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装甲お嬢様

ヒナコお嬢様は、お兄様の誕生日プレゼントを確保するようです。完全思考同期型装甲巨兵(ドレス)、索敵特化タイプ”トドメキ”登場。

  窓の外の崖の下には、鬱蒼とした森林が広がっている。


  ヒナコお嬢様は、椅子に座って優雅に午後のお茶を楽しんでいた。

 瀟洒なテーブルの上に置かれたクッキーを、優雅な仕草で口元に運ぶ。

 肩までの長さの銀髪が、サラリと前に流れた。

 静かに目を伏せる。


 ピピッ、ピピッ。


 小さな腕時計が音を鳴らす。

 (すみれ)色の瞳がちらりと腕時計から、空中に投影された文字を見た。



「うふふ、来ましたわ」 

 声に、喜色を隠せない。

 

 白いワンピースの裾をひらめかせながら、ヒナコは部屋の外へ出た。



  部屋の外には、白いモーフィング装甲で出来たワンピースを着た、全長7メートルくらいの巨大な美女が、伏せ打ちの体勢で横たわっている。

 むき出しの白い肩と、半ばまで見えた太ももが美しい。

 ヒナコと同じ銀髪の頭の上には、四角い帽子型の、”総合センサーユニット”を装備していた。

 目をつぶった美女の顔の前には、黒いバイザーがレティクルを表示している。

 控えめの、”胸部装甲”は半ばまで開かれており、簡素な椅子が見えていた。


 うつぶせの美女の胸元に、ヒナコは潜り込み、椅子の下にある穴にクランクを刺し回した。

 

 ヴヴヴヴヴ


 と言う音と共に、”マナジェネレーター”が起動する。


 重力制御装置起動。


 ヒナコは、斜め下を向いた椅子にワンピースの裾を乱さず座る。

 ”胸部装甲”を閉じた。

 ヒナコは、目を閉じて、思考を同期させる。



 女性型、完全思考同期型装甲巨兵ドレス、索敵特化タイプ”百目鬼(トドメキ)”。


 

 ヒナコは、”百目鬼(トドメキ)”をドレスの様にまとった。




「あれですわ」

 小さな声で、つぶやいた。


 トドメキ(ヒナコ)の横には、地面に刺された、瀟洒な日傘型のレドームがゆっくりと回っている。

 

 ガチャリ


 トドメキ(ヒナコ)は、身長と同じくらいの長さのある、装甲移動建築物用スナイパーライフルである”ピラルクー”のコッキングレバーを引き、弾室に弾を送り込んだ。


 崖の下の森林には、ボロボロの武者鎧を着た、男性型、暴走(野良)思考型装甲巨兵スーツが木を倒しながら歩いている。

 500年前の、主星からの独立戦争の遺物である。



「うふふ。お兄様の”水無月(ミナヅキ)”(男性型、半思考同期型装甲巨兵ジャケット)に似合いそうね」

 静かな中にも、熱を感じさせる。


 烏帽子型で、三日月の前立てを着けた兜を見ながら言った。


 胴鎧の真ん中に照準を合わせる。

 バイポットを立てた”ピラルクー”の引き金を、白い手袋をした細い指が引いた。


 ドカンッ


  周りの木の葉と土煙を円形に巻き上げながら、オレンジ色に光りながら曳光弾が飛んでいく。


「ヒット」

 そっとつぶやく。


 暴走(野良)スーツは胸に大穴を開けられ、四散した。



「ありましたわ」

 ほっと息をついた。

 

 突然、森の中に日傘をゆっくりと回した、巨大な美女が現れる。

 光学迷彩を解いたトドメキ(ヒナコ)は、烏帽子型で三日月の前立てがついた兜をひろう。

 兄の巨兵のいいパーツになりそうだ。


「野良になれるだけあって、いい素材を使っているわ」

 納得した声を出した。


 トドメキ(ヒナコ)は、手に持ったキャリーバッグ(多目的コンテナ)(部屋付き)から、光学迷彩用のナノマシンを放出し、姿を消した。 


 満足したトドメキ(ヒナコ)は、”ピラルクー”を回収した後、”魔境”の森から去って行った。


 

装甲お嬢様シリーズ第二弾

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