躓く石も縁の端
躓く石も縁の端
「青本、さん?」
戸惑いを隠せない青年の問いに振り返った女性もまた困惑した顔をしていた。
「ど、どちらさまですか?」
大学進学に伴い地元の香川を離れ大阪に上阪した加瀬修斗はいつも試験勉強の際は図書館に通っていた。自宅でするより捗るからだ。
図書館にある学習室はいつだって満室で開館前から席を取るために大人から中高生らしき子供が数人列を作っている。咳払いすら勉強の邪魔になりかねない緊迫した空気はそれだけ全員が本気で勉学に向き合っていることが分かりその士気に触発されて自ずと己の士気も高まる。しかし今日は残念ながら出遅れたようで部屋は満席、家に帰る気も起きず仕方なく閲覧室へ足を向けた。
中学生の頃も友人と何度か試験、受験勉強のために地元の県立図書館に通っていたが友達との勉強会なんて身が入らない、教科書やノートを開くだけ開いて結局はふざけ合ってお開き。勉強会は親にちゃんとやっているように見せるための名目上でフェイクでしかなかった。だから学習室には入ろうとも思わなかったあの頃は閲覧室の社会人席や読書席で勉強をしてした。学習室ほどの緊迫感のない閲覧室は多少喋っても構わない、と言っても勉強や本を読む人がくるのが図書館であって決して談笑するような場所じゃない。非難の眼差しや館内職員から注意を受けたことだってあった。しかし友達といるだけで気が大きくなるのは餓鬼の特権だ、そんな小言を思ってもないのに互いのせいだと罪をなすりつけ合い、それすら楽しいと感じていた。無論、反省なんてこれっぽっちもしていなかった。
今となってはそんな時期もあったなという程度の思い出で、しかし真剣に勉強をしているこちらへの配慮もせずこそこそと喋りだす真後ろの中学生につい非難の眼差しを送ってしまう。そしてそんな己の気配を察知した彼らがそれにまた反応して笑うことにかつての自身の行いを棚に上げて腹を立てている。
「はぁ」
気が立っているのも関係しているんだろう、一度気にし出すともう彼らの存在ばかりが頭の中を支配してどんどん勉強に身が入らなくなる。
手洗いの意味も兼ね休憩がてら閲覧室を出てラウンジのソファに腰を下ろす。このソファには自分のように休憩している人、電話をしている人、昼ごはんだろうか弁当を食べている人もいればなぜかここで読書している人もいる。時刻はもう13時を過ぎている、そんな光景を見ていると次第に自分も空腹を感じるようになりどうせ集中できないならバイトまでまだ時間もあるし賄いを夕飯に回さず先にいただきに行こうかと思案する。
思い立ったら吉日、ソファから立ち上がり閲覧室に戻り開いていた教材を片付ける。後ろの中学生たちは誰かに注意でもされたのか端から勉強の意志はあってエンジンがかかるまでに時間がかかったのか今は真面目に勉強しているようだ。
「最初からこうしてくれていれば俺は午前にもっと範囲進められていた」
なんてそれはそれで自己中心的で言えるはずもなくしかし心の中では憎まれ口を叩いた。
閲覧室に入る際に女性と入れ違いになる。ふと視線を女性の顔に向ければ覚えのある顔に一瞬動きが固まった。女性はこちらに目もくれずそのまま去ってしまいそうになる。確証もないのにもしかすると今この瞬間を逃せば後悔するかも知れない、そう思うと不意に名前を読んでいた。
「青本、さん?」
咄嗟に出した声はずっと潜めていたせいで喉がつっかえて上擦ったものになっていた。驚いたのか女性は僅かに肩を弾ませて声のした方、加瀬を振り返った。驚いた表情はすぐさま困惑したものに変わった。
「ど、どちらさまですか?」
「あ、あの、覚えてない?小中と同じ学校だった加瀬、なん、ですけど」
「え、その、ごめんなさい、覚えてない…です。あの、人違いじゃないですか?」
