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ドラゴン転生〜畜生道に堕ちても最強種なら問題ない  作者: 堕天の翼のあさぼらけ


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第56話 飛ばせて落とす

 ついに、幻想旅団のアジトにたどり着いた俺は、盗賊討伐を開始する。




「おい、ウーフ、ベード、どうした?」

 山小屋の扉が開き、今度は小太りな男が出てきた。


 熊の死体をしまい終えた俺は、そのまま茂みに身を隠す。


「お頭ぁ、ウーフとベードが居ません!」

 小太りな男が、山小屋の中に声をかける。


「あーん?お頭のお手をわずらわすんじゃねーよ。」

 今度は、キザっぽい男と体育会系っぽい男が出てきた。


「おい、そこのおまえ!隠れてないで、出てこいよ!」

 体育会系っぽい男が、隠れてる俺を、めざとく見つける。

 他の小太りの男とキザ男は、俺に気づいていなかった。


 この三人の男が、何の動物なのかは分からない。

 だが、ドラゴンの俺より強いなんて事は、多分ないだろう。


 俺はがさりと、茂みから出る。


「おまえからウーフ達の匂いがするぜ。おまえだろ、ふたりをやったのは。」

 体育会系男がニヤける。


「ああ、だったらどうする。」

「許さない、許さないずら!」

 俺と体育会系男の会話に、小太り男が紛れる。

 小太り男は、見た目からは想像できない素早さで、俺に近づく。

 そのままカバになると、俺の右腕にかみつく。


「痛ってぇ、こいつカバかよ。」

 俺はかまれた右腕を部分竜化させて、耐える。


「でかした、ヒポス。そのまま離すなよ!」

 キザ男はライオンとなり、突進してくる。


「ま、待て、安易に近づくな!」

 体育会系男はライオンに注意する。


 俺は噛まれたままの右手で、カバのノド奥をガッチリつかむ。

「がはぁあ。」

 そのまま右手を上にかかげながら、全身を竜化させる。


「な、こいつ、ドラゴンか?」

 ライオンは急ブレーキ。


 俺はかかげたカバを、勢いよく地面に叩きつける。

 丁度ライオンの目の前。

 ライオンが立ち止まらなければ、ぶつけられたのに。

 カバはノドを潰されて、そのまま息絶える。


「やろう、舐めたマネしやがって。」

 ライオンはゆっくりと、俺の周りを回る。


「だからうかつに近づくなって、言ったんだよ。」

 その輪に、いつのまにかハイエナが加わる。


「ああ、悪い。俺が舐めてた。」


 二匹は俺を挟んで対角線上に、位置をとる。

 一匹が俺を威嚇し、俺がそいつに気を取られてる隙に、もう一匹が背後から襲ってくる。

 その背後からの襲撃に備えると、今度はもう一匹に攻撃の主導権が渡る。


 単純に突っ込んで来ただけの熊や狼と違い、やりづらい相手だ。

 二匹同時に相手にするより、一匹ずつ確実に潰すべきだろう。


 ライオンが引き、ハイエナが突っ込んでくる。


 俺はライオンを追うそぶりから、ハイエナの迎撃に移行しようとして、脚を滑らせる。


 俺が見せた隙を、二匹は逃さない。


 ハイエナは俺の尻尾の付け根辺りに噛みつき、ライオンは俺の首すじに噛みつく。

 が、ライオンには俺の右腕にかみつかせる。


「捕まえた。」


 俺は尻尾をハイエナの首に巻きつかせ、左手でライオンの首を押さえて、右手はさらに、ライオンの口の奥へと突っ込む。


 二匹を抱えて、上空に舞い上がる。

 千尋峡谷とは違い、大気中の魔素が薄いので、うまく飛ぶ事が出来ない。


 それなりの高さから、一気に落下する。

 二匹を首から落下させ、首をへし折る。


 ライオンとハイエナ、それとカバの死体を降魔の腕輪にしまう。


「ドラゴンか。」

 山小屋の入り口に、白い虎が出てきた。

 白い虎は、ライオン達よりふた回りは大きく、ドラゴンである俺と、ほぼ同じ大きさがある。


「はあ!」


 虎の目の前に火の玉が浮かび、俺めがけて飛んでくる。


 畜生の分際で、魔法を使うのかと、感心する。

 まあそれは、俺も同じなのだが。


 俺は軽くジャンプして、火球をかわす。


 そんな俺を見て、虎のニヤけた口から、何やら冷気らしきモノが漏れる。

 そして、俺目がけて冷気の息吹きを放つ!


「うおっ?」

 俺は翼をばたつかせ、ジャンプの軌道を変えようとする。

 だが、ドラゴンが空を飛ぶ原理は、翼で揚力を得るモノではない。

 大気中の魔素と自分の体内の魔素を、組み合わせる事によるもの。

 普段から普通にこなせている事も、いざとなったら、忘れてしまうものだ。


「ふ、その巨体では、空中で身動きとれまい。」

 虎は息継ぎしながら、冷気の息吹きを放ち続ける。


 勝ち誇ったその顔が、逆に俺を冷静にさせる。


「とれるんだなあ、それが。」

 俺は虎の背後に転移して、そのまま虎の背に飛び乗る。


「な、なにぃ?」

 虎は慌てるが、俺は構わず後ろから首すじに、かみつく。


「ぐ、くそ、」

 虎は、暴れる暴れる。

 俺は二本の脚で、しっかり大地を踏みしめる。

 そして尻尾を、虎の左後ろ脚にからめる。


 これだけでも、虎の動きはかなり制限される。

 刺客に噛みついた時みたいに、前足の爪で攻撃してこないのは、ちょっと拍子抜けだ。


 やはり二足歩行の動物と、四足歩行の動物とでは、前足の使い方が違うらしい。


「がは、くそ、ったれぇ。」

 虎の抵抗が弱くなっていく。


 俺が牙を抜くと、虎の身体は地面に崩れる。


 俺がこいつを解放したのには、訳がある。


「おい、おまえが幻想旅団のリーダーか?他の仲間は、まだいるのか?」


 そう、こいつを確認する必要がある。


 だが、解放された虎は、素早く俺の下から逃げだす。


「あ、待てこら!」

 俺が追おうとした時、虎は瞬時に方向転換。

 俺の右太もも辺りに、かみつく。



「いってー!」

 俺も虎の腰辺りにかみつく。

 本当はさっきまでかんでた首すじに噛みつきたかったが、ちょっと体勢的に遠かった。

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