーシャの言葉を受け、この場から立ち去った。
いつの間にか副会長も姿を消していた。残ってるのは、ミーシャにのされたヤツが横たわってるだけだ。
「ミーシャ、邪魔するなよ。」
股間のダメージを回復させた俺は、立ち上がってミーシャにせまる。
歓迎セレモニーの名の下、堂々と陵辱できるチャンスを潰しやがった。
「私の下僕として、あんな行動は許さないわよ。」
ミーシャは俺の股間に、膝蹴りをぶち込む。
「ぐ、」
何気ないミーシャの股間蹴り。
だけど潰すコツをつかんだのか、確実にダメージを与えやがる。
「あんたは私の下僕なの。私の品位を下げる行動は慎みなさい。」
ミーシャは冷たい目で俺をにらむ。
「誰が下僕だよ、てめえ。」
俺の返しに、ミーシャは大げさに右脚を後方に振り、蹴りのモーションを見せる。
俺はビクっと反応してしまい、思わず股間をおさえる。
「ふふ、」
蹴りのモーションを解除し、ミーシャはニヤける。
「私もあんたには感謝してるのよ、この学園に戻れたわけだし。」
ミーシャの突然の笑みにみとれてしまった俺は、慌てて首を振り、気持ちをただす。
「だったら、俺が幻想旅団を討伐したって、言いふらさないでくれ。」
もう遅いかもしれないが、このままでは学園生活を送る俺の危険が危ない。
「え、なんでよ。」
俺の心意も分からず、ミーシャはキョトンとする。
「おいおい、俺が討伐したのは、元の姿の時だ。今の俺は弱いだろ。」
「あんたが弱い?」
相変わらずミーシャには、俺の心意が伝わらない。
「呆れた。あんたほんとに気づいてないのね。あんたもあれくらい出来るはずよ。」
ミーシャは呆れながら、倒れてる男を指差す。
「うーん、確かに負ける気しないけど、これくらいは必要かな。」
俺は右手の拳を部分竜化。
「ば、バカ。この学園でそれはやめなさい!」
ミーシャは慌てて俺の右手を隠すようににぎりしめる。
「いや、インパクトの瞬間だけこうしたら、いけるかなって。」
俺は部分竜化を解きながら答える。
「はあ、そんな事しなくても、あんたは強いのよ。そのままでも。」
ミーシャは呆れながら手をはなす。
「なんで自信ないのか分かんないけど、一度モモと手合わせしてみたら?」
ここでミーシャは、モモの名をだす。
「あ、そう言えばモモの偽装って、意味ないのか?あの会長ってヤツ、ミーシャの事知ってるみたいだし。」
「そうね。メディの事は、あんたも知っておくべきかもね。」
ミーシャは少し思案する。
「でも、こんな所で話せる内容でもないし、後で話すわ。今は事務局に急ぎましょう。あんたの入学手続きがあるし。」
興味本位で闘技場の入り口辺りに、野次馬が集まり始めていた。
俺たちも、とっととこの場を離れた方がいいだろう。
ども(・ω・)ノ
仕様が変わる前、投稿は並びの下からも出来ませんでしたっけ?
この投稿は第何話?って確認するのが、地味につらい。
この予約投稿のタイミングで思い出しましたが、会長についての説明が、今後の5話以内ではなされません。
つか、ぶち込むタイミングが無いかもしれません。