「あ、あのじゃあ青本さんじゃない、んですか?」
「ちょっと君らここで立ち話とかせんといてくれんか?邪魔やで」
二人の会話を中断させたのは真っ赤なダウンジャケットを羽織った中年男性、出入り口で立ち話をする加瀬たちは唯一の入り口を塞いでいて彼の言うようにとても邪魔だ。
「す、すみません!」
思わず女性の手をとりラウンジに出る。
「あ、あの、手を離してもらえませんか?」
女性には若干の怯えの色が見える。
「ごめんなさい、でも本当に俺のこと知りませんか?木田中で一緒だった加瀬修斗なんですけど。あの、青本亜沙香さんじゃありませんか?俺、あの頃のことずっと謝りたくて」
離せと言われたのに弱々しくも引こうと試みるその手を離せなくて段々と握る手に力が籠り、焦りから口調も早口になっていく。
「木田中…え、あ、加瀬くん?」
「!覚えてる?」
「う、うん、木田中の、3年の時たしか同じクラスだったよね」
「そう!」
「あ、あの、謝りたいっていうのは…」
「うん、あの頃は本当にごめんなさい、すごく反省してます。謝るには遅すぎるし言い訳にしかならないけどあの頃は青本さんを苦しませて追い込んでたことに気づけてなくて、俺、あの頃のことずっと後悔してて、今更なのはわかってるけど謝らせて欲しい、本当にごめんなさい」
彼女の顔を見ることができない、緊張か自責の念かはたまた許してもらえなかったらどうしようなんて怯えているのかもしれない。かつて泣かせて担任に放課後呼び出しを食らって小一時間説教を受け、ちゃんと謝るように言いつけられた思い出が蘇る。あの時はちゃんと正面から謝れていた。それはきっと彼女が自分を責めないとわかっていたからだ、今の自分にはあの頃の自分が何故そんな自信を持てていたのか理解できない。
「…加瀬くん、謝ってくれてありがとう。もう何年も前のことなのに覚えてくれてて、謝ってくれて嬉しいよ」
弱々しく引かれていた手はついに抵抗を止めた。
「許すよ。許すからさ、その代わりに友達になって欲しい」
抵抗を止めた手は小さくて細くて冬だからだろう、とても冷たかった。
こっ酷く叱られて正面から謝ったあの時、青本は俯きがちでしどろもどろにながらも許してくれた。目は一切合わなくて折角謝っているのだから少しはこちらを見たらどうんなんだと釈然としなかった。握った手に向けていた視線を彼女に向ければかつての青本さんの纏っていた雰囲気とは違う柔和な笑顔で己を見ていた。
「ね、許すから友達になって?まずはライン交換しよう」
この数年間、いじめで自殺した学生のニュースを見る度、いじめを題材にしたテレビ番組、書籍、話を見る度聞く度、何度も青本さんとのことを思い出して後悔しては苦悶した。
目の前の人物は果たして青本さんなのだろうか、恐々とした行動など見せずむしろフレンドリーさすら感じる。
呆然とする加瀬に青本は小首を傾げる。
「加瀬くん?あ、友達は嫌だった?それならここで解散ということでいいかな」
「待って!なる!友達!」
慌てて尻ポケットからスマホを取り出しラインの友達追加を開く。
「QRでいい?」
「うん、それで加瀬くんいい加減手、離してくれないかな」
「あ、ごめん」
青本さんの手を握ったままなことをすっかり忘れていた。
友達の人数表記が一人分増えた。ペンギンのアイコン画像に名前はあさ。
『今日暇?』
謝罪してからはや5日、トーク画面を開いては何を書けばいいのかわからなくなって閉じて、いざと覚悟しても深夜だから今は迷惑になると言い訳して5日も経つと他の友人や企業広告やらのラインで青本さんのアイコンは一番上からどんどん下に降っていった。
許しは得られた、しかしあまりにもあっさりしていて連絡先を交換したあとは半ば強引にさよならさせられてなんだか有耶無耶にされた気がする。怒っているのだろうか、恨んでいるのかもしれない。偶然会ったから謝ったわけで、もし会えてなかったらこの先謝らないままズルズルと引きずるだけ引きずって、だけどしょうがないで終わらせていたかもしれない。
だったらいつでも連絡できる今、日を改めて謝るべきなんじゃないだろうか。悶々と考えては受信を知らせる通知音にもしやと期待しては違うことに少しがっかりする。自分から行動しなければならないとわかっているのにそれができなくてまた苦悶する。
だから通知音ではなく着信音と『あさ』という文字の表記に寝癖を直そうと躍起になっていた加瀬は驚きのあまり出るつもりが拒否ボタンを押してしまった。慌ててかけ直そうとしてトーク画面を開くと同時に青本さんからの本日の都合を確認された。真っ青な背景に小さな雲が一つ発現した。きっと彼方の端末には既読の文字が記されているだろう。
取り急ぎボタンを押し間違えたことと講義が午前中にあるので午後からでよければと文面で伝える。送信ボタンを押すとすぐに既読がついた。
『じゃあお昼でも一緒にどうかな?』
「お昼!?え、どうすれば、なんて返せば!?」
早く返事をしなければならないと頭では理解しているのに動揺してただスマホ画面に問うてしまう、遠方から通学している木谷から代辺の依頼通知がスマホからの返事となった。
『俺でよければ』
食事の誘いになんと返せば良いのかわからなくなって変な返事の仕方をしてしまう。
数回のやりとりを経て梅田で待ち合わせてそこで適当な店に入ろうということで話は纏まった。
ラインのトーク歴の一番上に『あさ』がいる。五日前の自分には信じがたい光景だ。スクショしようとしてすぐに木谷からスタンプの連打攻撃を受けスクショは失敗に終わった。
「はよー」
講義室に入って青い出席カードを木谷と自分の分取る。必修科目ということもあり一限目であっても大半の生徒はきちんと出席している。先に入室していた魚住が後方の席を取ってくれていて俺はいつも授業開始ギリギリに席につく。
「はよーす加瀬…ってなんか疲れてる?寝坊したん?」
「あーうんそう、ちょっと色々あった」
「加瀬が寝坊なんて珍しいな、お前めちゃ朝強いのに」
「そんな日もあるんだよ」
疲れている原因は寝坊じゃない、青本さんだ。もう一度会おうとは思っていたが心の準備ができていなかった。明日だったらまだどうにかなっていたと考えたが5日も迷って何もできなかったのだ彼方からのアクションに感謝すべきなのかもしれない。だが己の意気地なし具合には心底がっかりする。
講義が始まり皆が教授のポイントのみの板書を写す。前期はこの慣れない授業の仕方に戸惑い馬鹿正直に教授の話す言葉を全て書き記そうとしたが速記なんて技術持ち合わせておらず3回目の講義にはもはや諦めて教授の話を流し聞いていた。試験は教材があればなんとかなったので成績はまずまずの結果だった。
そして今日は一段と教授の話が頭に入ってこない。着拒否してしまったことが尾を引きその後の挙動不審な返信も思い出すと恥ずかしくなってくる。
続きは二限目にと言う教授の号令に合わせて学生が各々伸びをしたり席を立ったり友人と話し出す。
「修斗、おはよ」
「んーはよ咲良」
「ねえ今日さ、帰りにカフェ行かん?最近なんばに可愛い店できてさ行きたいんよね。あとついでに映画でもさ」
「ごめん今日予定あるから無理だわ」
「予定?バイト?」
「じゃないけど」
「じゃあなに?」
「なんでもいいじゃん」
尾野咲良、俺の彼女だ。顔は可愛いし器量もいい。少し気の強いところはあるが自分にはそのくらいの女性の方が気が合うように思う。
「じゃあ明後日は?」
「18時からバイトだからそれまでだったら」
「おけ、忘れんといてよ」
「ん」
彼女の誘いを断ってさらに青木さんとこれから会うのだということを実感する。いつもなら長く感じる90分の授業がさらに長く感じるくらいには青木さんのことを意識していた。刻一刻と迫る約束の時間に腕時計とスマホのロック画面を照らしては何度も確認してしまう。
そうこうしてしていればあっという間に二限目も終わった。
「じゃ、情報処理のノートよろしく」
三限目の授業は自主休講ということにしてリュックを背負う。木谷と自分の出席カードを箱に適当に入れ小走りで講義室を後にして駅に向かう。
電車に揺られて20分、梅田駅について改札を出る。待ち合わせは紀伊国屋書店の前。そこには多くの人が加瀬と同じように誰かと待ち合わせをしていて全員が似たように俯いてスマホを弄ったり本を読んだりしていた。時折待ち人が現れては人が抜けてまたそこに人がパズルのようにハマって、加瀬もパズルの一部になる。
待ち合わせまでまだ30分はある。その間に漫画でも読んで心を落ち着かせよう、アプリを開いて購入した漫画を読んでいれば時間も気も紛れるだろう。
「加瀬くんは電子書籍派?」
「…青本さん、早いね」
「うん、待ち合わせまで本屋でぶらつこうかと思ってたから。でも加瀬くんも早かったね」
「そう、だね」
「ご飯いこっか」
「そうだね」
心は落ち着くどろか早鐘を打った。
入った店はとんかつ屋、どちらも同じ定食を注文した。その間の会話はといえば「注文決まった?」「うん、そっちは?」「決まった、店員さん呼ぶよ」これだけだ。
黙々と食べるとんかつはこんなにも気まずい空気なのに美味しかった。
膳を下げられて暖かい麦茶を飲む。
「今日、突然呼び出しちゃってごめんね」
「え、いや大丈夫、です。むしろ連絡俺からしなくてごめん、なさい」
「なんで謝るんだよ、謝る必要なんてないよ。てかなんで敬語?友達なんだしタメでいいじゃん」
「え、あいやなんというか、その、色々あったし…」
「いろいろ?」
「うん、色々、青本さんに…」
「色々って?どんな?」
「そりゃ、青本さんが傷つくような酷いこと…」
「具体的には?」
「…あの、青本さん怒ってる?」
「え?いや怒ってないよ?ただ結構前のことだったからどんなだっけかなーと思って」
「覚えてない?…んですか?」
「はは、また敬語だ、必要ないって」
嗚呼怒ってる、やっぱりだ。青本さんはずっと俺の言葉に傷ついていたんだ、どこかで見たいじめ防止の啓発ポスターに書かれていた『言葉は凶器』という文字が脳にインプットされて離れない。一緒に描かれた身体中にカッターやナイフ、刃物を突き刺され一人蹲る若者の絵と青本さんの姿が重なっては思わず目を逸らしていた。
泣いたところを見たのは一回だったが自分が知らないだけで何度も苦しみをあの小さな身体で耐えていたのだろう、最もそのことに気づいたのは彼女が家庭の事情により転校した後だったが。担任に放課後呼び出され怒気を孕んだ声で唸るようにこれまで自分のしてきたことはいじめで罪には囚われることはなくても立派な犯罪なのだと言われた。周囲の取り巻きたちは遠巻きにしか自分と関わろうとはしなくなり気がついたら孤立していた。半年にも満たない孤独はたったそれだけで加瀬自身を苛ませるには充分な期間だった。高校は電車で片道20分の郊外に進学した。できるだけ自分のことを知らない人がいるところに行きたかった。
「敬語はまあゆっくりでいいかな、でもとってくれると嬉しい」
黙ってしまった自分に痺れを切らしたのだろう、青木さんは少し眉を下げ困ったように笑った。
「あの、質問いい?…ですか?」
「はいどうぞ」
「なんで俺と友達になりたいなんて思ったの?デスカ?」
「実は敬語苦手?」
「…」
「うーんそうだねぇ、本当に怒ってはなかったんだ。でも苦しかったのは本当。謝ってくれた時はすごくびっくりした、もうすっかり忘れちゃってると思ってたから。だからあの時ではい仲直りさよならでもよかったんだけど、なんだかまた話せたらいいなって思ったんだ。…加瀬くん、昔と変わったんだね」
「え、変わったように見える?」
「んー骨格?顎のラインがシャープになったね」
「そ、そうかな」
「うん、男の子は成長につれて顔変わるっていうけど本当だね」
「青本さんも、その、」
「変わった?」
「うん、すごく明るくなった気がする…あと綺麗になった」
「ありがと。お世辞でもそう言われるとなんだか照れるなあ」
「お世辞なんかじゃないよ、本当にすごく雰囲気変わったと思う」
「んふふ、まあ色々ありましたから」
「いろいろ?」
「そう、色々」
しどろもどろにしゃべる自分とは対照に柔和な笑みを浮かべる青本さんは中学の頃の彼女を微塵も感じさせなかった。
「でも加瀬くんも雰囲気変わったと思う、さっきも言ったけど中学の頃のことはあんまり覚えてないんだ、あの頃家の事情もあって結構ドタバタしてたから。でも今の加瀬くんと話してても全然怖くないし辛くもない。むしろこれから仲良くなれないかなーなんて思うくらいには加瀬くんに好意持ってるよ、もちろん友達として」
湯呑みの口縁を親指でなぞりながら話す青本さんを呆然と見る。
「だから友達になりたいって思った。脅すみたいなやり方でごめんなさい、嫌なら今からでも断ってくれて構わないです。連絡先もちゃんと消す、心配なら今ここで消します。」
「ちょ、ちょっと顔、顔あげて。青本さんが謝るのは絶対に違うし俺の方が謝るべきなんだし、友達だってむしろ歓迎?とういうかなんというか…う、うまく言えない、ごめん」
図書館で自分がしていたように頭を下げる青本さんに慌てるだけでろくなフォローもできず自分の不甲斐なさにしれず言葉が尻すぼみになっていく。
「うん、ありがとう。じゃあ手始めにあだ名で呼び合ってみますか」
「は?」
顔を上げた青本さんが申し訳なさそうな表情を見せたのは一瞬ですぐにキリッとした顔立ちになり放った言葉にしどろもどろになっていた俺は思わず緊張感のない声を発していた。
「あだ名はちょっと…」
「じゃあ呼び捨てで、下の名前はなんだかむず痒いから苗字にしよう」
「青本さんって結構ぐいぐいくるね…」
「あ、いきなり呼び捨てはいや?ならやめる」
しょんぼりしたように俯いてしまった青本さんにまた慌てる。
「いや!大丈夫!友達なら呼び捨てくらいするって!」
「そう?よかった」
そう言ってまた柔和に笑う彼女は本当にあの青木さんなのだろうか、まるで別人だ。
「加瀬は阪急?」
「うん、あ、青本も?」
「いいや、阪神」
「そうなんだ」
「うん、じゃあこの辺で」
「うん」
「今日はありがとう、話せてよかった。」
「うん、俺も」
「うん、それじゃあ」
「あ、あのさ!今度は俺から誘っていい?またご飯食べたりさ」
「もちろん、待ってるね」
青本さんと別れ電車に乗って自宅に帰る。その間中ずっと友達の定義をWikipediaとネット辞書で調べていた。
家に着いた頃にはなんだかとても疲れていてフルタイムでバイトを入れた後のような倦怠感が頭の天辺から爪先まで支配している心地だった。まだ夕方にもなっていないのにもう寝てしまいたい。布団に転がって目を瞑れば睡魔が襲ってきて瞼が簡単に引っ付く。
「友達、青本さん…じゃない青本…と友達、いじめの張本人で罪人の俺が…?」
『友達』
・互いに心を許し合って対等に交わっている人
・志を共にしていて同等の相手として交わっている人
・一緒に遊んだり喋ったりする親しい人
・友人、朋友
・友の複数表現、転じて単数・複数を問わずとも
※Wikipedia 、コトバンク …etc参照